KORIN展 国宝「燕子花図」とメトロポリタン美術館所蔵「八橋図」
根津美術館 2012年4月21日(土)~5月20日(日)
ここが隈研吾の設計で改築された後に「燕子花図」を見るのは初めてである。その前に確か2回くらい見ている。今回いつもとちがって(記憶によれば)1か月とかなり長い間展示されるのは、メトロポリタンから「八橋図」が来ていて並べてみることができるから、特別にということだろう。
よく見ると数年前の印象より少し傷んでいるようにも見える。気のせいならよいが。
メトロポリタンのものは文字どおり橋がかかっていて、「燕子花図」も含めてこれらの画材の由来が理解できるのはよいし、これはこれで、一つ一つの燕子花など、優れたものだけれども、こうして並べてみると、「燕子花図」の突出したデザインがいかに跳びぬけたものか、ということがよくわかる。
特に六曲一双の右側の燕子花群がかなり上に上がっており、対して左側の燕子花群の上に大きな三角形の空間があって、両方とも記憶より偏っているところが、目にしたときの力、バランスを強調する力というかリズムというか、その効果が見事である。
そのほかにもいくつか尾形光琳の興味あるものが展示されており、また酒井抱一の「青楓朱楓図屏風」という大きな作品は、抱一にこんなに大胆なデザインがあったかと(銀を多用した驚かされるものはあるが)発見があった。これは個人蔵とかで、どおりで今まで見る機会がなかった。