いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

豊橋市自然史博物館

2006年08月07日 | 極楽日記(日帰り)

 ついに豊橋市自然史博物館に行ってきました。駐車場からも見えるブラキオサウルスの親子がお出迎え。

 身長112cmの極楽息子(大)が足先までしかありません。この博物館は真面目な研究機関でもあるので、もちろん実物の個体に合わせた大きさでしょうが、とにかくでかい。

 こちらは鳥のように子育てをしたとされている草食恐竜、マイアサウラです。

 マイアサウラは、幼稚園児に人気の絵本、「あなたをずっとずっとあいしてる」でお馴染です。極楽息子もお気に入りの本ですが、「シートン動物記」や「ファーブル昆虫記」で育った極楽親父は残念ながらこの本が好きになれません。あまりにストーリーを作り過ぎて、サンリオの動物映画みたい。恐竜を擬人化するのは構いませんが、ここまでやると恐竜ではなくなっています。

 たかが子供の絵本にうるさ過ぎるかもしれませんが、読書は子供の将来の血肉になるものです。子供が喜べば何でもいいなら、大判のハードカバーなんか買わずに、安いマンガでも与えておけばいいじゃないですか。「たかが絵本」では済まないと思っているから放っておけないのです。

 1980年代にナチスによるホロコーストを題材としたコミック、「マウス (MAUS)」がコミックの枠を越えて辛らつな社会分析の業績として受け止められ、世界中の大学で研究対象にまで選ばれた作家、スピーゲルマン (Spiegelman)さんは、あるインタビューで、「私は動物という人間のカリカチュアを通じて現実の問題を描いた。類似の作品では逆に現実をカリカチュア化しているものがあり、危惧を抱いている。」と話されています。

 つまり、重い現実を茶化すんじゃない、ということです。ストーリーに親しみを持たせるために、あるいは息抜きのために動物を使うのはいいでしょう。しかし、「動物なら子供が喜ぶ」という甘えが先行すると、大事なストーリーやテーマが二の次になります。こうした「作り物」は、例えばアイドルタレントを出して視聴率さえ稼げば、というテレビドラマに似て、本気で見るのに値しないものです。

 大人にとって絵本は暇つぶしの軽い読み物で構いません。しかし子供にとっては真剣な読書そのものです。私はやかましい親父かもしれませんが、息子には(様子を見ながら、ですが)できるだけ本物に触れて欲しいと願います。例えば、恐竜のゲームじゃなくて博物館のような。

 虚構の世界に遊ぶことも面白いですが、いかなる天才の創造をも超える自然の多様さと美しさを知ってこそ、創造もより豊かになるというものではないでしょうか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする