最近の「通勤の友」になっている立花隆「巨悪vs言論」です。800ページ近い厚さで、しかもハードカバーなので携帯には向きませんから、ブックオフで見つけて以来、しばらく積んであったのですが、やっぱり読み始めると面白い!
前代未聞の「首相の犯罪」であるロッキード事件が知られるようになってから、より一層の権力掌握を目指し、なりふり構わず司法干渉と言論操作に打って出た田中角栄が、民主主義の最後の牙城だけは崩すことができず、最後は時間切れで健康を害して政治力を失う。この一連の貴重な記録を、ドキュメンタリーとしてもサスペンスドラマとしても非常に興味深く読んでいます。あの時点で司法の独立性や言論の自由が侵されていれば、民主主義日本は実質的に瓦解し、すべてが闇の中で決まるマフィア国家に堕ちていたのでしょう。立花さんの田中角栄に関する一連の著作は、今なお価値を失わない立派な古典です。