メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

海街diary

2016-09-05 21:55:42 | 映画
海街diary (2015、128分)
監督・脚本:是枝裕和
綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず
 
鎌倉の古い一軒家で暮らす四人姉妹、この配役、監督冥利につきるだろう。
 
三人の姉妹の父親が他の女性と家を出てしまい、母も再婚、なぜか三人だけで住んでいる。そこへ父の訃報が入り、異母妹がいることがわかり、一緒に住むことになる。
 
上の三人はもう務めており、四人目の妹は中学生。その後家族関係でそれほど大きな動きがあるわけではないが、そこは昔の日本映画の魅力に通じるというか、淡々と見せていく。長女(綾瀬はるか)と末の妹(広瀬すず)がかかえる問題が、それほど深刻ではないのだが焦点となっている。故人で遺影も見せない父が、背景である程度の存在感を示すかたちになっており、それが見るものに、少し考えさせるしかけになっている。
 
テレビドラマ2回分くらいでもいいようなものだが、最初から最後までこの文字どおり海街のはなしであれば、1回で見る映画がいいのかもしれない。カメラアングルには心地よい工夫がいくつかある。
 
綾瀬はるかは長女の安定感とその裏にあるあせり、いらだちをほのかに感じさせる。
広瀬すずはテレビドラマでその光る風貌と演技は認識しているが、この映画では抑えた演技と、そこから突然出てくるこの役の年齢特有のエクセントリックなところが、やはり大したもの。体のなかにある力を感じさせる生まれながらの女優。
 
私は長澤まさみのデビュー以来のファンだけれども、映画は久しぶり。今回の役は少し引いたかたちだが、時にちょっとはじけすぎる二女を過不足なく演じている。どきっとする容姿の見せ方も、この映画の調子の中で、いいアクセントになった。女優はこうでなくちゃ。
夏帆は4人の中では一番地味な役割だが、終わってみると全員の触媒というか、意外な見せ方の演技であった。ヴィジュアル的には十代の映画やCMの時が一番だが、今後もいい演技を見せてくれるかもしれない。
 
何人か出てくる男の俳優も悪くはないが、やはり女性がうらやましい。

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