くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「おまけの人生」本川達夫

2010-03-26 05:08:10 | エッセイ・ルポルタージュ
本川先生は、どんな事象も自分の研究分野として捉えてらっしゃる。おもしろい。ニュートンも道元も生物の学習につながっていくのです。
「おまけの人生」本川達夫(阪急コミュニケーションズ)。「ゾウの時間、ネズミの時間」で有名な本川先生が、自分の生活周辺のことを描いたエッセイです。
わたしは「歌う生物学必修編」のCDブックも持っているのですが、本川先生の仕事はすごく気になるのです。たまたま「ようこそ先輩」の回も見たし。何より、「ゾウの~」が教科書に載っていたとき、すごくおもしろくて、どうやって授業をするか楽しみにしていたのですが、残念ながらわたしが産休あけて戻ってきたら教科書が改訂していて、もうなかった……。
でも、インタビューがちらっと載っています。
今回、この本を読んでみて、その後後釜として(?)採用された「テクノロジー」についての文章と共通している部分が多いことに驚きました。
時間とお金。どちらかを選ぶとしたら? グループエンカウンターで価値観を巡る話し合いをしたのですが、これが結構別れました。「お金」派は、お金があればなんでもできると主張。「時間」派は、ゆとりはお金では買えないと反論します。
本川先生の主張は、まさに時間。動物の体の大きさに比して、心臓を打つ回数は生涯で十五億回と決まっている。ただ、ネズミがせわしく心臓を動かしているのにたいして、ゾウはゆっくり。で、どちらも仕事量としては、2ジュールかかる、のだそうです。
人間がこの十五億回に達するのは四十代。昔の平均寿命はこのくらいだったのに、現在は医療が発達してかなり長生きできる。だから、それから先は「おまけの人生」、若い頃とは違う生き方をしようじゃないですか、ということなんですよね?
さて、わたしもどうしても自分のフィールドにつなげて考える癖があるのですが、今回は、理科が中学校段階で突然具象から抽象になるという部分にうなずかされました。そうそう、国語も具象と抽象の概念を身につけないと、なかなかステップアップが難しい。目に見えるものと見えないものを扱う学問って、結構多いのかも。
本川先生のお子さんの名前が凝っていて興味深かったのでご紹介しましょう。上から「南海子」(なみこ)さん、「東洋子」(とよこ)さん、「究理」(きゅうり)くんだそうです。