いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

禁煙のコンプライアンス

2009年03月18日 | たまには意見表明

 3月14日からのダイヤ改正に伴って、東海道線のホームから喫煙所が撤去されて全面禁煙になりました。やや唐突な気がしなくもないですが、一部の喫煙所利用者のマナーが悪く、ずっと離れた階段やエレベーターからスパスパやりながら喫煙所まで歩いて行く人がけっこういたのは事実です。ですから、非喫煙者の権利を守るために他に方法がないと思ったのでしょう。全面禁煙はマナーを守って喫煙所で吸っていた人にはお気の毒ですが、受動喫煙の害を考えればいずれ公共の場は原則禁煙になるのが趨勢ではあります。

 問題は、喫煙所以外でタバコを吹かしていたようなアウトロー的な人たちで、実質的に罰則なしの規則が厳しくなったところで、こうしたコンプライアンスのない人は従ってくれないでしょう。今は警備員の巡回が増えているので見かけませんが、全面禁煙が今後も守られていくかどうかは少々気になります。路上禁煙区域を設定した名古屋駅周辺も、巡回が少なくなった頃から吸殻が目立ち始め、今では気の強そうな人なら平気で吸っています。

 実は病院もタバコでは苦労しています。少し前までは「どうしても我慢できない」という人のために喫煙所を設けていたのですが、「病院機能評価」や「禁煙外来」の導入で喫煙所を廃止せざるを得なくなりました。喫煙所のある病院は機能的に劣ると格付けされてしまうからです。その結果、駐車場や玄関前などで分散して吸われるようになり、敷地内の環境は却って悪化しました。これは火災防止の面からも管理しにくくなるので不都合です。

 確かに病院は病気の治療をする施設ですが、一部喫煙者のコンプライアンスの悪さを考えれば、喫煙所を作ってそれ以外の禁煙を徹底した方がいいようにも思います。これは駅でも同じじゃないでしょうか。

 ただ喫煙所にも見逃せない欠点があります。子連れの喫煙者が、子供を喫煙所に引き込んでしまうことが多いんです。最も守られるべき子供が、集団でモクモクやっている中で最悪の受動喫煙に曝される無残な光景を、空港などで何度も見ています。家庭でも煙を吸わされるのに慣れているのか、普通の子供と変わらず煙の中ではしゃいでいるのを見るとうんざりです。

 以上のケースをまとめてみます。タバコの害から守られるべき対象は、駅のホームや病院、空港などの公共施設にいる非喫煙者、とりわけ子供です。できれば、子供はそれぞれの家庭での受動喫煙からも守りたい。それから隠れタバコにより火災の危険が増大する建物と中の人ですね。これらすべてを完全ではないにしても、現状より少しでも守る手段としては、原点対策すなわちタバコの流通に手をつけるしかないのではないでしょうか。簡単に言えばタバコの値上げです。技術的にはタバコの有害物質を規制して、基準値以下の製品を優遇することも可能ですね。

 JRグループは独自の非喫煙者保護策として全面禁煙を導入したのでしょうが、喫煙所は残したまま政府にタバコ値上げを働きかけた方が実行があるように思います。先日も東海道線で列車のトイレにこもってずっとタバコを吸っている男性がおり、こういう人にコンプライアンスを期待しても効果は期待できないでしょうから。
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