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東日本大震災:暮らしどうなる? 訪問看護「医療過疎地」支え!

2012-12-13 12:33:42 | 東日本大震災の情報

東日本大震災:暮らしどうなる? 訪問看護「医療過疎地」支え

 ◇心身細やかにケア 人員確保へ、開業基準緩和求める声

 東日本大震災で甚大な被害を受けた三陸地方は、もともと高齢化率が高く、医療や介護サービスの充実が求められる地域だ。震災で多くの医療機関や介護事業所が閉鎖や休止に追い込まれ、状況は厳しさを増している。市立病院など3病院が全壊した宮城県石巻市で、在宅の高齢者を支える看護の取り組みをみた。

 厳しい冷え込みが続いた2月初旬。ボランティアの看護師、佐々木あかねさん(27)は乗用車のハンドルを握り、急カーブの続く山道を抜けていった。石巻市中心部から1時間ほどかけて、牡鹿半島にある仮設住宅を訪ねた。

 佐々木さんを心待ちにしていたのは、大壁良樹さん(72)、郁子さん(68)夫妻。近くにあった自宅は、津波で跡形もなくなった。郁子さんは震災の3カ月前、がんのため、膵臓(すいぞう)の全摘出手術を受けた。余命宣告も受けたが、今は服薬だけで在宅療養している。

 訪問は5回目で、3人でこたつに入り、すっかり打ち解けた様子。佐々木さんはおしゃべりしながら、夫妻の健康状態や生活の様子、飲んでいる薬などについて聞き取っていく。

 「おかあさん、足のむくみはどうですか。見せてもらっていいですか」。郁子さんの足をさすりながら、「中心に向かってマッサージするといいですよ」とアドバイス。「看護師さんが来てくれるのは心強い」と夫妻は口をそろえる。

 郁子さんは月1回、良樹さんに付き添われ、市街地にある病院に通う。バスを乗り継ぎ、片道2時間。郁子さんは「動けるうちは自分で通院したい」と言うが、佐々木さんは「通院は体への負担が大きくて心配。入院せずに少しでも長く自宅で過ごすためにも、病院にかかるだけでなく、定期的な訪問看護を利用してもらえれば」と話した。

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 牡鹿地区の高齢化率は約4割(10年)で、市全体より1割以上も高く、日本の50年後の人口構成比に近い。
しかし、病院は一つだけで、特別養護老人ホームやデイサービス事業所も各1カ所しかない。
その事業所も、震災の影響で職員を確保できなくなり、2月末で閉鎖の予定だ。

 佐々木さんが所属する「全国訪問ボランティアナースの会・キャンナス」は震災後、全国から集まった看護師、作業療法士らで、主に宮城県気仙沼市、石巻市の避難所で支援活動を続けてきた。
避難所が閉鎖に向かったころ、石巻市から、市内中心部より医療や介護サービスが乏しい牡鹿半島で支援してほしいと要請された。

 昨年10月から半島での活動を始め、現在は、高齢者や難病患者ら100世帯以上を定期的に訪問する。
血圧を測ったり、話し相手をしながら、療養上のアドバイスをし、心のケアにも努める。地域を回るほど、支援が必要な人が次々と見つかるという。孤立する高齢者だけでなく、家族を亡くし、うつ状態で外に出られない人もいる。

 一方、ボランティアに頼った活動は不安定で、限界もある。
数カ月以上滞在する看護師や作業療法士は、仙台市出身の佐々木さんを含め3人。他は、3日間~1週間程度の短期ボランティアだ。「数年単位で支援を続けるには、医療保険や介護保険制度に基づいた訪問看護の拠点が必要です」と佐々木さんは力を込める。

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 訪問看護の担い手は、全国的にも不足している。休止や廃止に追い込まれた訪問看護ステーションの半数は、人員不足によるものだ(09年度の厚生労働省調べ)。

 訪問看護サービス事業は、常勤換算で2・5人の看護師などの配置が必要。
被災地では特に人材確保が難しいため、厚労省は昨年4月、市町村の指定を得れば、1人でも開業できる特例を設けた。

 この被災地特例を利用し、福島市内で今月1日、看護師1人の訪問看護ステーションが誕生した。
事業申請したNPO法人まごころサービス福島センターの須田弘子代表は「市内には震災、原発事故で約5万5000人が避難してきている。被災者の方々を支えていきたい」と話す。

 ただし、特例措置は今月末で期限を迎える。28日に開かれる社会保障審議会の分科会で、延長の可否が決まる予定だ。須田さんは「目の前に必要な人がいるのだから、何とか継続させたい」と期待を寄せる。

 キャンナスの佐々木さんも昨夏、石巻市に1人開業を申請したが、認められなかった。
「期間限定では安定的なサービスが望めない」が主な理由だった。市介護保険課の担当者は「訪問看護の事業申請は従来、県で受けているので、今回だけ市で判断を、といわれても難しい」と明かす。

 牡鹿半島のように「医療過疎」「介護過疎」が進む地域は全国各地にある。
キャンナスの菅原由美代表は「1人開業の看護師は小回りが利き、柔軟に対応できる。ニーズが点在し、大きな事業所では採算が取れない地域でも、住民の生活を支えていきたい」と話す。

 超高齢化社会を目前に、病院や施設型ケアから、在宅医療や介護に重点を置く方針を、国も明確にしている。
福祉ジャーナリストの浅川澄一さんは「在宅ケアを推進するのに訪問看護の拡充は欠かせないが、人材不足でなかなか広がらない。一方、出産・育児で病院を退職した看護師がたくさんいる。地域で1人でも開業でき、近くのお年寄りをみるようになれば、入院が減り、経済効率性も高いはずだ」と話し、震災をきっかけにした1人開業の広がりに期待を寄せる。被災地での取り組みの成否は、国全体の行方を占うといえるだろう。

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 ◇訪問看護ステーション
 医師の指示に基づき、看護師や作業療法士らが、自宅療養の人に介護や医療のサービスを提供する。床ずれの手当てや服薬管理、食事や入浴など日々の生活をサポートする。91年の老人保健法(現・高齢者医療確保法)改正で制度化された。病状や年齢などに応じ、医療保険と介護保険を使い分けて利用する。11年7月現在の全国の事業所数は5815。同年の利用者数は介護保険が約29万人、医療保険が約10万人。
(毎日新聞 2012年2月27日 東京朝刊)

今年の2月の貴重な新聞記事だ。師走になり衆議院選挙もあり慌ただしい日々が続く。
その後どうなっているのだろうか?
身近な地元に視線をやっても、被災地の現状は全く改善されていないことに憤りを感じる
既存の制度や仕組みが足かせになっているのか?・・新しいことをやる気がないのか?・・
地域や住民のニーズに必要な対応ができないで困っている実情も見られる。もっと弾力的な施策の運営ができなものか?
未曾有の大震災の中で、規制緩和すればもっと被災者や高齢者に寄り添うような支援ができることがある。
地域の実情をしっかり把握できるような仕組みづくりが大切だと痛感する日々が1年9ヵ月経過しても続く。
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