銀幕大帝α

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おくりびと

2009年03月20日 23時51分27秒 | 邦画ドラマ
08年/日本/130分/劇場公開
監督:滝田洋二郎
出演:本木雅弘、広末涼子、山崎努、余貴美子、吉行和子、笹野高史

<ストーリー>
納棺師の見習いとして働く元チェロ奏者が、納棺という仕事を通じて自分なりに死と向き合い、成長していく。
<感想>
晴れてアカデミー賞外国語映画賞を受賞したからとはいえ、決して過剰評価するつもりは無かったけれど、この映画は本当に素晴らしかった。

‘人間の死’という重いテーマを扱ってはいるが、時折ユーモアを交え、仕事の大切さや人の温かみ、信頼や親子の絆の深さというものを丁寧に描いていたと思う。

何となく伊丹監督の『お葬式』と同じ匂いを感じた。
あそこまでコメディじゃないけれど、人間同士のふれ合いというのかな、その辺をきっちり描ききっており、ヒューマンドラマとしても感動ドラマとしても申し分ない完成度でしょう。

納棺師というのは、職業としては異色だから、一般の人から見れば“死を扱う職業”として敬遠されがち。

映画内で遺族が大悟を指差し「あんな人生を送りたいのか!」とセリフを吐く場面があるが、確かに普通の人では出来ないし、ましてや夫がそんな職業に就いていれば妻が理解出来ないのも良く分かる。

けど、この納棺師という職業は死んだ人を生きているかのように甦らせ、大切に送り出す。
その過程というものは神秘的で、一種の「茶道」や「花道」に似た独特な作法で魅了してくれる。
納棺師の仕事ぶりを見ていて、誰もが固唾を飲むことは間違いないのだ。

現に私も一昨年祖母を亡くし、その時納棺師の仕事を拝見したのだが、あまりにも手際よく且つ美しい流れの中で、祖母の顔が見る見る生き返ってきた時には思わず感動し涙したものだ。

世の中色んな職業があるが、人はそれぞれその仕事に誇りを持っている。
亡くなった人に精気を与える事で、遺族に喜びと更なる悲しみを抱かせる納棺師。
こんな素晴らしい職業はそうはないだろうなぁ。

妻・美香が「夫は納棺師なんです!」と言うのだが、それまで職業に対して否定的な考えだったのが、その仕事ぶりの素晴らしさに考え改め、「誇りを持って欲しい、私も誇りを持つから」という想いが演じた広末涼子の表情からも読み取れ、また大悟が疎遠していた父と思いがけない形での再会で涙するというラストの場面は本当に感動的でした。

正直な所、アカデミー賞を獲ったという事だけで、興味本位で借りた本作。
本来なら、絶対手を出さない部類の作品ですけど、これは観ておいて良かったです。
この作品から伝わる心地よい温かさは、是非皆さんにも味わって欲しいなぁ。

オフィシャル・サイト

評価:★★★★☆
09/03/19DVD鑑賞
滝田洋二郎 ドラマ 本木雅弘 広末涼子 山崎努 余貴美子 吉行和子 笹野高史 杉本哲太 峰岸徹 山田辰夫 久石譲 納棺師 アカデミー賞外国語映画賞 日本アカデミー賞優秀作品賞 モントリオール世界映画賞グランプリ受賞 DVD新作
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2 コメント

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Unknown (アニー)
2009-03-21 20:27:20
この映画は、見る人の経験によって
かなり受け取り方が違う気がします。

私も、ヒロ之さんと一緒で・・いや、年齢的に
私の場合は母親なんですが^_^;

それと重ねて見てしまって、その時の気持を
思いだ、感情移入してしまったようで
時間イッパイ引き込まれてしまいました。

題材の重さを軽減する笑いも入り
家族、そして人間の繋がりってモノを体感出来て上質な作品でした。
返信する
>アニーさんへ (ヒロ之)
2009-03-22 00:05:11
祖母の死というのを最近経験し、その時納棺師さんの仕事ぶりを目の当たりしたもので、その時の記憶が観ている間、ふつふつと甦ってきました。

重い内容にせず、時折ユーモアを入れているってのも良かったですね。
とても観易かったです。
そして、観終わった後には、心が温かくなりました。
アカデミー賞受賞という快挙にも納得です!
返信する

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