あいた口がふさがらなかったのは、参議院予算委員会の質疑で、こともあろうに千谷由人官房長官が、「自衛隊を暴力装置」と口走ったことだ。自衛隊関係者は、それこそ無法者の暴力団と同一視されたのと同じであり、頭にくるのはあたりまえだ。もちろん、千谷はかばう意見がないわけではない。マックス・ウエーバーが、それと変わらないことを述べているではないか、と知ったかぶりをする連中もいる。しかし、『職業としての政治』(岩波文庫・脇桂平訳)を読んでみると、「国家とは、ある一定の領域の内部で―この『領域』という点が特徴なのだが―正当な物理的暴力行使の独占を(実効的に)要求する人間共同体である」と書いてある。そして、マックス・ウェ-バーが強調したかったのは「国以外のすべての団体や個人に対しては、国家の側で許容した範囲内でしか、物理的暴力行使の権利が認められないということ」なのである。ここで注意すべきは、あくまでも「正当」という条件が前提となっていることだ。さらに、「物理的暴力行使」に従事するのは、軍隊ばかりでなく、警察も含まれるのである。法に違反した者を処罰するのも、国家の仕事であるからだ。それだけに、「物理的暴力行使」を悪と決め付けたわけではない。千谷長官はそんなレベルの高い議論をしようとしたのではなく、極左特有の短絡思考で、軍隊イコール暴力装置と思い込んでいただけだろう。民主党政権の崩壊は、もはや時間の問題になってきた。
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