メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

西部魂

2020-12-08 14:13:26 | 映画
西部魂 (Western Union、1941米、94分)
監督:フリッツ・ラング、音楽:デビッド・ベトルフ
ランドルフ・スコット(ショウ)、ディーン・ジャガー(クレイトン)、ロバート・ヤング(ブレイク)
ヴァージニア・ギルモア(スー)
 
名前は知っていても見る機会が少なかったランドルフ・スコット、このところ出演作品が時々放送されるのはありがたい。
 
この作品は西部劇の範疇には入るのだが、大きな構成要素としてはタイトルにもあるウェスタン・ユニオンの電信線の拡張事業が中心にあって、これにかかわる人たちと、荒野の作業にたけたカウボーイたち、そして先住民たちが複雑にかかわる。ちょっと面白い設定で、当時の大統領はリンカーン、北軍の話も出てくる。舞台はオマハ(ネブラスカ州)周辺。
 
電信会社の技師クレイトンは調査中の落馬して瀕死の怪我を負い、通りかかったショウに助けられる。その後電信線を引いていく要員を募集しているときにショウを見つけ、同行させる。
 
クレイトンには電信(モールス信号)技士の妹スーがいて、ショウは好意をいだく。そこに本社筋の男ブレイクがやってきて、場違いな感じもありながら彼もスーに好意を抱いている。
 
荒野に出て、野営をしながら電信線を;敷設していく中で、先住民とのトラブルが重なるが、これにはなにやら裏がありそうなことがわかってくる。これが最後に三人の男たちの命運につながる。
 
面白いのは、トラブルや危険が生じたときに、早馬ではなく、電線に機器をつないで電信で送るあたり。
牛追いやガンプレイの華やかな場面は少ないが、おきまりというかお約束の料理係の爺さんのなんともひょうきんなふるまい(どっかで見たことがある俳優)も場面をつないでいる。
 
活劇としては今一つなこの映画で、やはり見どころはスコットの演技、その表情、台詞で、微妙な思惑、感情が読み取れる。
 
ところでこれは1941年、ちょうど今日から79年前太平洋戦争が始まったその年の製作、こういう地味な作品でもきれいなカラーである。
そしてブレイク役のロバート・ヤング、同姓同名が多く、検索して確信は得られなかったが、この顔はやはり日本で昭和30年代に多くの家庭で見られていた連続テレビドラマ「パパはなんでもしっている」のパパ役で、このころはアメリカのこういうつくりの家、家族がかがやいて見えていた。
そういう意味では、昭和の日本と興味あるつながりがある映画である。



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