くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「烏に単は似合わない」阿部智里

2012-09-16 21:32:42 | ファンタジー
 八咫烏の世界を舞台にした異世界ファンタジーです。あちこちで好評なので読んでみました。
 金烏といわれる宗家の日継の皇子である若宮の妃候補として宮中に上がった四人の姫。東家のあせび、南家の浜木綿、西家の真緒の薄、北家の白珠。権勢と陰謀とがないまぜになり、やがてあせびが信頼していた侍女の早桃が死体で見つかり……。
 後半にどんでん返しがあると聞いていたので、非常にどきどきわくわくして読みました。わたしは好みですね。物語としての「型」をうまく利用しているというか。これまで見てきた世界が、終章でがらりと反転するのは見事です。
 伏線が気になって、読み終わった先からもう読み返したくなる。阿部智里「烏に単は似合わない」(文藝春秋)です。
 ちょっと気になるのは、一巳の本性(烏としての姿)が白珠にはわからなかったのかなーということ(大泣きしたわたしはこの真相に肩すかしを食らったような気がしました)と、伝令に飛んできた烏(近習)に対して、高貴な姫たちの前で「鳥形をさらし、あまつさえ転身の姿を見せるなと、はしたないにも程がある」と言っているのに、若宮は結構さらっと鳥形になっているよな、ということですかね。
 あと、血縁関係でいくと、若宮と藤波の母がなぜ東家に逗留していたのかもわからない。若宮は西家にいたのに。(すみもそこにいますしね) 彼女が正妃と権力争いをしたときは味方についたわけではないんでしょ。
 あ、でも宗家から四家が分離したときのこともよくわからないんですが、四人の子供以外に誰かいたんですかね? そうでないと宗家自体の存亡が危うい。
 おや? 気になってばかりですね(笑)。
 でも、すごくおもしろかった。保証します。人物は誰も彼も少しずつ歪んでますが。いちばんまともなのは、わたしにとっては一巳ですね。
 次作も楽しみです。


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