いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

「ガソリン国会」の行方は

2008年01月18日 | たまには意見表明
 臨時国会が終わったと思ったら今度は休む間もなく通常国会です。何となく成立してしまった給油新法は既に大多数の国民の関心事ではなくなったようで、今度はより生活に直結した租税特別措置法、すなわちガソリンの暫定税率の扱いについて与野党の攻防が始まります。論点が非常にわかりやすいので、多くの国民が興味を持って見守ることでしょう。

 私は元々暫定税率の維持には反対で、ばら撒きで道路を作るぐらいなら自動車ユーザーに税金を戻すべきだと思っていますし、一般財源への繰り入れにしても負担が偏り過ぎて望ましくないと考えます。

 自動車産業とその顧客が戦後の日本を豊かにした最大の原動力なんですから、「自動車の社会的費用」などという取って付けたような理屈で高負担を強いられるのは筋違いもいいところです。せめて石油が高騰して景気の先行きが危ぶまれる今ぐらい、景気対策として税率を下げるのが正当じゃありませんか。

 道路整備のための「暫定」税率が決められたのは1974年(昭和49年)です。これが地方自治体とそれにしがみ付く土建業界の「既得権」と化して「暫定」と言われながら30年以上の長きに渡り続いているのは、一向に構造改革が進まない日本の象徴であり、日本の政治と経済が改革の能力を有してまともに機能する(従って投資に値する)ことを示すためには何が何でも断ち切らねばなりません。

 サブプライムショックが本国であるアメリカよりも日本に堪えているのは、元々日本の将来に期待が持てない資金が、日本を離れるきっかけを探っていたからでしょう。この10年、アメリカほどの好況もないくせに、アメリカが停滞すれば同じように停滞する経済なんて、外資から見れば魅力がないのは当然です。位相が同じで振幅が小さく、中長期的に低落傾向とあれば、資金運用者から見ればリスクヘッジにもなりませんよね。

 従って、民主党がこの点を最重点に国会に臨むのは国民の意に適っており、大賛成です。実際に報道機関の調査では2/3の有権者が暫定税率廃止を支持しているようです。自民党はこれをポピュリズムと批判していますが、支持率の低迷する福田内閣がこの圧倒的な世論を無視することはできないでしょう。まともに戦うことはせず、どこかで「落としどころ」を探ってくると思います。

 まずは福田首相を矢面に出さない形で、町村官房長官が有権者の「ご機嫌伺い」に出てきたようですね。「お金が天から降ってくるわけではない」という意見はごもっとも。増税の折には我々サラリーマンもぜひ同じ事を言って反対したいと思います。ついでに言わせて頂ければ、UFOも天から降ってくるわけではないと思いますよ。

 町村さんが暫定税率廃止に反対する根拠としている、「地方自治体の財政に影響がある」という言い方は筋が通らないものです。「道路特定財源による道路整備はもう十分だから、一般財源に繰り入れて自由に使えるようにしよう」と言い出したのは政府だからです。一般財源に繰り入れるほどの余裕があるのなら、今までと同じ額の道路整備は必要がないということです。

 しかも、自動車ユーザーは揮発油税に限らず、いろいろな形で暫定的な税の高負担を続けています。町村さんが「ヨーロッパに比べれば日本の揮発油税率は低く、日本のガソリンは安い」と強弁しても、各種の税金や道路代を考慮すれば、先進国にあるまじき不当な負担をユーザーに押し付けていることは明白です。「ガソリンの暫定税率を据え置く代わりに、自動車重量税の暫定税率を廃止する」とでも言われるなら考慮に値しますがね。

 町村さんも、今回の会見で有権者の反応は確認できたでしょう。地上デジタルや著作権の問題に触れたくないマスコミも、もちろんインサイダー取引問題に蓋をしたいNHKも喜んで政府叩きに加わるでしょうから、さすがに今回の自民党には勝ち目がないと見ます。自動車ユーザーの皆さん、みんなでもう一押ししませんか?
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