いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

「ゆきとトナカイのうた」

2008年01月11日 | 極楽日記(読書、各種鑑賞)
 古本で入手した絵本です。絵本としてはかなりの長編で、テキストも多いので少し大きい子用でしょう。もちろん、読み聞かせなら1年生の極楽息子(大)でも大丈夫。

 明るい色調の絵に惹かれて読んでみると、極北に住む遊牧民族、サーメ人の本当に厳しい生活がありのままに描かれています。都会に住む人が安直に抱くような「自然との調和」なんて相手にもされない、ぎりぎりの環境での人と人、そして人とトナカイが身を寄せ合って生きる伝統的な暮らしぶりは、ひ弱になってしまった我々から見ると輝いて見えます。それにこの女の子、とても楽しそう。人間としての能力を精一杯に発揮して生きるのは気持ちがいいものなのでしょう。

 もちろん誰だって生活が豊かな方がいいので、時代に合わせてスノーモービルを取り入れるなど、遊牧の生活も近代化してはいます。この本はオランダで1988年に受賞、とあるので20年ほど前のことです。今ならきっとノキアの携帯を持って遊牧しているでしょう。

 昔は日本にも動物を狩ってそれだけで暮らすマタギや、北海道あるいは北方諸島の狩猟生活者がいましたね。サーメ人も人種的にはヨーロッパの白人と言うよりは、アジアの狩猟民族に近い部分があるようです。どこか心情的に共通するようなものも感じます。

 雪と氷の土地は本当に貧しくて、トナカイの餌と言っても夏に生える苔類しか頼れるものがありません。苔が不作の年はトナカイが飢え、人間も窮乏しなければいけないのです。こんな状況ですから、トナカイを殺しても決して無駄にすることはありませんし、神への心からの感謝を忘れません。我々だって、食事の前には手を合わせて「いただきます」と言いますね。食物は生き物。命を「いただいて」我々は生きられるのです。

 こんな説明をしながら読み聞かせると子供が静かに、熱心に聴いてくれます。お薦めですよ。
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