サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ ( Side By Side 、2012米、99分)
監督:クリス・ケニーリー、製作:キアヌ・リーヴス
キアヌ・リーヴス、マーティン・スコセッシ、ジョージ・ルーカス、ジェームズ・キャメロン、デヴィッド・フィンチャー、デヴィッド・リンチ、スティーヴン・ソダーバーグ他
映画におけるフィルムとデジタルシネマ、その二つが連れ添っている状態(サイド・バイ・サイド)で、関係者のインタヴューをこれだけとったドキュメンタリー映画は、なかなか意義がある。
キアヌ・リーヴスが製作というから、彼もなかなかのもので、インタヴュアーとしても出演している。ほとんどがインタヴューで構成されており、上記のような有名監督を網羅しているほか、一緒に仕事をしているであろう撮影監督たちの発言も半分をしめている。
もうデジタルを否定するわけにはいかないということは皆わかっている。
それでも、粒子のある銀塩フィルムの色調など、まだフィルムの良さは多くが認めるところである。
デジタル主体になっての最大の変化は、フィルムが一巻10分弱で長回しがきかない、そして現像してラッシュを見るのは翌日だったのがそうではなくなったことである。特に撮影監督以外にほとんどの人がモニターで映像をチェックでき、意見を持つこと(述べるかどうかは別として)が出来るのは大きい。画面がどうかというより、これは映画全体に、演技も含め、確かに大きな影響を与える。
ただ小さいモニターを見ながらの進行を問題視する人もいて、それは確かにそうかもしれない。
そしてもう一つの大きな問題は保存である。少なくともフィルムはこの100年以上、撮影されたモノとして無くならなくて、ある程度丁重に保管されれば、アーカイブとして耐えるものになっている。
しかしデジタルシネマはといえば、コードとしてのデータは劣化しなくても、その形式、媒体など、あまりに変化が激しく、またヴァージョンの追跡などはむしろ難しくなってくるだろう、という予想が多くから出されている。
案外、デジタルデータから保存用のフィルムに移しておくというやり方が一番安全かもしれない。
これだけのビジネスになっている世界だから、なんとかなるとは思うのだが。