「セバスチャン・サルガド アフリカ ~生きとし生けるものの未来へ~ 」
東京都写真美術館 10月24日-12月13日
セバスチャン・サルガド(1944- )はブラジル生まれパリ在住、もともとはカメラマンではなかったそうだ。
今回の多くはアフリカの、それも民族対立などの戦乱で厳しい生活を強いられた人々、動植物、自然環境などの姿を、ここしかないと選び取ったタイミングと構図で、美しい作品として提示している。
アフリカの悲惨を直接的に訴える写真は多く、その存在意義はある。ただ、多くの写真を、継続して見る事が、外の世界の人たちにとってあまり容易でないことも確かである。そのことを責めることはできるが、それで何かが動くかどうか。そういうことも考えなくていいことではない。
この一瞬を待っていたその時間の大きさ、そしてその間における美的とはいえない光景の数々、そういうものの存在を感じさせるものであることは確かだ。
そして、このような環境でも生きている人たち、その微笑み、生きる喜び、それらの存在は、こういう環境だからこそ貴重である。
美しいがゆえに、アフリカというところのそして人間の力強さ、尊厳を感じさせる写真である。
題材のなかでは、ルワンダの動乱が多い。これは映画「ホテル・ルワンダ(2004) 」を思いこさせる。