都市徘徊blog

徒然まちあるき日記

ポンピドゥーセンター・フォーラムデアール

1993-03-07 | フランス 

1993 Europe日記
1993.3.7(Sun) Paris

 17:54 RER・C線、オルセー方面行きに乗る。少し揺れるが快適。

 18:30 St.Michel着。駅を出ると既に夕暮れ。ヴェルサイユよりパリは少し暖かいような気がした。街中だからだろうか?

セーヌ川とノートルダム・ド・パリ

 カルチェラタンの方角へ少し歩き、小さな土産物を買う。その後、ポンピドゥー・センター(Wikipedia)へ行く。

ポンピドゥー・センター(Pompidou Centre)

 夜のポンピドゥー・センターもきれいだった。レンゾ・ピアノとリチャード・ロジャースの設計により1977年に開館した、ハイテクモダンのはしりともいわれる建物。鉄骨の柱梁やブレース材、電気・ガス・空調などの配管ダクト類が前面にむき出しになっており、工場建築のようでもあり、機能性や合理性を追求してそれを表現した姿。

 東京とかだとベースになる街並みが明瞭ではなく、どんな建物デザインでもありなので、さほどの衝撃はないのだろうが、300年程前の石造りの建物が建ち並ぶ昔ながらの街並みを持つパリでは、このデザインは超モダンで今でも目立つ。建設当初、賛否両論があったのも頷けるもので、パリで新しいデザインの建物を建てる場合にはその中で新しいデザインを問う覚悟が求められるのだろうなと、周囲を見渡した時に感じたのだった。

 アプローチのエスカレーターも建物外側に設置され、敢えて機械感を前面に出している。展望を楽しめるようにもなっており、センター自体に入館せずとも建築の一端に触れることができるのも、他の旧来の美術館などとは異なり魅力的。

ポンピドゥー・センターからパリ市街

 エスカレーターで上に上ると、パリの夜景を眺めることもできる。中心部で夜景を楽しめる場所はあまり多くないようなので、これはうれしい。街中は全体に落ち着いた街灯りに覆われていて、ランドマークになるような教会や塔がライトアップされて目立っている。既存のストックを夜景においても上手く活用しているのが印象的だ。

フォーラム・デ・アール(Forum des Halles)

 ポンピドゥー・センターからあまり遠くない場所にある商業施設、フォーラム・デ・アールへも行ってみる。

 フォーラム・デ・アールは、中央市場(レ・アール)の場所を1969年に再開発したものだそうだ。20年以上経った建物としては比較的きれいだったし、1960年代としてはなかなか斬新で面白い建物だなと思った。しかしちょっと裏へ回るとやや薄暗い雰囲気で、その点はあまり好感が持てなかった。

 20年以上経った2015年になって改めて検索してみたところ、なんとこの建物は既になくなっていた。2016年に向けて再々開発中なんだとか。老朽化した建物の更新と、やや雰囲気が悪くなってしまったこの地区のイメージを刷新するためらしく、計画では商業施設群の上にドーム状の屋根を造り、その上に土を載せて緑地をつくるらしい。

 パリの街なかに建つ石造りの建物は、200年以上経っているものも多いが、一方で50年もしないうちに取り壊されて建て替えられるものもやはりあるようだ。現代建築の方が建物の一生が短いのだろうかと考えさせられる話でもある。

フォーラム・デ・アール付近の街

 フォーラム・デ・アール付近は、車が基本的に入らない歩行者専用のモール空間になっており、路上にカフェやレストランが張り出して夜まで賑やか。冬場なので路上の席に夜間座る人は少なかったが、暖色系の照明と大きな庇が賑わい感を演出している。

 フランスを出てスイスへ向かう夜行列車に乗るため、メトロで東駅へ行く。

 20:00 東駅でK氏と待ち合わせ。

 20:15 K氏到着。Invalidsでたまたま日本人学生の財布を拾い、Deffenceのホテルまで届けに行ったが、会えなかったという。二人で夕食をとることにし、駅近くの店でピザを食べる。

 22:00 S君と落ち合う。駅の切符売り場でスイス行きを探していた、法学部1年のH君という学生に会い、しばらく行動を共にすることにする。やや自意識過剰でお喋りな学生で、私などはどちらかというと敬遠してしまうのだった。

 22:40 発車ホームが分からず右往左往したため、間一髪で列車に乗る。危なく列車を逃すところだった。

 クシェット(couchett)と呼ばれる寝台は、3段ベッドの6人部屋で、とにかく狭い。足下に荷物を置いて、中段で少しだけ寝る。

 長距離鉄道での移動は今回の旅では初めて。寝ている間にフランスからスイスへ国境を越えるため、車掌にパスポートを預けるというのも初めての体験。途中駅で下車するので、到着少し前に車掌が起こしに来てくれるのだそうだ。こういう体験をするとヨーロッパを旅しているのだなと思うし、やはり広いのだなと思う。

ヨーロッパ旅行記 1993.2.28〜3.21
Google Map 1993.03 Europe

#眺望  #教会  #夕景・夜景  #新しい建物 海外  #ミュージアム 
#現代建築  #リチャード・ロジャース  #レンゾ・ピアノ 
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ルーヴル美術館

1993-03-07 | フランス 

1993 Europe日記
1993.3.7(Sun) Paris

 08:30 起床。
 09:00 朝食。
 10:00 出発。

 10:30 東駅にて切符の予約をしようとするがストライキで予約できず。そんなのありかよという感じだが、仕方がないので、荷物だけコインロッカーに預ける。S君は早速ヴェルサイユへ向かう。K氏と私はルーヴル美術館へ。

 11:00 ルーヴル美術館(Wikipedia)着。

ルーヴル美術館 ガラスピラミッド内の入口

 ガラスピラミッドの中に入ると螺旋階段があり、これで地階に下りるとチケット売場。当時はまだ全体が完成していなかったが、それでもそこから各時代のエリアに行かれるような仕組みが既にできていた。

 さすがにルーヴル美術館(ルーヴル美術館公式ページ)は人出が多い。私たちと同様の卒業旅行と思しき日本人も多数。日本語のガイドリーフレットもちゃんとある。音声ガイドもあったが、そちらには手を出さず。

 例によって、短時間でいろいろ見て回る特急ガイドを中心にして見て回る。ルーヴル美術館や大英博物館は一つ一つ丹念に見ると絶対一日では終わらないので、短期の旅行の場合に特急モードになるのは致し方ないことだ。

サモトラケのニケ

 サモトラケのニケ(Wikipedia)など、美術の教科書などに出てくるような有名なものがあちこちにある。大英博物館に行った時にも感じたが、ああ、これはルーヴル美術館にあるものだったのか、ということが何度もあるのだった。

 彫刻や絵画は、教科書や図集などで見ると大きさが分からないことが多い。もちろん、像高や絵のサイズが欄外に記されていたりもするのだが、それでも感覚的に大きさを把握していないことが多く、実際に現場で見ると、あれ?、こんなに大きいのか!とか、逆に、意外に小さいのだな~、と感ずることがしばしば。作品の記録写真としては他の見学者がいない方が良い写真になるのだろうが、見学者が写っている方が実際の大きさや高さがよく分かる。サモトラケのニケが、こんなに見上げるような位置どりで置かれているのも知らなかった。

 観光客が多いせいもあって、館内はややガサガサした雰囲気。

 常設展エリアでは、ストロボを用いなければほぼ写真撮影がOKだった。私自身はほぼどこでもストロボOFFなのだが、おばちゃん観光客などはオートでいつも撮っていてストロボOFFのやり方が分からず、ストロボをバンバンたいていたりする。人が多い状況ではいちいち注意をしている余裕もないのか、館員もなんだかお手上げみたいな感じ。

 広い館内でコンパクトカメラの小さなストロボを使っても、後方が真っ暗になって見た目と全然違う状態になるだけので、ストロボを使う気には全くなれない。自然光を上手く取り入れたりしているので、館内は比較的明るい。ISO400のフィルムを使えば、コンパクトカメラであっても、カメラをしっかりホールドして息を止めてそっとシャッターを押せば、それほどぶれずに撮れる。ただフィルムの場合、デジカメと違って現像してプリントしてみるまで手ブレしたかどうかは分からない。海外旅行などの場合、結果は帰国してからになり撮り直しもきかないので、ちゃんと撮れたか心配になることも多かった。

 昔からあった展示スタイルらしいのだが、絵が上下二段に並べられたりしていたのには、ちょっと驚いた。日本のように、恭しく一つ一つ並べて間を開けて・・・、なんてことがなく、どんどん並べてしまっている。たくさんの収蔵品があるので、出来るだけたくさん見られるように、ということなのだろうか? その辺のポリシーがよくわからん。

 後になって調べてみたら、昔は絵の展示は天井付近までびっしりということもあったようだ。「コルネリス・ファン・デル・ヘーストの収集室」(ヴィレム・ファン・ハーヒト)という絵などを見ると、壁全面を埋めるように絵が飾ってあって、ちょっと気持ち悪い感じさえする。ルーヴルの場合、敢えて昔のスタイルで展示しているのかもしれない。美術史などを専攻している人なら知っているのかもしれないが、そのあたりを知らずにいると、なんだか展示物の物量に圧倒されて、それだけでちょっともう疲れてしまうのだった。

 もともとが宮殿建築なので、展示されている絵画以外にも壁画や彫刻があり、そちらもなかなかのもの。西洋の古い絵画はこういう場所で鑑賞することが前提になっているのだなと改めて思う。しかし、部屋と部屋をつなぐ通路の上方、頭上高くに絵が展示されているのは、日本では見たことがない。高い壁面を見上げて鑑賞するというのはかなり意外な体験。

「カナの婚礼」ヴェロネーゼ(Wikipedia

 絵画の本などには、実際の大きさも情報として記されているが、ヨコ6mとかの巨大な絵画になってくると、なかなか写真では想像が付かない。現場で見ると、うわっでかいんだなぁと改めて思う。ルーヴルの場合、そういう絵がなんだか無造作に飾られている感じで、それにもちょっと驚かされる。

「7月28日-民衆を導く自由の女神」ドラクロワ(Wikipedia

 モナ・リザ(Wikipedia)なども見たのだが、周囲がやたら混雑していた印象しかない。絵自体はいろんなメディアを通して見ているせいか、「とにかく見たぞ」的な感じで、確認したというか、スタンプラリーでハンコを押して一段落、みたいな感じになってしまった。だから写真は撮っていない。

 ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」は超有名物件だが、この時はなぜかその周辺が空いていたので一枚。あと、記憶に割合はっきりと残っているのは、「ナポレオン1世の戴冠」(ダヴィド)や、「グランド・オダリスク」(アングル)あたりだろうか。

ミロのヴィーナス(Wikipedia

 今はどうか知らないが、1990年代に訪れた時は、ミロのヴィーナスもなんだか素っ気ない感じで展示されていた。有名な彫刻なのにこんな近くで見ても良いのかしら? という感じ。日本だと、地震で倒れたら大変、みたいな感じもあって、近くにも寄れないのだが・・・。でもこれ、レプリカ展示だったのかな?

 K氏は特急で見学。12時過ぎにルーヴルを出てしまう。私は少しのんびりして、13:30にルーヴルを出る。といっても私の滞在も2時間半弱。じっくり見たとはとても言えない。

 ルーヴル美術館から絵はがきを出したりもする。送料7.5FFr。意外に安かったので船便なのかもしれないとも思ったが、後で確認したらエアメールは3.7FFrだった。2通で7.4なので、0.1計算が合わないが、たぶんOKだ。

ヨーロッパ旅行記 1993.2.28〜3.21
Google Map 1993.03 Europe

#新しい建物 海外  #古い建物 海外  #城・宮殿 
#吹き抜け・アトリウム  #屋内階段  #ミュージアム 
#現代建築  #I・M・ペイ  #世界遺産 
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ラ・デファンス地区

1993-03-06 | フランス 

1993 Europe日記
1993.3.6(Sat) Paris

 16:00 ブローニュの森をかすめてラ・デファンス(Wikipedia)に到着。

噴水とグランド・アルシュ

 ルーヴル宮からシャンゼリゼ、エトワール凱旋門広場を経てここに至る、いわゆる「パリの歴史軸(Wikipedia)」が地区の中央を貫いており、地下には地下鉄や幹線道路が通っている。そしてその上部は巨大な人工地盤で、広々とした歩行者空間になっており、噴水なども配されている。

la Grande Arche

 エトワール凱旋門から西の遠方に見える立方体状の建物が、la Grande Arche(Wikipediaグランド・アルシュ)。高さ、幅、奥行きが共に約110m程度で、両サイドはオフィスビル。最上階へは中空部分に設置されたエレベーターで上り、屋上に出ることが出来る。

中空部分に設置された展望台行きのEV

 このエレベーターがなかなかすごいものだった。シースルーエレベーターはよくあるが、これは外囲いがほとんどなく、数本のレールで囲まれたスペースをキャビンが上るもので、するすると上る感触は結構スリルがあった。また、上り下りする時に、カタンカタンとなにかラッチが掛かるような音がし続けるのも、他のエレベーターでは全く聞いたことがないもので印象的だった。

グランド・アルシュ 中空部分下部の膜屋根

 中空部分は屋根下のようになっているが、相当高いところに屋根に相当するものがあるので、雨が吹き込むこともあるのだろう。雨対策だけかどうかは分からないが、下部のチケット売場などには膜屋根が架けられていた。

 中空部分入口の階段から、人工地盤方向を振り返ると、地区全体をパノラマ的に見ることができる。

 左手のシェル構造の建物は、国立産業技術センター(CNIT)。三角形の平面型をした大型の展示スペースのようだ。

 la Grande Archeの屋上展望台にエレベーターで上る。

 屋上じたいはどうということはなかったが、やはり良い眺望だった。パリ市内は文化財建造物周辺の景観を守るため、高い建物の建設が規制されているので、ほとんどが中層以下の建物だが、郊外のデファンスは逆に積極的に超高層化が進められており、いわゆる新都心の様相を見せている。遙か彼方にエッフェル塔だけがそびえているのがまた印象的だ。

 展望台から下りて、再び都心方面へ戻るべく人工地盤上を歩いていく。途中の池には現代アートのオブジェが設置されていた。午前中に訪れたラヴィレット公園もそうだが、パリには、古い文化財建物やルーヴルに展示されているような古典芸術作品があるだけでなく、現代アートの作品もあちこちにあるのがなかなか興味深く、面白い。

 17:30 中心部方面へ向かうバスに乗り、デファンス地区を出る。

ルーヴル美術館・前庭のガラスピラミッド

 18:30 再びルーヴル宮前に到着。夕暮れ時、内側からライトアップされたガラスピラミッドもなかなか美しい。これが出入口を兼ねて、人々の動線を上手く処理するための施設になっており、なおかつ西洋建築の起源的な存在でもあるエジプトのピラミッドの縮小版のような形にもなっているあたり、上手いことやるなぁと感心しきり。

 しかし、なんだかルーヴルのあたりをなんどもうろうろしている感じ。S君と落ち合う。

 19:00~20:00 夕食。小さなレストランでイタリアン料理を食べる。結構おいしかった。

 21:00 帰寮。洗濯をしたかったが、混んでいてできず。次のスイスから先の予定を3人で練る。

 24:00 ようやく予定が決まる。K氏は予定が決まったらすぐに寝てしまった。

 24:30~26:30 洗濯。非常に時間が掛かってしまった。

 27:00 就寝。明日はひどい寝不足になりそうだ。絵はがきが出せなくて残念。

ヨーロッパ旅行記 1993.2.28〜3.21
Google Map 1993.03 Europe

#新しい建物 海外  #オフィス  #パノラマ  #眺望  #広場 
#ホール・体育館  #高層ビル  #モニュメント  #門・ゲート  #現代建築 
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オルセー美術館

1993-03-06 | フランス 

1993 Europe日記
1993.3.6(Sat) Paris

 13:00 オルセー美術館(Wikipedia)に到着。

 今日のうちにオルセー美術館、そしてできればルーヴル美術館も見てしまおうと考えて、超特急でいいところだけを見て回ることにする。

 オルセー美術館の建物は、もともと長距離列車のターミナル駅舎兼ホテルとして1900年に完成したものだが、1939年に近距離列車専用駅となったのだそうだ。その後、1970年代から保存活用策が検討され、1986年から美術館として利用されているという。ルノワールやモネ、セザンヌなど、日本人が好む印象派の絵が多く、観光客に人気の場所でもある。

 鉄骨とガラスによるアーチ型の天井屋根は、トレイン・シェッドと呼ばれる、欧米の駅でしばしば見られるホームを覆う大屋根。そうだと知っていれば確かに鉄道駅だった建物だと思えるが、最初から美術館として建てられたのではないかと思われるほど、立派で華やかな空間だ。

 紫外線による作品の劣化の問題さえ上手くクリアすれば、これほど素晴らしい美術展示空間は他にはなかなかないのではないかと思われる。

 館内に置かれている日本人向けのガイドパンフレットを片手に、主要な常設展示物を拝見。本当ならここだけで半日以上いてもよいのだが、なにせ滞在日程が少ないので、下手をすると鑑賞というよりオリエンテーリングに近くなってしまう。ここで有名な○○を見たことに意義がある、みたいな感じになってしまっているのには意味があるのか? という疑問も少々湧くが、短期間の海外ツアーでは致し方ない。他にも見てみたいところがたくさんあるのだ・・・。

 展示されている絵画や彫刻の一部は、ときどき日本でも「オルセー美術館展」などと称して展覧会が開かれたりするので、絵をじっくり見たい時は、近場で見る方がむしろ良いかもしれない。オルセー美術館という容れ物、独特な展示空間で見ることに価値があるという気分であって、また、再利用された建物と展示物の取り合わせにむしろ興味があったので、その意味では、建築空間を体験できたことが良かったのだなと思うことにする。

 14:50 オルセー美術館を出てルーヴル美術館へ向かう。

ルーヴル美術館・前庭のガラスピラミッド

 15:20 ルーヴル美術館着。しかし入口のガラスピラミッドのあたりで行列をなす人々を見て、気が変わる。ルーヴルは明日行くことにして、K氏と共に新開発地区のデファンスへ向かうことにする。

ヨーロッパ旅行記 1993.2.28〜3.21
Google Map 1993.03 Europe

#新しい建物 海外  #近代建築  #吹き抜け・アトリウム  #ミュージアム 
#鉄道  #I・M・ペイ  #現代建築  #世界遺産 
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ラ・ヴィレット公園(Parc de la Villette)

1993-03-06 | フランス 

1993 Europe日記
1993.3.6(Sat) Paris

 08:00 起床。朝、起きられないのは、時差ボケが解消しつつあるためかもしれない。結構疲れてるのに、K氏は頑張るぞなどと言ってしまう。

 09:00 朝食後、冷たい思いをしながらシャワーを浴びる。

 10:00 出発。本日はS君とは別行動。私はK氏と二人で循環線のバスで、まず、ラ・ヴィレット公園(Parc de la Villette・Wikipedia)へ行く。

Parc de la Villette

 新しい建物が広い範囲に散在するきれいな公園。今日は朝方、雨が降ったため、路面が濡れ、街は霞んでいた。

 トラスの長い梁がところどころに立つ柱から吊り下げられ、さらにそこから波型のアーケード屋根が吊り下げられている。そしてその歩廊の先には、フォリーと呼ばれる添景用の赤い建物が点々と建っている。

 設計はバーナード・チュミ(Bernard Tschumi)。学生の頃、ここの公園はそれなりに話題になっていた場所。普通の公園とはかなり違う、現代アートでもって統御された公園で、行ってみるまでは、どんなものかちょっと興味もあった。

 フォリーは庭園などに建てられる装飾用の建物だそうだが、日本の東屋的なものと言ってもよい。ただ、東屋にあるような休憩用のベンチとかがここの場合はなく、純粋に公園の中に点在して、その佇まいを見たり、そこからの景色を見たりするためのもの。公園を単なる癒やしの場所とか、慰楽・行楽の場所、という扱いとせず、現代アートに触れて思索をする場所とするような狙いがあるようだ。

 ただ、日本人の感覚からするとむやみに広々としていて、やや単調だ。一つ一つ形の違う真っ赤なフォリーがグリッド状に並んでいるのが印象的だが、それで?、という感じ。全体計画を図で見るとちょっと興味深いが、現実の場所に行ってみると、それを鳥瞰的に見るわけではないので、点々と並ぶフォリーをあちこち歩いてみようという気にはあまりならない。二つ、三つ行ってみて、ふーん、こういうところなんだぁ、で終わり。

 行楽とかだったら、東京都心でも新宿御苑とか浜離宮庭園の方が変化に富んでいて楽しいし、花や木も楽しめる。ここの場合、現代アートを「見て体験して考える」べきなのかもしれないが、それって公園にみんなが求めてることなのかなぁ。ちょっと説教臭さを感じてしまったせいか、すぐにそれで? という感覚になってしまった。

 同じ公園内でもこのウルク運河沿いの景色は都市景観として魅力的。ここに佇むと赤いフォリーが点々と並ぶさまはちょっと絵になる。でもそれは色の面の話で、建物の形はさほど魅力的でも絵になるわけでもない感じ。雨上がりの霞んだ街の風景で、あまり派手な色彩の建物がないパリの景色の中で、ワンポイントのアクセントを与えている。

シテ科学産業博物館と、ラ・ジェオード(右手の球体)

 公園内には科学産業博物館と、鏡面仕上げの球体のオムニマックスシアターもあった。施設的にはこっちの方がやはり存在感があって分かりやすいし、単純明快な目的を持っているので、見ていて面倒くさくない。

シテ科学産業博物館エントランス

 パリまで来て科学博物館をじっくり見るのもなんなので、とりあえずエントランスの吹き抜け空間あたりだけを体験。近くに他にも運河があって、そちらの景色が気になってきたので、運河沿いを辿ってみることにする。

ヨーロッパ旅行記 1993.2.28〜3.21
Google Map 1993.03 Europe

#パノラマ  #公園  #海・川・池  #新しい建物 海外 
#ポストモダン  #ミュージアム 
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ロイズ・オブ・ロンドン(Lloyd's of London)

1993-03-01 | イギリス 

 バスにてcityへ。シティは日本で言えば兜町みたいな場所。スーツ姿のサラリーマンが多く、学生や観光客は少ない。

 17:30 ロイズ・オブ・ロンドン(Lloyd's of London Insurance Market and Offices・Google Map)を見る。

Cityの街並みとロイズ・オブ・ロンドン
建設年:1986
設計:Richard Rogers Partnership

 昔ながらの中低層の街並みの向こうにハイテクモダンで、工場のようにも見える高層ビルが聳える。知らなければ、オフィスビルだとは到底思えない姿だ。

エレベーター

 外壁を4基のエレベーターが上下する。エレベーターの下部に赤いランプが灯り、まるで小さな宇宙船が行き来しているよう。日本では落下や火災を想定して、エレベーターまわりを囲わねばならない(その後、法改正で日本でも外部設置が可能になった。)ので、このようにキャビンが外部にむき出しになっているのは、かっこよく見える一方で、ちょっと怖い感じにも思える。

玄関部分

 金属とガラスを意図的に使って、ハイテクな印象をこれ見よがしに醸し出している。21世紀の私たちのまわりには、このような感じのものはかなり多いし、日本にはもっと繊細なデザインでハイテク感を出しているものもある。だが、やはり当時としては、かなり斬新だったものなのではないかと思われた。

Wikipedia > ロイズ
ヨーロッパ旅行記 1993.2.28〜3.21

#新しい建物 海外  #オフィス  #銀行・保険  #高層ビル 
#リチャード・ロジャース  #現代建築  #ポストモダン 
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Victoria Place Shopping Centre

1993-03-01 | イギリス 

 10:30 バスに適当に乗ったら希望と違う方向に向かってしまったため、Victoria駅付近で下車する。何から撮ればよいか分からぬうちに、とりあえず、目に入ったちょっとモダンな建物を撮ってみた。(2009年になってからGoogle Street Viewなどで調べたところ、Victoria Place Shopping Centreだったことがようやく判明。)

Victoria Place Shopping Centre   Google Map
ヨーロッパ旅行記 1993.2.28〜3.21

#新しい建物 海外 
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カトリック教会と新興住宅地

1992-10-11 | ロシア  

1992.10.11(Sun) Vladivostok

 バスでまた少し東へ行き、山側へ入っていく。さあ今度こそはロシア正教の教会か?と思うが、見えてきたのはカトリック教会。しかし何回か写真で見たような記憶もある教会だ。

古いカトリック教会   Google Map

 レンガで出来た赤い教会。それにしてもウラジオにはレンガ建築が多い。ほとんど全てといって良い。木造の住宅は街中に老朽化したものが数軒と、郊外の農家などだけだ。やはり寒いのと火事の心配からだろう。ただ石造は多くない。レンガに比べてコストが掛かるせいかもしれない。レンガ造で、表面をモルタル、ペンキで塗り固めたものが多く、明るいパステルカラーの建物が目立つ。ヨーロッパの石造建築に比べると安っぽくてちゃちな感じも否めない。極東のヨーロッパとして美しい様式建築を並べようとしたが、力及ばずという感じかもしれない。

 教会の中には入れなかったが。シックで感じの良い建物だった。ただこの教会には十字架は取り付けられていなかった。この街というかロシアでは、旧ソビエト時代の宗教排除により、まだ多くの教会建物のクロスは取り外されたままだ。今は宗教ブームで、ロシア正教も復活し人気を集めているといい、ウラジオでも教会再興の動きがあるようだ。しかしここはまだ人影もなくひっそりしていた。

 2013年になって改めてネットで情報を検索したところ、修復されて双塔が復活した教会の写真がPanoramioに掲載されていた。また、観光案内らしきページには教会の由来や近年の経緯が書かれていた。例によってロシア語がわからんので、ネット翻訳をした。およそ分かったのは以下のこと。

 20世紀初頭、ウラジオへの移住民には多くのポーランド人がいた。このため1912年にカトリック教会の建設が始められ、1921年に東ヨーロッパのゴシックスタイルの教会堂が完成した。しかし、ソビエト連邦の成立と共にロシア正教だけでなくカトリック教会も同様に弾圧され、1935年に教会は閉鎖。その後は完全に廃墟となっていた。
 しかしペレストロイカに伴い宗教弾圧が弱まり、90年代初頭に建物はカトリックに引き渡された。1992年にアメリカから牧師が着任して教会の活動が復活、その後、アメリカのカトリック教徒の支援によりステンドグラスや双塔が復活し、オルガンも設置されたという。

 


 

 丘の上の土地は景色がよい。日本だったら人気の場所になるのだが、坂がきついのと水が不便であるという理由で、ウラジオではあまり裕福ではない階層の人々がひっそり住んでいるようだった。いつかTVで見た「黒いオルフェ」のように、貧しい人々の小屋が山の中腹に点々と並ぶ。このエリアは舗装もされていない。井戸までバケツで水を汲みに行く生活がここでは続いている。午後の日を浴びながら、老婆がゆっくりと坂を上っていく。哀しみの色彩を帯びた風景だ。

新興住宅地   Google Map
Panoramio掲載の写真:Photo of 3-я Рабочая

 バスはこの地区を更に山の方へ上る。狭い山道をガタガタと10km/h程度でようやく上りきると、次の谷へと抜ける。峠から谷間が見下ろしたとき、一瞬ロシア正教の教会が見える。しかし無情にもバスは山の裏側へ回ってしまう。後でわかったのだが、そのまま谷へ降りられないので裏へ回ったらしい。山の裏側からは沢山のアパート群が見える。生半可な数ではない、ものすごい量のアパートが建設中だった。元の山の姿がほとんどわからなくなってしまうのではないかという危惧を抱いてしまう。そしてこれも皆、RCパネルもしくはレンガ造であるから恐れ入る。こんなに一度に建設したら、また水や電気、熱供給が不足して生活に困るのではないかと心配になる。

 山を一回りして再度スヴェトランスカヤ通りに出て、とある坂道を上る。坂の入口では、花嫁が結婚式を終えて車に乗って、満面の笑顔で今まさにどこかに行かんとするところだった。問題の多い国だが、庶民の生活の端々には、幸せそうな表情も垣間見られるのだった。

1992年10月 ロシア日記・記事一覧

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1992-01-10 | 記事一覧 
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Tokyo Lost Architecture
静岡の建築・土木構築物
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