日産自動車が本年度に5種類の低燃費技術を投入、と発表しています。もちろん地道な改良は続けていたはずですが、トヨタのハイブリッドのような飛び道具がなかったため、ここで大きくアピールしておこうということでしょう。具体的には以下の通りです。
1. クラストップとなる26km/Lの低燃費を実現する小型車用新開発パワートレイン
2. 世界最高水準の厳しい規制「ポスト新長期規制」に適合したクリーンディーゼルAT車
3. 独自技術で優れたエネルギー効率を実現する新開発ハイブリッドシステム
4. 量産車初のデュアルインジェクターを採用した新開発1.5リッターエンジン
5. 2.5リッターエンジン並みの出力と燃費性能を高次元でバランスさせた新開発
1.6リッターガソリン直噴ターボエンジン
1は4気筒エンジンを3気筒にして部品点数を減らしたことと、マツダのi-stopに対抗したアイドリングストップ機能を開発したことが鍵のようです。高回転まで回さないエンジンで無理に多気筒化する必要はありませんから、3気筒でも実用域で不具合がなければそれで十分です。上まで回さない、と言うよりも上まで回らないように設計しておけばベアリング系も華奢なもので済むのでフリクションが減らせ、低燃費が期待できます。こうした積み重ねが26km/Lを達成したのでしょう。立派な数字です。ただし高負荷に耐える設計でないことは承知して買うべきですね。
2はエクストレイルのATモデルがやっと出るということですね。触媒におけるプラチナの使用量を減らして資源の高騰に対抗する意味もあるようです。極楽家にはEクラスCDIを買うほどの余裕はないので、現状ではこれなら考えてもいいかな、という唯一のディーゼルです。
3でやっと独自のハイブリッドシステムが出てきます。トヨタ方式よりコストがかなり高いのか、まずは大型高価格のエンジンから投入となっています。このハイパワー型ハイブリッドは既にベンツも出していますから、形式にさほどの新味はありません。もちろん後発だけあって完成度は高いでしょうから、実車に期待します。
4は先日発売になった「ジューク」のエンジンです。4バルブエンジンはインポートマニホールドが各気筒2本ありますから、それぞれに専用のインジェクターを装備しています。今までのエンジンではマニホールドが2つに分かれる前に共通のインジェクターで燃料を噴射していたのですね。よりシリンダーに近い位置で噴射できるので、制御がきめ細かくなるそうです。それを言うならシリンダーに直接噴射する直噴エンジンの方が更に有利だと思いますが、このクラスのエンジンに直噴はコストの問題があり、ポート噴射に落ち着いたようです。
5はVWのTSIエンジンと同じで、ダウンサイジングで小さくなったトルクを直噴ターボで補うもの。このスタイルは日本でも流行するものと思っていました。DLCとあるのはビデオテープや4WDトランスファの表面処理に使われているダイヤモンドライクカーボンのコーティングでしょう。磨耗を極限まで減らせますから、その分シャフトなどを細くできるため、フリクションが減らせるということです。1.4L TSIよりも手の掛かったエンジンのようで、セレナクラスのミニバンまでカバーできるような仕様です。日産は2.4L自然吸気エンジンをこの1.6Lターボで置き換える考えなのではないでしょうか。