東日本大震災:ホテル経営・千束さん、バス改装し移動販売--宮古 /岩手
◇「買い物の助けに」
宮古市鍬ケ崎上町でホテルを経営する千束諭さん(59)が26日、送迎用の中型バスを改装して食料品を積み込み、仮設住宅を巡回する移動販売を始めた。ホテルは震災で水につかり一時は廃業も考えたが、「買い物で不自由な暮らしを続けている被災者の助けになりたい」と元気よく発車の合図を送った。
山田町の町民グラウンドに建つ仮設住宅。「バストア maido(まいど)」と名付けた販売車が「ピーヒャラピーヒャラ」と音楽を流して横付けした。車内には野菜、果物、イカやサンマの鮮魚、肉、卵、花などがいっぱい。チラシを配っていたこともあり、170戸のあちこちから買い物袋を手にした女性たちが現れ、身動きできないほどになった。年配の女性は「自転車で遠くまで買い物に出るが、帰りは汗だく。助かります」と袋をかざして見せた。
運転手の関係で運行するのは当面3台。北は野田村から南は釜石市まで、1カ所の仮設住宅を週3回巡回する。千束さんは「仮設住宅は高台にあるため買い物に不自由している。復興の手助けをしたい」と自らハンドルを握った。
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東日本大震災:高台の仮設住宅 お年寄り「坂きつい」
(毎日新聞 2011年7月27日 地方版)
「応急仮設住宅」は、市内から遠く、高台に建設されているため不便さは深刻だ。
坂道も多く、公共交通機関の運行もままならない。
近くには商店、スーパーもなく高齢者や一人暮らしの方、車のない方にはダブルパンチだ。通院などにも経費がかさむ。
行政・対策本部はこうした実情への配慮は見られない。自己責任でやれ!ということだ。
こうした中で、「移動スーパー」を始めたことは素晴らしい。仮設住宅から仮設住宅を巡回して生活用品や食材を販売する。被災者に寄り添うような支援だ。当然ながら有料であるわけだが、身近なところで、確認して、ほしいものを買い求め、手に入れる行為は大切だ。人として生きる意欲へつながる基本的な行為でもある。
次には、移動も可能になり通院とか、役所への用事とか、もっと気楽に外出できるような体制づくりが期待される。
復興への道のりは長く、険しいわけであり、行政は、民の活力、創造性を活かして支えてほしいものだ。
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