いくら有能な政治家であっても、民主主義国家において長期政権を維持するのは困難である。安倍首相は今日で連続在任日数が大叔父である佐藤栄作の最長記録に並んだ。これは大変なことであり、安倍首相の功罪については後の歴史家の審判を待つしかない。残された期間は後1年ちょっとであり、憲法改正の道筋が付けられるかどうかである▼金融緩和によって、雇用が増大したことは事実である。しかし、二回にわたる消費増税で、それが帳消しになってしまった。観光立国を宣言しインバウンドに力を入れたが、武漢発の新型コロナウイルスによって、目論見が崩れてしまった。それでも3割以上の国民が支持しているのは、日本を取り巻く国際情勢の悪化があるからだろう。覇権国家中共は日本の領土を奪おうと虎視眈々と狙っている。かつて世界の警察官を自称していたアメリカは、日本の応分の負担を求めるようになってきた。日本が国家として独り立ちを余儀なくされている。「諸国民の公正と信義」に信頼することは、もはやできなくなっているのである▼安倍首相の最後の仕事は、後継者を育てることである。国家百年の大計を考えるならば、それがもっとも大事なことだ。日本のリーダーとして、眠れない日が続いているのではないかと思うが、歯を食いしばってでも、もう少し頑張ってもらうしかないのである。