晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

レナード彗星2nd 観望記録(12/11)

2021年12月11日 | 彗星
レナード彗星の2nd観望記録で~す。

 昨日は雲に阻まれて空振りに終わったので今日が明け方に見えるレナード彗星のラストチャンスです。本日も雲がモクモク発生する予報なので、できるだけで雲が少ない地域の選定が必至です。

 SCW局地予報も更新するたびに晴天域が変わる不安定な天気でしたが牡鹿半島と亘理方面が比較的雲が少なかったので今回は距離的に近い亘理にしました。これだけ雲があると観測地選びは賭けであって運まかせですが今回は大当たりで、亘理は4時から5時20分まで雲がほぼありませんでした。

 今日のレナード彗星は4時30分の高度が5°、4時45分で7.5°、5時00分でやっと10°です。薄明が始まる5時08分でも高度が12°しかないので条件としてはかなり厳しいです。高度10°は大気減光で実質等級より1等級暗くなるので肉眼ではまず見えないと思います。

 さて、観測地につきました。東は太平洋なので真っ暗ですが冬の天の川が見えるほどの暗さではありません。それはさておき時間がありません。さっそく撮影です。双眼鏡で見ても位置が分からないので本日もデジカメで捜索です。

  本日のファーストショット

2021/12/11 04h43m56s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO12800 f5.6 20sec

 ありました! 12/6に比べて尾はそれほど長くなっていませんが核が明るくなっています。
撮影時の彗星の高度は約8°ですがまっすぐに伸びた尾がしっかり写っています。

2021/12/11 04h53m08s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f400mm ISO8000 f7.1 60sec

地球に0.24AUまで近づいたレナード彗星(2枚コンポジット)

2021/12/11 04h59m20s ,05h00m29s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO8000 f7.1 60sec×2

 こちらは、あまり変わり映えしませんが彗星核基準で2枚をコンポジットした画像です。(^^ゞ
すでに薄明が始まっているので背景がやや明るくなっています。

2021/12/11 05h15m07s ,05h16m23s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO8000 f6.3 60sec,30sec

 薄明の空で輝くレナード彗星(2021A1 Leonard)

2021/12/11 05h23m28s  D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO3200 f7.1 60sec

 あっという間に空が明るくなりました。今回の撮影時間は4時45分から5時30分まででしたが、その90分間でレナード彗星はかなり移動していました。こちらは120秒間露出した画像ですがレナード彗星が移動している様子がよくわかります。

2021/12/11 05h24m54s   f600mm ISO2500 f8 120sec

 本日ヘルクレスの左手付近にいるレナード彗星は明日はさらに高度を下げてへびつかい座に移動します。薄明開始時の高度が3°ですので撮影できないことはないですが日の出前の撮影は今日で終了です。日没後に見えるレナード彗星は高度が低いので撮影はかなり難しいですが核が明るくなっているので金星との接近はチャレンジしてみたいですね。

レナード彗星(2021 A1 Leonard)観望記録 12/6

2021年12月08日 | 彗星
みなさんお待たせしました~。レナード彗星観望記録です。

 天気が冬型モードになって撮影できる日がほとんどありませんでしたが、奇跡的に12月6日早朝に快星の予報が出たのでプチ遠征に行ってきました。

 今回は肉眼彗星になっているかを確認するために空が暗い場所での観望を計画していたので観測地の選定にはかなり迷いました。

 天気が良いと言っても東北地方のこの時期はすぐ時雨れたり、山越えの季節風が雲を運んできたり、低層に濃霧が発生したりで気が抜けません。SCWやWindyの情報から今回は一番リスクの低い地域として薬莱山方面にしました。

 薬莱山は東に大崎市があるので光害が心配ですが天気とソラノクラサ優先でここに決定です。

 
 本日の撮影タイムはレナード彗星が昇ってくる02時から薄明が始まる05時04分までの3時間勝負です。といっても低空は大気減光があるので実質は高度20°以上になる03時30分からの90分勝負です。

 ネットではホントか~と思うほど美しいレナード彗星の写真がたくさんアップされていますが真実の姿はどうなのでしょう。この目で確かめるほうき星とのファーストコンタクトはいつもドキドキです。

 そんなことを考えながら目的地に向かっているとグーグルナビが目的地が近いことを知らせています。本日の観測場所は薬莱山の東の田園地帯のど真ん中です。山方面は冬眠前の動物がまだいる可能性があるので今回はパスです。(^^ゞ

 おおー、星がたくさん見えます。なかなかいいですね~。東は大崎方面の光害がややありますが西の方は真っ暗です。カシオペヤ座からペルセウス座、オリオン座まで冬の天の川がアーチ状にはっきり見えます。久しぶり…というより初めての光景かもしれません。

 SQMの測定値は天頂で21.10です。前回より条件がかなりいいです。東の低空は光害の影響で測定値は20.40ですが悪くはないでしょう。さて、そろそろアルクトゥールスが昇ってくる時刻です。東の空を双眼鏡で捜索すると…ありました。大気減光でかなり暗く見えますがその左上にレナード彗星があるはずですが…むむ、全く見えません。

…ということでいつものデジカメDE確認で~す。

2021.12.6 02:24:52 D810A Zoom-NIKKOR*ED 50-300mm ISO3200 30sec
 この時のレナード彗星の高度は9°です。この写真を見る限りかなり小さいほうき星のようです。

 見た感じは2013年のアイソン彗星に似てますが規模が小さいかな~。

2021.12.6 02:37:16 D810A Zoom-NIKKOR*ED 50-300mm ISO10000 60sec

 まだ高度が低いので大気減光でかなり暗いはずです。淡い尾もまだ全然見えてないので高度が上がるのを待ちましょう。天文ガイド12月号の彗星ガイドページによるとレナード彗星の標準等級はH12=7.7等くらいということなので小ぶりなほうき星のようです。

 天文ガイドにはレナード彗星はオールとの雲から初めて降りてくる彗星ではなく9万年周期で太陽系を回っているほうき星なので増光が期待できると書いてあります。12月中旬には3等級になる予報もあるようなので順調に増光してほしいですね。

 レナード彗星の高度が20°になりました。淡い尾がキレイに伸びてます。

2021/12/6 03h24m02s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO12800 f6.3 30sec

 アルクトゥールスとの位置関係はこんな感じです。

2021/12/6 03h44m28s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO12800 f7.1 30sec

 レナード彗星の高度も上がってきたのでここで20cm反射望遠鏡にスイッチです。しか~しここで問題発生です。メカニカルではなくフィジカルトラブルです。気温が-3°まで下がっているため何をするにも時間がかかってしまいます。しかも望遠鏡の外側全面に霜が張り付いていてバーティノフマスクを取り付けようとしてもガムテープもビニルテープも粘着性が機能しなくなって…結局諦めました。

 高度30°のレナード彗星 地心距離0.36AU

2021/12/6 04h19m14s D810A SE200N ISO12800 20sec



2021/12/6 04h22m36s D810A SE200N ISO8000 30sec

 セッティングに時間がかかった割には20cm反射ではまともな写真が撮れなかったのでやむなく望遠レンズに出戻りです。20cm反射は久しぶりに使ったので明らかに調整ミスですがあまりにもポンコツなので速攻で捨てたくなりました~。もちろん不法投棄になるのでキレイに片付けて持ち帰りましたが…。

 さて、まもなく薄明が始まります。レナード彗星の高度は40°になろうとしていて条件としては今が最良です。レナード彗星が肉眼で見えるのか最終判断時間です。実は何度も肉眼で確かめていたのですが今まで確認することはできていませんでした。

 う~む、やっぱり見えません。空は6等星まで見える暗さなので見えてもいいのですが、どうしても見えません。双眼鏡ではもわっと広がったコマが見えるのですが… 結論! レナード彗星の明るさは6等級前半くらいで明らかな肉眼彗星にはなってない…です。

2021/12/6 04h44m19s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f400mm ISO10000 f6 30sec

 この後レナード彗星は地球に近づいて12日に最接近距離、光度3等級台になる予報が出ているので今後に期待しましょう。

2021/12/6 04h58m07s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f300mm ISO10000 f5.6 20sec

 レナード彗星は今回の太陽接近で軌道が双曲線になって太陽系を飛び出すそうなので、二度と戻ってくることのない彗星になります。とても切ない感じがしますがこれも自然の摂理なのでしかたないですね。現在レナード彗星のお見送りをするため観測班が気象情報とにらめっこしています。撮影できたらブログで紹介したいと思いま~す。