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国際宇宙ステーションのデブリが民家に直撃!?

2024年04月03日 | 宇宙開発
3月8日に大気圏再突入したHTV-9暴露パレット(EP BATTERY)の一部が燃え尽きずに落下してフロリダ州の民家に直撃したのでは…と話題になっています。

 フロリダ州ネープルズ在住のオテロさんの家に正体不明の物体が落下したのはアメリカ東部標準時刻3月8日の午後2時34分(19:34 UTC)のこと。

 当時オテロさんは不在だったがセキュリティカメラが衝撃音を記録していたため落下時刻は午後2時34分だったことが確認されている。この物体は屋根を貫通し、天上を突き破り、床に穴を開けて床下にまで達していた。

 はたして、この落下物がHTV-9暴露パレット(EP BATTERY)の一部なのか、コトの顛末を時系列で見ていくことにしましょう。

 落下直前の予測では再突入予想時刻が3月8日20時09分(UTC)±1時間、落下場所はこのラインの中のどこかとなっていたが…


 最終的に米国宇宙指令軍が発表した予想落下時刻は3月8日19時30分(UTC)で、場所はメキシコとグアテマラの国境付近だった。

 のちに米国宇宙指令軍がEP BATTERY大気圏突入時刻が19時29分(UTC)、東部標準時刻では2時29分だったと発表しているので予測は驚くほど正確だった…ということがわかりますね。

 大気圏突入時刻はほぼ予測どおりだったのですが、大気圏突入場所が当初の予測よりやや北東寄りでメキシコのカンクンとキューバの間のメキシコ湾だったそうです。

 そのため、もし燃え尽きない部分があったときは落下物がフォート・マイヤーズに達したのではと考えられていました。(注:NASAは燃え尽きるため落下物は無いと発表していたが、ESAはいくつかの破片が落下する可能性があると予測していた)

 オテロさんの家に正体不明の物体が落下したのはHTV-9暴露パレット(EP BATTERY)が大気圏に再突入した5分後で、オテロさんの家がフォート・マイヤーズの南に位置するネープルズだったことを考えると落下物はHTV-9暴露パレット(EP BATTERY)の一部である可能性は十分ありますね。

 現在、NASAがこの物体を回収して分析を行っているそうなので、近日中になにか発表があるかもしれません。それを待つことにしましょう。

 さて、ここで気になる話題ですが、訴訟大国アメリカでは家を破損させた賠償責任はどこにあるのかが議論されているようです。落下物はISSのデブリだから当然NASAでしょう…と思いがちですが、

 落下物がEP BATTERYの一部であれば米国NASAに賠償責任があるが、HTV-9暴露パレットの一部であったらJAXAなので日本が賠償責任を負う…と言う話になっているようです。いやいや…

 そもそもEP BATTERYをHTV-9号機「こうのとり」に載せずに放出して無制御デブリなってしまった原因はロシアのソユーズロケットのトラブルによるものだから暴露パレットの一部だとしてもISSは国際共同開発なので日本だけが責任を負うのはおかしいですよね。

 ま、議論するのはいいですけど、まずは、この正体不明の物体がISSのデブリなのか、それとも航空機の落下物なのか、はたまたUFOの破片なのか、それを解明するのが先決ですよね。

〈関連ブログ〉
こうのとり9号機 暴露パレット まもなく大気圏再突入!  2024年3月9日
3月19日 ISS & HTV-9 EP Battery Pallet  2021年3月20日
HTV-9 EP BATTERY パレット 撮影記録 2021年3月17日

 

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2 コメント

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デブリで事故 (ich)
2024-04-03 21:35:50
晴れスターさん
 先日予告されていたISSの古バッテリーを落下させたら,事もあろうに広いアメリカの人家に落下し床下まで達したとは,重大事故ですね。これが隕石なら自然災害ですが,人工物で落としたことが分かっているのですから賠償問題になるわけですね。でも,数から言うと隕石の方が地球に落下するのは多いのか?バッテリーは相当密度が大きいから燃え尽きずに到達したのか?とか色々考えます。この画像の物体の大きさと質量は,それなりの大きさに見えますよね。ところで探査機はやぶさがオーストラリアのウーメラ砂漠に落下したときも,バッテリーパックだけ燃え残らなかったのだろうか?でもあれは対地速度がISSの倍くらいあったから燃え尽きたのか?とかも考えました。
スペースデブリ (晴れスター)
2024-04-04 09:06:09
ichさん
 おはようモーニングです。ネットでこのデブリに関するアメリカのニュース映像と記事を見たのですがニュースではご本人がデブリを持ちながらインタビューを受けていました。その映像によるとデブリは手のひらに乗るサイズ(数インチ)で重量感はかなりあるように見えました。写真を見るとデブリの質感がニッケルっぽいのでニッケル-水素電池のニッケル電極の燃え残り(融け残り?)のような感じがしますが、どうでしょうかね~。ドイツでは今回の落下でデブリ総重量(2.6トン)の10%程度が地上に達する可能性があるため自国に落ちると被害が出るという理由で追跡情報を頻繁に出して警戒していました。はやぶさは総重量が500kg程度だったのでバッテリーは溶融して雲散霧消したのではないでしょうか。そうそう、今回のデブリ騒動について詳しく報じているアメリカのars technicaの記事に過去に起きたスペースデブリの被害が紹介されていたのですが、そのひとつに「1969年にソ連の宇宙船の破片がシベリア沿岸で日本の小型船に衝突し、5人が負傷した(1969.7.5 ニューヨーク・タイムズ紙)」とありました。初耳なんですけど、これって事実なんでしょうか?気になります。

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