レ・ミゼラブル (Les Miserables、2012英、158分)
監督:トム・フーバー、原作:ヴィクトル・ユーゴー
作曲:クロード・ミシェル・シェーンベルク
ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ、アマンダ・セイフライド、エディ・レッドメイン、ヘレナ・ボナム=カーター、サシャ・バロン・コーエン、サマンサ・バークス
大ヒットしたミュージカルを映画化したもので、この映画自体も評判となり、いくつかの賞もとった。
ミュージカルを実際に見れば、感銘を受けたと思われる。ただ、映画にしてしまうと、いろんなところがリアルに見えない、というかもっとうまくだましてほしいのだが、2時間半ちかく使っても、話が飛びすぎるなど、とまどうところが多かった。
とはいえ、歌唱自体は優れたもので、ヒュー・ジャックマンもラッセル・クロウも初めて聴く歌だが、演技にマッチしたものだった。もっともジャックマンの風貌は、歳とった場面でもスマートすぎる。
ラッセル・クロウのジャベールはぴったり。アン・ハサウェイ、いいけれど多くの賞でノミネートされるほどの出番量ではないようだが。
コゼットのアマンダ・セイフライドは、歌もそれなりにうまいということもあってか「マンマ・ミーア」の娘役に抜擢され、その後多くに起用されているけれど、どうもあの風貌が苦手である。マンマ・ミーアでもこの作品でも、もっと可憐なタイプの方がよかったのではないか。
そこにいくと、コゼットにマリウスを取られる割の悪いエポニーヌを演じるサマンサ・バークスの歌唱が目立つ。
また、ずるがしこい女役ヘレナ・ボナム=カーター、おさまりがいい。
ここで思い出すのがTV放送用に作られた5時間近くのドラマ(2000年)で、あれはなにしろジャンバルジャンがジェラール・ドパルデュー、ジャベールがジョン・マルコヴィッチ、フォンテーヌ(コゼットの母、映画ではアン・ハサウェイ)がシャルロット・ゲンズブール、修道院長がジャンヌ・モロー。フランスで名作をTVドラマにするときはよくこういう豪華な配役にすることがあるけれど、それにしてももう一度NHKでやってくれないかと思う。このストーリーにはそのくらいの密度が必要である。