いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

ソニーはオリンパスに何を望む

2012年06月22日 | たまには意見表明
オリンパス、ソニーと資本提携へ パナソニックは撤退(朝日新聞) - goo ニュース

 上記の報道がありましたけど、わかりにくいですね。オリンパスは損失隠しが明るみに出て危機的な状況にあるにもかかわらず、「将来の追加出資を認めない」などの条件を付けており、日本企業では最も資金力のあるパナソニックが見限って撤退。ブランド崩壊で赤字が慢性化したソニーが筆頭株主になるそうです。オリンパスの強気はどこから来るのでしょうか?ソニーが手を引けば、後は海外の投資ファンドなどが飛びつくことはわかっているのですが、その際にはオリンパス社内は徹底的にリストラされるはず。ここまでソニーが弱気な理由がわかりません。

 ソニーも余裕があるはずはないので、提携したオリンパスが利益を出せなければ、株主代表訴訟もあり得るでしょう。ソニーの株主には海外の機関投資家が多いですから、説明のできない巨額な支出は容赦されません。それでは、パナソニックではなくソニーにとってどうしても欲しいオリンパスの資産とは何でしょうか?

 現在の一般的なイメージとしては、どちらもデジカメの会社です。ソニーは昔からデジカメを製造販売していましたし、ミノルタの光学部門を吸収してデジタル一眼にも進出しました。流行のいわゆる「ミラーレス一眼」でも先行しています。今更オリンパスのデジカメ部門を配下に置いたところで、撮像素子の拡販が見込めるぐらいでしょう。ソニーが今からフォーサーズ規格に手を出すとも考えにくいです。フォーサーズの提唱はコダックとオリンパスですが、実質的な盟主はパナソニックですから。

 そうなると、ソニーが欲しいのはオリンパスのコア事業である内視鏡ぐらいしか考えられません。一般消費者にはあまり知られていないのですが、オリンパスの医用内視鏡と顕微鏡はトップシェアであり、海外の投資ファンドもこれを狙っていると言われます。ソニーはどうしても内視鏡事業が欲しいために、不利な条件をあえて飲んだということでしょう。でも、堅実な商売とは言え、内視鏡の販売だけが目的でしょうか?

 テレビ事業が壊滅状態にあり、AV機器やゲームもiPhoneに顧客を奪われてさっぱり次の道が見えないソニーにとって、医療機器への進出は社運を賭けた悲願なのでしょうね。旧ミノルタは黄疸計など医療機器でも定評がありましたが、同部門はコニカミノルタに引き継がれて、ソニーへの転籍組には含まれていなかったようですから、今度こそ医療機器への進出を果たしたいのだと思います。

 技術偏重でマーケティングの失敗によりSAMSUNGやLGにテレビ市場を奪われた日本企業の代表がソニーです。民生用にはコスト競争力がない高性能モニターも、医療用なら生き残る道があると踏んでいるのでしょう。それなら、一般消費者相手の需要があるのかどうか怪しいスーパーハイビジョン(7680×4320)の開発になお執心なのもわかる気がします。

 それ以上に、医療機器でオリンパスの営業網を活用できれば、ここまで種と水を蒔いてきた医療従事者用サイト、m3との相乗効果が期待できます。いずれは法律の改正を待って、医療従事者の派遣や病院経営も睨んでいるでしょう。家電メーカーとしては地に堕ちたとは言え、ソニーの認知度はなお世界的なものがあります。新参企業の多いフロンティアでは、ブランドは大いに役立つはずです。もちろん、ソニー生命保険は健康保険市場の自由化を虎視眈々と狙っているでしょう。

 家電になおも注力しようというパナソニックと対照的に、ソニーは家電から徐々に足を抜けようとしているかのようです。今の流れが続けば、日本に残る大手家電はパナソニック1社、ただし生産の主力は海外工場。ソニーは音楽や映像配信と保険、医療サービスの会社に変身し、東芝、日立、三菱は重電や部品産業で生き残りを図るという図式になると思います。
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