くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「『性別がない!』ということ」新井祥

2009-03-11 05:47:05 | エッセイ・ルポルタージュ
テストにもあるし懸賞のもある性別欄。およそ、この世で男女関わりない「何か」というのは極めて少ないのではないかと思いました。それは、意識の外で何気なく行われることなので、そこからはずれてしまう人はひどく肩身の狭い思いをするのです。
いや、そんなに簡単な言葉では表せないでしょうね。性別はアイデンティティにも深く絡まっているので……。
新井祥「『性別がない!』ということ」(ぶんか社)を読みました。知っている人も多いでしょうが「性別がない!」はこの方が描いているまんが。新井祥さんは二十代まで女性として、その後染色体検査によって「インターセックス」(以下ISと略す)であることが判明し、現在は外見は男性として活動されている方です。
まんがも三冊読んだのですが、段々下ネタが増えるのが嫌でそこで止まっています。性別について考えることは、性そのものと切り離せないのかもしれません。
わたしが半陰陽について知ったのは中学生のころ、新井素子「二分割幽霊奇譚」(講談社)を読んで。
主人公の斎藤礼子は、中学生までは男として暮らしていましたが、実は染色体は女に近いことがわかったため、転校した過去があります。
そこで女子の臆面のなさや二面性を知って、男にも女にも幻想を抱けなくなるのです。
新井素子さんの作品ではいちばん好きでした。また読みたいなー。
また、山岸涼子(ほんとはニスイです)「キマイラ」も読みました。もちろん、六花チヨ「IS」も。
読めば読むほど気にかかるといいましょうか。
発症の確率は二百人にひとり、なのだそうです。
二百人って……決して少ない数ではない、ですよ? 例えば、自分が中高生だった時代の同級生と比較してみると、ひとりふたりはいる計算になりますからね。
でも、今のところそういったかたに出会ったことがない、というのは、やはり隠しているということなのでしょうか。
この確率がわたしの記憶違いだとしたらごめんなさい。
新井祥さんの作品を読んでいると、自分がISであるということに自覚がない人も多いのだろうな、と思うのです。
不妊治療に行ってそうだと知った人もいるでしょう。ホルモンバランスによって左右される体に困惑しているという人もいるでしょう。
もしも自分の友達が突然男の恰好で現れたら? 実はISで……と話されたらどうでしょう。
わたしとしてはそれは「あり」だと思うのですが、現実問題として多分気づかないのではないかと……。わたしすごい鈍感なので、目の前の男性が名乗りでもしないことにはわからないのではないかと。
でも、外見がどうのこうのではなく、その人と友人としてつきあえるとは思うのです。「友達という間柄に性別は関係ない」(114ページ)もんね。
わたしもずいぶん長いことISのことを知りたくて、ちょこちょこ調べてきましたが、この本を読んで思いました。書いてあることはISである新井祥という一個人のことなのであって、これを読んでISの全体をわかった気になってはいけない。いろんな人がいて、いろんな悩みがある。
ただ、自分の性別という根源的な問題をひた隠しにする社会ではなく、セックスマイノリティに属していると自覚される方々が生きやすい世の中になってほしいとは思います。
そうそう、男と女で靴のサイズが違うという話は目から鱗でしたよ。

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1 コメント

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Unknown (ミリオン)
2024-06-21 10:55:39
おはようございます。
テストは大変ですね。頑張って下さい。今日の朝は、「虎に翼」の第60回を見ました。
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