越智(巨)3勝、館山(ヤ)9勝、三浦(横)7勝、小松(オ)11勝、佐藤(ソ)3勝、西口(西)8勝小笠原(巨)サイクル安打達成プロ野球62人目
ニッポン密着:
福島県は5月、いわき市の有料老人ホーム「シルバーレジデンス」の運営会社に改善措置命令を出した。無届けで、経営陣が入所者を置き去りにするなどずさんな運営だった。その実情からは、高齢者福祉が抱えるあやうさが垣間見えた。
発覚のきっかけは、電気料金滞納だった。
JRいわき駅から徒歩5分の3階建てビルを東北電力社員が訪ねたのは昨年9月26日。「ディサービス南町」の看板がかかる玄関から中を呼ぶと、2階から現れた男性が言った。「電気を止めないでほしい。生命維持装置を付けた人がいる」。そこにいたのは、身寄りのない66~91歳の男性1人、女性5人。要介護度は3~5で、歩くのもままならなかった。
運営会社は市内の「有限会社ワールドアシスタンス」。06年7月、かつてビジネスホテルだった築25年のビルを月130万円の家賃で借りた。
1階はデイサービスセンター、2階が「老人ホーム」、3階が会社事務所として使われていた。
エレベーターはなく、荷物搬入用に車庫を改造して取り付けた工事用昇降機が、車椅子の入所者の移動にも使われた。ヘルパーらが詰めていたが、部屋にナースコールはなく、夜間はドアが開け放たれていた。
家賃も払われなかった。経営陣が入所者を残していなくなった9月14日時点で滞納は約1800万円。事務所には、ジャージーや靴下が脱ぎ捨てられ、ゴルフボールや書類が散乱していた。夜逃げを思わせた。
その日から、東北電力社員が訪れるまで12日間。かつて勤務していたホームヘルパーらが交代で面倒を見ていたことで、幸いに入所者は事なきを得た。
■
ワールド社は04年4月、市内で病院を経営する院長(51)が、訪問介護などの居宅サービスを目的とする「メディカルサービス法人」として設立した。当初、別の場所に木造平屋の「宅老所」を開き、病院の患者で身寄りのない人たちを住まわせたが、老人福祉法改正で、有料老人ホームの届け出が必要になったため、旧ビジネスホテルを利用することにした。
入所者には、2階の部屋を「賃貸アパート」として住民登録させた。家賃は生活保護受給者が月3万円、最高でも6万円。元社員は「1カ所に抱え込めば介護報酬も医療費も稼げるから、一石二鳥」と解説する。
入居者の要介護度は平均4。1人当たりが利用できる介護保険サービスの限度額は毎月30万6000円(自己負担1割)で、身寄りのない人を礼金・敷金なしで入居させても元は取れる。生活保護者の場合は、医療費が公費で負担される「上客」。ワ社に支払われる介護報酬は一時、月500万円にも上ったという。
だが、院長が昨春ごろから、「サービスが劣悪になった」として、施設を利用していた患者を引き揚げ始めた。最大約20人いた入居者は激減、ワ社は従業員の給料も支払えなくなった。本当の理由は双方の言い分が食い違い、やぶの中だ。
■
ワールド社の実質経営者は取締役(59)だった。主に80~90年代、新潟市の弁天橋病院(当時)など経営難の病院乗っ取りを繰り返し、その過程で中心人物らが刑事責任も問われた「新田グループ」との関係を認める。「頼まれて病院の経理を調べたが、犯罪には関与していない」。院長との関係は10年以上前、「病院経営のことで相談を受けて縁ができた」という。
「法律(老人福祉法)が変わったから、老人ホームでなくアパートにした。届け出は必要ない。行き場のない人を低家賃で入れた。それが問題なら、なぜ罰せられなかったのですか」
「医療介護経営アドバイザー」の名刺を持つ取締役は、法律を知り尽くしている。福島県の中井重幸・高齢福祉課長の言葉が、それを裏付ける。「県は有料老人ホームだと認定して調査に入ったが、その届け出がない以上、相手が『老人ホームではない』と主張すれば、裁判で争ってみないと分からない。それでも今回何もしないと、行政の不作為になってしまう」
置き去りにされた6人は別の施設に移ったが、当時、県の担当者に「身寄りのない者を預かってもらい、ありがたかった」などと、感謝の気持ちを示したという。結局、誰も責任を問われることはなく、老人ホームは既に閉鎖され、ビルは今、競売にかけられている。
厚生労働省の集計では昨年7月現在、31都府県で501の無届け有料老人ホームが確認されている。
==============
■ことば
◇老人福祉法と有料老人ホーム
06年4月に老人福祉法が改正され、有料老人ホームは1人でも入居者がいれば都道府県への届け出が義務づけられた。従来は10人以上だった。入所者に(1)食事の提供(2)介護の提供(3)洗濯、掃除などの家事(4)健康管理のいずれかのサービスを提供する施設を指し、07年7月現在、全国に2846施設あり、法改正前(05年7月)の1418施設から倍増した。
(2008年8月31日 毎日新聞東京朝刊)
有料老人ホーム?は未だに不透明な部分が多い。今後も新築・増設されてくるのかな?と思うと心配である。立場の弱い高齢者が根こそぎ財産等を奪われて、路頭に迷うと大変である。また、「高齢者賃貸住宅やアパート、マンション」なども怪しいものもある。当然、ほとんどの経営者・管理者はキチンと運営されている。全国で突出した一部の管理者が問題となり事件になっている。その最後処理は悲惨である。
個人情報保護法の順守をしながら、運営の透明性は必要である。第三者機関を導入するなどして、常に現状を検証しながらクリーンな経営を期待したい。
ニッポン密着:
福島県は5月、いわき市の有料老人ホーム「シルバーレジデンス」の運営会社に改善措置命令を出した。無届けで、経営陣が入所者を置き去りにするなどずさんな運営だった。その実情からは、高齢者福祉が抱えるあやうさが垣間見えた。
発覚のきっかけは、電気料金滞納だった。
JRいわき駅から徒歩5分の3階建てビルを東北電力社員が訪ねたのは昨年9月26日。「ディサービス南町」の看板がかかる玄関から中を呼ぶと、2階から現れた男性が言った。「電気を止めないでほしい。生命維持装置を付けた人がいる」。そこにいたのは、身寄りのない66~91歳の男性1人、女性5人。要介護度は3~5で、歩くのもままならなかった。
運営会社は市内の「有限会社ワールドアシスタンス」。06年7月、かつてビジネスホテルだった築25年のビルを月130万円の家賃で借りた。
1階はデイサービスセンター、2階が「老人ホーム」、3階が会社事務所として使われていた。
エレベーターはなく、荷物搬入用に車庫を改造して取り付けた工事用昇降機が、車椅子の入所者の移動にも使われた。ヘルパーらが詰めていたが、部屋にナースコールはなく、夜間はドアが開け放たれていた。
家賃も払われなかった。経営陣が入所者を残していなくなった9月14日時点で滞納は約1800万円。事務所には、ジャージーや靴下が脱ぎ捨てられ、ゴルフボールや書類が散乱していた。夜逃げを思わせた。
その日から、東北電力社員が訪れるまで12日間。かつて勤務していたホームヘルパーらが交代で面倒を見ていたことで、幸いに入所者は事なきを得た。
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ワールド社は04年4月、市内で病院を経営する院長(51)が、訪問介護などの居宅サービスを目的とする「メディカルサービス法人」として設立した。当初、別の場所に木造平屋の「宅老所」を開き、病院の患者で身寄りのない人たちを住まわせたが、老人福祉法改正で、有料老人ホームの届け出が必要になったため、旧ビジネスホテルを利用することにした。
入所者には、2階の部屋を「賃貸アパート」として住民登録させた。家賃は生活保護受給者が月3万円、最高でも6万円。元社員は「1カ所に抱え込めば介護報酬も医療費も稼げるから、一石二鳥」と解説する。
入居者の要介護度は平均4。1人当たりが利用できる介護保険サービスの限度額は毎月30万6000円(自己負担1割)で、身寄りのない人を礼金・敷金なしで入居させても元は取れる。生活保護者の場合は、医療費が公費で負担される「上客」。ワ社に支払われる介護報酬は一時、月500万円にも上ったという。
だが、院長が昨春ごろから、「サービスが劣悪になった」として、施設を利用していた患者を引き揚げ始めた。最大約20人いた入居者は激減、ワ社は従業員の給料も支払えなくなった。本当の理由は双方の言い分が食い違い、やぶの中だ。
■
ワールド社の実質経営者は取締役(59)だった。主に80~90年代、新潟市の弁天橋病院(当時)など経営難の病院乗っ取りを繰り返し、その過程で中心人物らが刑事責任も問われた「新田グループ」との関係を認める。「頼まれて病院の経理を調べたが、犯罪には関与していない」。院長との関係は10年以上前、「病院経営のことで相談を受けて縁ができた」という。
「法律(老人福祉法)が変わったから、老人ホームでなくアパートにした。届け出は必要ない。行き場のない人を低家賃で入れた。それが問題なら、なぜ罰せられなかったのですか」
「医療介護経営アドバイザー」の名刺を持つ取締役は、法律を知り尽くしている。福島県の中井重幸・高齢福祉課長の言葉が、それを裏付ける。「県は有料老人ホームだと認定して調査に入ったが、その届け出がない以上、相手が『老人ホームではない』と主張すれば、裁判で争ってみないと分からない。それでも今回何もしないと、行政の不作為になってしまう」
置き去りにされた6人は別の施設に移ったが、当時、県の担当者に「身寄りのない者を預かってもらい、ありがたかった」などと、感謝の気持ちを示したという。結局、誰も責任を問われることはなく、老人ホームは既に閉鎖され、ビルは今、競売にかけられている。
厚生労働省の集計では昨年7月現在、31都府県で501の無届け有料老人ホームが確認されている。
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■ことば
◇老人福祉法と有料老人ホーム
06年4月に老人福祉法が改正され、有料老人ホームは1人でも入居者がいれば都道府県への届け出が義務づけられた。従来は10人以上だった。入所者に(1)食事の提供(2)介護の提供(3)洗濯、掃除などの家事(4)健康管理のいずれかのサービスを提供する施設を指し、07年7月現在、全国に2846施設あり、法改正前(05年7月)の1418施設から倍増した。
(2008年8月31日 毎日新聞東京朝刊)
有料老人ホーム?は未だに不透明な部分が多い。今後も新築・増設されてくるのかな?と思うと心配である。立場の弱い高齢者が根こそぎ財産等を奪われて、路頭に迷うと大変である。また、「高齢者賃貸住宅やアパート、マンション」なども怪しいものもある。当然、ほとんどの経営者・管理者はキチンと運営されている。全国で突出した一部の管理者が問題となり事件になっている。その最後処理は悲惨である。
個人情報保護法の順守をしながら、運営の透明性は必要である。第三者機関を導入するなどして、常に現状を検証しながらクリーンな経営を期待したい。
高いけど、それなりのケアをしてもらえると思って入れてるはず。
そんなんじゃ困りますよね。
確かに、経営難も出てくるのもわかります。
ただほったらかしってどういうことでしょ・・
不幸中の幸いといいましょうか・・誰も命にはまだ別状がなかったわけですよね。
調査もなかなか踏み入れられない・・かなりの盲点が多いですね・・
自分も身をおいてる介護業界だけに・・心配は尽きません・・
こうした確認・チェック機能の役割を、社会福祉士のような専門職に委託して頂きたい気がします。第2種社会福祉事業届出をしているのですが、これが生かされるように頑張りたいものです。将来は、地方分権の権限の範囲で可能になると良いですね。届出義務→定期的な確認や報告書提出→訪問調査・・・?必要だと思います。個人様の住宅だし、プライバシー保護も大切、なかなか敷居が高く、訪問できない現状もあります。この機会に透明性を担保するような「有料ホーム」に変わってほしいものです。
コメントありがとうございます。