都市徘徊blog

徒然まちあるき日記

2006年05月 記事一覧

2006-05-31 | 記事一覧 
05/20 お休みからようやく復帰
05/21 高輪で階段三昧5(高輪4丁目・隙間を抜けるS字階段)
05/23 北品川の草むら階段(未舗装の急な崩壊気味階段)
05/31 恐るべし住宅地図(小階段を探す術)

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恐るべし住宅地図

2006-05-31 | 新宿区  

 住宅地図ってすごい。

 東京は広い。だから階段を探し歩く時に、やみくもに歩いていては全部を発見できるわけがない。かといって悉皆調査でしらみつぶしに全ての道を歩くというのは、週末の限られた時間内で歩き回る身では現実的に無理。そんなとき、やはり住宅地図は強い味方だ。

 区立図書館に行けば、23区内の住宅地図はたいがい揃っている。ゼンリンの住宅地図(A3版)は1/1,500で、かなり細い路地まで記載されていて、階段はほとんど網羅されていると言ってよいだろう。そこで、1万分の1の地図のコピーを持参して、ひたすら住宅地図とにらめっこをして、階段がある場所を転記していく。

 かなりマニアックな路地を知ってますね、というコメントを頂戴したりするが、種明かしをすれば実は、住宅地図でおよその見当をつけているのだ。まちあるき嗅覚を頼りに、路地巡りをすることも無いわけではないが、いつもではない。超プライベートな路地の場合に、通り抜け可能かを事前に知ることができるのも助かる。ある意味、ズルしておりますです。

 お金をかければ、電子版の住宅地図をソフトともども購入して、階段だけをピックアップするということもできるのかもしれないが、現段階では購入資金がないので、仕方なくローテクで一つ一つ階段を地図上で発見して、階段マップを自分で作ることになる。1/1,500の住宅地図には沢山の情報が詰まっているので、慣れないとやたら目が疲れて肩が凝るのだが、慣れてくると、不思議なことに「階段検索能力」が次第に高まってくる。地図を開いてぼんやり眺めていると、階段が浮かび上がってくるような感じ。記載の無いページは何となく判るようになる。見ていて記載されている気がしないのだ。実際、徹底的に見てもやはり記載はない。こんなこと書くと、右脳型脳内活性化みたいでホント変な奴なんですが・・・。

 各区の住宅地図を全部見ていくことになるので、作業はなかなかはかどらない。起伏のある山の手エリアだけを調べればいいじゃないかと思われるかもしれないが、実はそうも行かない。下町にも高低差1m以下の起伏はあって、そこにも階段があったりするんである。川沿いの自然堤防の所とか、昔の埋め立てによる起伏とか。旧吉原(現在の千束)あたりを見てみると、廓の一角にいくつか階段が記載されていたりする。実際に訪ねてみると確かにわずかな高低差があって、そこにちゃんと階段がある。先入観で起伏の大きいところばかりを歩いていると見落としてしまうが、地図を頼りに行けば、見落としはかなり減らせる。

 でも時々、現地へ行って、ひっくり返りそうになるときがある。えっ! 階段てこれのこと? と独り言を言ってしまいそうになるような小さな階段(実際「えーっ、まじかよ!」と小声で叫んでしまうこともある)。住宅地図にはちゃんと階段の表記がされているのだが、実物はわずか2段の段差だったりするのだ。恐るべし住宅地図。

新宿区百人町2-9 2006.02.05
品川区東品川1-7 2006.03.11
渋谷区神宮前3-27 2006.04.22
港区六本木3-6 2006.05.27

 写真の4つの階段は、いずれも住宅地図にしっかり記載されている。

 百人町の階段は、台地上の比較的平坦な場所にできたわずかな高低差の場所にできたもの。東品川のものは、運河沿いの住宅地の隙間へ橋のたもとから下りていく階段。神宮前のものは、暗渠になった渋谷川の上の遊歩道から明治通りの方へわずかに上る階段。六本木の小階段は、V字型になった角地をショートカットする小道にできたもの。

 周辺の様子はそれぞれ少しずつ異なるのだが、いずれも高低差1.5mに満たない。でも個人的には結構好きです。階段があることで、微少な地形があることが明確になって、なんだか場所柄を分かり易く示してくれてるみたいなので。それから、階段が表記されていると、住宅街が続く場合などでは、番地表示と共に道筋や場所を特定する有用な手掛かりにもなる。そんなわけなので、是非これからも表記を続けて頂きたい。

 ゼンリンの会社の人ってマニアックなんだろうか? 調査をやらせてるバイトくん達に、徹底的かつマニアックに調べるように命じているんだろうか? なーんて思ってしまうのだが、よく考えてみると、実は趣味でこんなことを調べているわけではなさそうなことが想像される。

 詰まるところ、車輌が通行可能かどうか、ということが分かるように記入されているのだ。階段や段差があると、道幅が充分でも車は通れない。自転車やリヤカーといった軽車両もきつい。消防の人も救急の人も、段差の有無をあらかじめ知っておく必要がある。そういう人たちのためにゼンリンは調べてくれているらしい。決して階段マニアだけのために資料を作ってくれているわけではないのだ。←あたりまえか・・・。だから段数はたいがい全然合っていない。

 まあ、段数は正確でなくても良い。とにかく階段の所在地の手掛かりとなるものは非常に少ないので、住宅地図は本当に貴重な存在。妙な使い方ですが、ゼンリンさんはこれからも頼りにしてます。

 ところで、ゼンリンの住宅地図には、以前は3階建て以上の建物には階数が記入されていた。仕事の関係で都市の模型などを造ったりするときがあるのだが、その際にはこの階数表記は非常に助かるものだった。ところがどうやら2002年頃から階数表記はされなくなってしまったらしい。確かに一般的な利用においてはあまり必要ではない情報だったかもしれないが、この廃止は個人的には誠に残念。各区が発行する行政地図資料などに階数図というものがあるので、そちらを見れば用が足りるとも言えるのだが、住宅地図で階数を拾うのに慣れていた身としては、復活を期待したいところ。で、こちらの情報も電子版住宅地図には入ってますよと言われ、ウーと唸ってしまったのでした。

 それはとにかく、今後も住宅地図を頼りに、オリエンテーリングのように階段巡りをしていくつもり。

#階段・坂 港区  #階段・坂 新宿区  #階段・坂 品川区 
#階段・坂 渋谷区  #路地  #地図 
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北品川の草むら階段

2006-05-23 | 品川区  

 高輪で階段三昧・おまけ。前回のちょっと南側、港区との区界近くの階段。

所在地:品川区北品川6-4と5の間

 住所は品川区内だが、高輪南部の階段巡りでついでに行っておきたい場所。老朽化した木造住宅(どうやら無人)わきの路地を入っていくとめざす階段はある。通る人は少ない。足下がかなり悪くて崩れてしまいそうだから。

 階段下の木造住宅には蔦が絡まって、玄関脇にも雑草が生い茂りほとんど幽霊屋敷状態。かなり廃墟感が漂う。毎回、訪れる度に、建物も階段も無くなってしまっているのではないかと心配なのだが、不思議に変化がなく、かれこれ十年以上が経つ。草木は伸び、建物は朽ちてきたが、階段は残り続けている。

 石段は老朽化して崩れかけている。上りはまだなんとかなるのだが、下るのはかなり危険だ。上から見ると足を滑らせて下まで落ちてしまいそうな気がする。

 しかしこんな草ボウボウの石段が都心にあること自体がかなりの驚きだ。近くにはソニーの研究所やオフィスがあり、ネクタイ姿のサラリーマンが行き交う。そのすぐ裏手にほったらかしになった道がある。ピカピカの都心と、そのイメージからかけ離れたまるで山奥の村のような場所が、奇妙に同居しているのが、今の東京の面白さ、不思議さなのかもしれない。

 石段を上りきって振り向くと遠方に緑に覆われた島津山の丘が見える。木立の中には、J.コンドル設計の清泉女子大学本館の姿も垣間見える。意外な眺望の良さに改めて感心しつつ高輪の台地上に至る。

 ところで、住宅地図を見ると階段の南側はどうもお屋敷のようで、ほとんど未利用の斜面樹林が広がる。台地上の日当たりの良い西南端への立地は、昔の邸宅の典型的な立地スタイルでもあり、その形式を今に残しているのは実は貴重なことかもしれない。

Photo 2006.03.10

#階段・坂 品川区  #路地
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高輪で階段三昧5

2006-05-21 | 港区   

 高輪には大好きな階段がまだある。

高輪のS字型階段 下部

 正確には、港区高輪4-14と品川区北品川6-2の境界にある階段。清泉女子大学がある島津山と東側の高輪台の間にある谷道から、東へ社宅の石垣沿いを逆S字型に上る階段である。

 妙なのは、途中がひどく狭いこと。最初のカーブを曲がると、行き止まりかと思うような景色になる。だが不思議なことに、この隙間を通って上り下りする人は意外に多い。

U字型溝の上を歩いて上る

 この道は道路とはみなされていないのだろうか? せめて溝に蓋をしてくれれば歩きやすいのだが、十年経っても様子はほとんど変わらない。この区間には街灯もないので、夜はかなり歩きづらいだろう。酔って歩いたら足を踏み外して溝にはまるに違いない。ひどく狭いので、すれ違いも大変だ。溝に落ちないように気をつけながら、石垣側かフェンス側に身を寄せてすれ違うしかない。雨が降っていたら、傘を閉じて濡れるしかない。

 だが、この溝とひどい狭さがこの道を特徴づけていて、とても魅力的なものにしている。広くて歩きやすい階段ならいくらでもあるし、都会では安全を求めて狭い道は次第になくなっている。そのような趨勢の中で、この狭い抜け道は特殊なものとなり、知る人ぞ知る印象的なものになっている。

カーブを描く階段上部

 狭い区間を抜けると上の方はカーブした緩やかな階段になっている。古くからある階段でこのように美しいカーブを描いているものは少ないのではないだろうか。全体としてはちゃんとした形をしているのだが、一段一段のステップは、大谷石だったりセメントモルタルだったりとばらばらでやや不整形だ。段差もほとんどなく坂道のようでもある。左側の石垣は最初の方では砂岩だが、上の方では大谷石が使われている。

 小雨降る階段はひっそりと静かだった。

 大谷石とコンクリートでできたステップは、老朽化してひび割れ、あちこちから雑草が顔を出している。道端の方は苔むしていて、雨に濡れてしっとりと柔らかくなっている。経年変化して、時間の経過の痕跡を残す階段は見ていて飽きない。周辺の景色とも馴染んで、落ち着いた風景を創っている。

Photo 2006.03.10

#階段・坂 港区  #路地  #雨
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お休みからようやく復帰

2006-05-20 | Weblog 
しばらくお休みしてしまいましたが、また再開します。
ちょっとペースダウンするとは思いますが、ぼちぼち綴っていこうと思います。
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