都市徘徊blog

徒然まちあるき日記

原美術館(原邸)

2022-01-06 | 品川区  
原美術館(原邸)
所在地:品川区 北品川4-7-25
構造・階数:RC・3
設計 :渡辺仁
建設年:1938(昭和13)
解体年:2021(令和3)
備考 :美術館は1979(昭和54)開館
Photo 2017.2.16

 原美術館一帯は明治・大正期の実業家の原六郎が購入した土地。その一角に養子の原邦造が1938(昭和13)に自邸として建設したのが、後に原美術館となった建物。設計の渡辺仁(1887〜1973)は、銀座の和光、有楽町の第一生命館、横浜のホテルニューグランドなどの設計でも知られる建築家。
 戦後の一時期はGHQに接収され米軍将校の宿舎となった。接収解除後は外務省公館、フィリピン大使館、セイロン(現 スリランカ)大使館になったが、その後は10年以上使われなかったという。
 そして原邦造の孫である原俊夫が、1979年にこの私邸を現代美術専門の原美術館とした。

 L字型平面の建物は、最初からそうするつもりだったのではないかと思うぐらい美術館に合ったデザインだったように思う。門を入ってアプローチの道を行くと車寄せ。水平なスラブが突き出しているだけの比較的シンプルな姿がモダン。先端側の支柱は板状で縞々の石材?の模様がきれい。

 西側は平屋、弧を描いた南側は2階建てで、部分的に3階建てになっている。屋上の一部にはコンクリート製のフレームもあり、玄関付近から見るとそれらが立体的に重なり、さまざまな様相を見せている。


 Photo 2013.9.29

 玄関南側の壁面には細めの柵が付いた小窓が田の字型に並ぶ。


 弧を描いた南側壁面 Photo 1989.4.7

 やや大きな四角い窓が並ぶ姿もモダン。奥の方で張り出しているのはサンルームとかだったのだろうか。


 中庭側の様子  Photo 1989.4.7

 当初はカフェテラスも小さく、写真右手の壁面には撤去された部分の痕跡も見えていたりした。その後、カフェテラスは増築され右手の壁面もきれいにされた。閉館直前の頃の様子は下記リンク先の記事で見ることができる。


 屋上から Photo 1989.4.7

 2階の屋上に出られるのも魅力的だった。なにかができるわけではない。現代美術の作品がなにげなく展示されているだけだったが、普通とは異なる視点から建物や庭を眺められ、開放感を味わえるのはシンプルに楽しかった。


 玄関 Photo 2013.9.29

 玄関扉は鉄製。立派な建物だったが過剰な装飾はなくモダンそのもの。


 階段室 Photo 1989.4.7

 滑らかな曲面の白壁に黒い石材の側壁がコントラストを成しており、緩やかな曲線を描いて上に伸びる手摺や間接照明が美しい。


 敷地入口の門 Photo 2017.2.16

 門も比較的簡素な造り。塀は日本瓦が載った白壁で、ここは和風の雰囲気だった。


 敷地外周の塀 Photo 2013.9.29

 原六郎邸は戦後は分割されて縮小したようだが、原美術館の敷地はそれでもかなり広く、西側の道には塀が長く連なっていた。

 約40年間現代美術の拠点となっていた原美術館だったが、建物の老朽化とバリアフリーへの対応が困難だったため、2021年1月に閉館。その後、残念ながら解体された。

惜しまれつつ閉館した原美術館 その知られざる歴史とこれから - TOKION
原美術館 - Wikipedia原六郎 - Wikipedia原俊夫 - Wikipedia
渡辺仁 - Wikipedia

Tokyo Lost Architecture  
#失われた建物 品川区  #モダニズム  #近代建築  #住宅系  #戸建て住宅 
#屋内階段  #ミュージアム  #渡辺仁   タグ一覧
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国立科学博物館 その2

2013-03-25 | 台東区  

 新館の地球館を訪れたのは初めて。

地球館 3F 大型哺乳類剥製標本群「ヨシモトコレクション」
国立科学博物館・地球館
所在地:台東区上野公園7   Google Map
建設年:1999(平成11)年 第一期完成 常設展示オープン。
    2004(平成16)年 グランドオープン。
備考 :展示エリアは地上3F、地下3F
Photo 2013.1.13

 最近のこういう展示スペースは、展示物保護の目的もあってか、やや暗いことが多い。ガラス越しなのはちょっと残念だが、剥製がずらっと並んでいるのは壮観。

地球館 B1F 恐竜の骨格標本群

 やっぱり恐竜は大人気。大混雑である。図鑑で見てるだけでは実際の大きさはよくわからないものだ、ということがよく分かった。

地球館 2F たんけん広場

 体験型の施設群は大人気で、順番待ちの長い列ができていた。写真は、滑車の原理を用いて軽い力で体を持ち上げる体験ができる器具。

地球館 2F マイコンキット TK-80(NEC)

 展示物の中には懐かしいものも。写真は、中学生の頃にかなり話題になったエレクトロニクス模型。友人はこれを購入して作成、これをきっかけにして電子工学の道へ進んでいった。私はといえば、欲しいとは思ったが、結局これを購入せず、その結果、電子工学方面へは行かなかった。むかし身近だったものが既に博物館入りしているのも、今回驚かされたことの一つ。

地球館 B3F さまざまな単位を体験する装置

 手前から、長さ(m)、重さ(kg)、時間の長さ(s)、電流(A)、温度(K)。例えば長さの場合、直感で1m間隔をあけて二つの端子を並べ、それからスイッチを押すと、実際の間隔が表示される装置になっている。小学生が飽くことなく何度もチャレンジしていた。

地球館 B3F 元素の展示

 水平リーベ僕の船・・・。今の覚え方は違うみたいだが。元素記号配列も中高生の頃以来であり、懐かしい。

 ところで、どうでも良いことだが、大学生ぐらいのカップルが結構来ていた。科学博物館ってデートで来るところなのかぁ? 一緒ならなんでも良いのかもしれないな~。きれいな女性と元素の展示物を眺めてるなんて、なんだか羨ましいぞ。

#新しい建物 台東区  #ミュージアム 
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国立科学博物館 その1

2013-03-24 | 台東区  

 約40年ぶりに国立科学博物館へ行った。

国立科学博物館・日本館
所在地:台東区上野公園7   Google Map
建設年:1931(昭和6)年
構造 :RC
階数 :3F・B1F
備考 :旧東京科学博物館本館(重要文化財)
Photo 2013.1.13

 上野の科学博物館へ行ったのは幼少期の頃以来。大学に入って上京してからはいくらでも行く機会があったが、いつでも行けるからと思い、またいまさら科学博物館に行ってもねみたいな感じで、ついずっと訪れていなかった。今回もなんとなく、近代建築の内部を見てみたくなって、というこれまた科学とはあまり関係ない理由で入館したのだった。

国立科学博物館・日本館 中央ホール
Photo 2013.1.13

 新館(地球館)ができたこともあって、現在は地下から館内に入る。小さい頃は建物の方にはあまり関心がなかったので、正面中央の玄関ホールのドーム吹き抜けも全く記憶にない。改めて見るとなかなか立派な空間だ。やはり国立だけはある。地方にはこういう空間がなかなかない。

日本館3F 展示室 フタバスズキリュウ

 変貌ぶりには驚いた。休日だからというのはあるが、科博ってこんなに人が集まる所だっけ!?

 小さい頃の記憶では、ひとけがあまりない静かな空間に、恐竜の骨格標本がドーンと展示されていて、それだけという感じだった。もちろん当時もいろいろな展示はあったはずなのだが、私の中ではほぼそれしか記憶がない。床のワックスの匂いがして、ちょっと黴臭いような古めかしい空間の印象だったのだが、リニューアルされたせいもあって、外観からは想像もつかないようなハイタッチな空間になっていた。40年もすればそりゃ変わるよな~。

日本館 階段室(2Fから3F)

 子どもたちの歓声と、人の多さに圧倒されて、つい端っこの方に行くと、翼部の階段室がこれまた素晴らしい。2本の柱は耐震補強のために後から入れられたものではないかと思うが、カーブを描いて中央で一つにまとまる階段が創り出す空間は優美だ。

日本館 階段室(3F)

 弧を描く階段を上ると、舞台装置のようにも見えるシンメトリーな階段空間を目にすることができる。

日本館 階段室 天井のステンドグラス

 上を見ると採光部にもステンドグラスが。数年前に修復されたものだそうで、鮮やかで美しい。

日本館 階段室 2F壁面のステンドグラス

 階段室2Fのステンドグラスは鳳凰をモチーフとしたものだそうな。教会建築のステンドグラスとは異なる日本的な図案だが、日本人からすると何の違和感もなく、むしろこういう方が不思議としっくり来るような気がする。

#古い建物 台東区  #吹き抜け・アトリウム  #屋内階段  #ミュージアム 
#近代建築  #重要文化財 
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消防博物館から

2012-10-10 | 新宿区  

 一瞬、復活。でも今夏の写真。

展望室から新宿通り四谷方面   Google Map
消防博物館
所在地:新宿区四谷3-10
Photo 2012.7.10

 10Fの展望室からの眺めが良い。左は甲州街道・新宿通り四谷方面。右は外苑東通り信濃町方面。遠方は都心・赤坂方面。東京タワーは交差点そばのビルに隠れて残念ながら見えない。

展望室から新宿通り・新宿方面
Photo 2012.7.10

 同じく10Fから。西新宿の超高層ビル群(都庁など)は手前のビルに隠れて、あまりよく見えない。

 消防博物館は無料で、展望室にはイスや机もあって、持ち込み飲食もできる。ママさんたちが小さな子供連れで喋ってたり、ノマドワーカーが仕事してたりもする都心の不思議なエアポケット。もちろん消防の歴史に関する展示も興味深い。

#パノラマ  #眺望  #街並み 新宿区  #道 
#高層ビル  #ミュージアム  #甲州街道 
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交通博物館 2

2012-07-15 | 千代田区 

 閉館直前に訪れてみると、なんだか懐かしいものやら興味深いものが展示されていて、もっと暇を見つけて見に来れば良かったと思うのだった。

オート三輪 マツダ・T2000
Photo 2006.1.15

 オート三輪は近頃はほとんど見かけないが、小さい頃は近所でも走っていた。

タンカーの模型  Photo 2006.1.15

 タンカーの模型などもこういう場所に来ないとなかなか見ない代物。

コンコルドの模型  Photo 2006.1.15

 写真の模型は昔のJALのカラーリングになっているが、この模型は1960年代に日本航空に3機の導入が予定されていたことから日航が製作して、寄贈したものだという。その後、結局コンコルドの導入はキャンセルされたが、模型は閉館までずっと展示されていたのだそうだ。そういえば小さい頃、コンコルドのプラモデルを作ったこともあったな~。

鉄道模型パノラマ運転場  Photo 2006.1.15
屋上から旧万世橋駅ホーム・中央線と、昌平橋、総武線方面
Photo 2006.1.15
屋上から旧万世橋駅ホームと、万世橋、秋葉原方面
Photo 2006.1.15
Wikipedia > 交通博物館
幻の国立産業技術史博物館鉄道博物館(1936年)
想い出となった交通博物館
Tokyo Lost Architecture
#失われた建物 千代田区  #自動車  #飛行機  #鉄道  #船 
#夕景・夜景  #ミュージアム  #公共施設 
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交通博物館 1

2012-07-13 | 千代田区 

 交通博物館ももうかなり前に閉館して解体されてしまった。来年初めには新しいビルが跡地に完成するという。なんだか時の経つのが早い。

交通博物館
所在地:千代田区神田須田町1-25
建設年:1936(昭和11)
構造・階数:RC・3F(後年4Fを増築)
閉館 :2006(平成18).5.14
解体工事:2009夏~2010夏
Photo 2005.3.25

 跡地には地上20F・地下2Fの賃貸オフィスビル、神田万世橋ビル(仮称)が2012年12月上旬に完成予定。完成後はオフィスのほか、各種店舗、カルチャースクールやビジネススクールが入居する見込み。

吹き抜け空間の蒸気機関車とヘリコプター
Photo 2006.1.15

 吹き抜け空間に展示してあったのは、9850形蒸気機関車(左)や国鉄C57形蒸気機関車(右)、ベル47-1ヘリコプターなど(上)

一号機関車・国鉄150形蒸気機関車(重要文化財)
Photo 2006.1.15

 昔は屋外展示だったという国鉄150形蒸気機関車も、1F奥に展示されていた。

クハ167形車両のカットモデル(左)と、
211系電車(東海道線)の運転シミュレータ(右)
Photo 2006.1.15

 運転シミュレータは子供にも大人にも人気。

2Fから(2枚の写真を合成)
Photo 2006.1.15
Wikipedia > 交通博物館
JR東日本神田万世橋ビル(仮称)の建設について
幻の国立産業技術史博物館鉄道博物館(1936年)
想い出となった交通博物館
TOKI : LOG万世橋・交通博物館の記憶 -その1-
Tokyo Lost Architecture
#失われた建物 千代田区  #鉄道  #飛行機  #ミュージアム  #重要文化財  #公共施設 
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国立新美術館-3

2007-03-09 | 港区   

 外へ出ると、本館建物の前に小さな3階建ての別館がある。Photo 2007.2.11

 実はこれが旧陸軍歩兵第三連隊の庁舎の一部。昭和11年の2.26事件の際、ここから反乱将校らが出撃したことでも知られる建物。

 国立新美術館と政策研究大学院大学の敷地は、江戸期には伊予宇和島藩の上屋敷だったところだそうだ。明治になり藩邸が無くなった後、大正、昭和戦前期には、旧日本軍の軍用地となり、昭和3年(1928)に、旧陸軍歩兵第三連隊の庁舎が建てられた。

 戦後の一時期は、敷地全体が米軍に接収され、周辺も含めてハーディーバラックスと呼ばれる下士官兵宿舎となる。昭和34年(1959)の接収解除の後は、東大の所有となり、東京大学生産技術研究所となった。

昔の様子 → 東大生産技術研究所(旧歩兵第三連隊兵舎)

 そして数年前にこの東大生産研が移転し、跡地に国立新美術館と政策研究大学院大学が造られた。

 その際、戦前からあった建物は、一部が保存され、別館として再利用されることになった。

 もともとは、環状の平面形をしたかなり大きな建物だったが、現在残るのは、西南角近くの部分のみ。この部分だけは、新美術館と大学院大学の、どちらともあまり関係がない場所だったから辛うじて残されたのかもしれない。残された部分でも、北側は更に削られてガラス張りになっており、新美術館側から見ると、旧建物の雰囲気は一掃されている。往時を思い起こさせるのは、南側の外壁で小さな入口が一つあるところ。まあ記憶を継承したっていうあたりで、これをもって、残ったとはとても言えない。

 もとの建物をそのまま美術館にして、中庭をアトリウムか何かにしてるのだったら、残したと言えるけど、一切れだけ残ったカステラというか、ホントに欠片が残った感じで、これでもって昔を想像しろというのは無理な話だ。

 だが、たとえ外観全部を残そうとしても、多くの人が訪れる美術館の空間にするには、相当の改修が必要で、どのみち残せる部分はほとんどなかったかもしれない。

 パリのルーブル美術館とか、オルセー美術館とか、昔の建物を転用した美術館が欧米にはある。日本でも上野の国立国際こども図書館は、国会図書館の上野分館を安藤忠雄氏が改築した例。やろうとしてやれないことはないが、どちらかというと地味な歩兵第三連隊の建物は、新美術館には向いてなかったかもしれないなとは思う。

 設計の過程で旧建物を残すことにしたことに、黒川氏が激怒したという話も、どこかで見た。建築家というものは、やはり真っ新なキャンバスに絵筆をふるいたい人たちなんだろうな。

 ところで、国立新美術館の目の前に、やけに細くて背が高いマンションが建っていてかなり気になった。あれは何?、なぜあそこに建ってるのかしら?

(参考:「図説・占領下の東京」佐藤洋一、河出書房新社、2006)

#新しい建物 港区  #失われた建物 港区  #古い建物 港区 
#近代建築  #ミュージアム  #黒川紀章 
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国立新美術館-2

2007-03-08 | 港区   

行ったからには、ちゃちゃっと写真も撮った。Photo 2007.2.11

 でもあまりにたくさんの人が写真を撮っていたので、なんだか恥ずかしくなってしまった。一眼レフで一生懸命撮っていた人もいたけど、こんなに人が多い日に撮っても「作品」は撮れまい。ケータイでパシャパシャ記念写真を撮ってる人もたくさんいた。ある程度の写真好きとしては、みんなと同じ写真はできるだけ撮りたくない。同じ写真を撮って何が面白いのかと思う。が、そうそう来る機会もないだろうから、やっぱり犬の小便(マーキングと言った方が良いですね)のように、足跡を残すように撮る。撮りたい場所が重なって、順番に交代することになったりすると恥ずかしい。表参道ヒルズに行ったときも、三角形の吹き抜けの角で同じ現象が起こっていた。そう言いながらやっぱり、みんなと同じ写真、撮っちゃったよ。

 アトリウムに作られたレストランは空中レストランみたいで、ちょっと気持ちよさそうだった。こういう空間構成を作り出す技量はやはりすごい。映画なんかで使えそうな空間のデザインだ。長蛇の列だったけど。

 展示スペースは、自由に使える3つの長方形になっている。多目的の展示に対応するためか意外なほど素っ気ない。だがそれも収蔵品や常設展示を持たない美術館らしく、好感が持てる。

 国立新美術館は、フラクタル理論を用いたという、グネグネしたルーバー壁面を持つアトリウムがとても印象的。ところが、側面に回るとこれが単なる箱なんだということに気づく。そう、ホントに倉庫みたいな感じ。でもこれは非常に潔いなぁと思った。機能、サービス動線側は、あくまで合理的に、シンプルに。正面から見ると新しい形で、斬新さを売りにしてるように見えてしまうが、機能を支える思想は正しくモダニズム的。あまり人が見ることのない側の外観は省略・節約して、皆が訪れる正面側のデザインに注力した感じ。

 また、広々とした敷地に建ち、建物の軒高が高くないので、六本木の喧噪からちょっと離れて、静かな中に佇む感じになっている。正面ファサードの主張は強く、やはり「建築作品」なのだが、街並みを乱すことにはなっていない。江戸東京博物館が、下町にそびえる巨大ロボットみたいなことになっているのとは、かなり様相が異なる。

 曲面に沿って、柱と水平ルーバーがあちこちを向いているので、光の入り方がいろいろにコントロールされる。季節や時刻、天気などによって、明るさや直接光の入り具合が変わるのは面白い。

 「こんなガラス張りの場所造って、夏になったら温室みたいになって大変よ、冷房代いくら掛かるのかしら?」などと、おばちゃん達がしたり顔でケチを付けていた。でもそう言いながら、しっかりレストランでお食事するんだろうな。

 もちろん私も心配だけど、ここは天井があるし、ルーバーでかなり遮ってるので、全面ガラスの古い建物よりはかなりマシなんじゃないかと思うぞ。最近は全面ガラスでも二重だったり、熱線反射だったりして、熱効率の良い建物が増えてるから、ガラス張りだからと言って一概にダメとは言えない。こんなに大規模な建物と、家庭用冷暖房を比較するのがそもそもナンセンスだし・・・。

 一応、建築学科出身なんだけど、最近は細かいところに目が行かないので、ディテールは他のサイトへどうぞ。例えば、秋葉OLさん。私なんかより遙かに良く観察しておられて正直言って驚かされる。なぜにそこまで・・・。

新美術館の箱
「本気か!」★紀章展と新美術館
#新しい建物 港区  #吹き抜け・アトリウム  #ミュージアム  #黒川紀章  #21世紀 
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国立新美術館-1

2007-03-07 | 港区   

ちょっと前のことになるが、1月に開館した国立新美術館に行った。

Photo 2007.2.11

 美術館を見学したいと思って行ったわけではなく、たまたま近くを通りかかったついで。休日だったので、六本木の駅から人の流れができていて、なんとなくついていったらたどり着いてしまった。で、アトリウムに無料で入れるのを知り、野次馬根性からつい入場してしまった次第。

 どちらかというと、昔あった歩兵第三連隊の建物が、部分的とはいえ、どのように残されたのかが気になっていたので、ついでにその確認もすることに。 それにしても人が多い。東京で新しい施設がオープンしたり、特別展が開かれたりすると、いつもこんな調子。人混みが嫌いなので、普段はこういう場所を敬遠しているのだが、今回はつい迷い込んでしまった。絵画展の方は長い列ができていたので回避。

 中に入ってみたら、黒川紀章展をやっていた。建築の展覧会なんて久しぶり。無料だったのでこれもついでに冷やかしてみる。

 見た感想としては・・・面白かった。建築の展覧会というと、模型があって写真や図面があって、静かで、ちょっと気取った感じなんだけど、この展覧会はなんだか様子が違った。

 新美術館オープニング後、初めての連休だったせいかもしれないが、観客がやたらに多かった。都知事選立候補なんていう話題もあり知名度も高く、老若男女がどやどや。みんな口々にいろいろ話しているので場内が賑やか。こんな建築展も珍しいのではないだろうか。いわゆる建築家志望の学生が多数集まり熱気に満ちて、というのとも違う。

 そんな状況を見越したかのように、黒川氏のサービスも派手。とにかく視覚的にうるさいぐらいに主張が文章化されている。図面や写真が壁一面になっているのはともかく、その横にでかでかと文字が並ぶ。10cm角以上もある大きな字で文章が数行ずつ書かれ、離れたところからでも読みやすい。ついつい皆が読んでしまう仕掛けになっている。

 美術館での絵画などの展示というと、絵や彫刻を邪魔しないように、比較的小さな字で説明が付けられていることが多く、説明を読むために人が、壁にべったり張り付いて並んでしまうことが往々にしてあるが、黒川氏は逆の方へ行った。図や写真の全体像を見せつつ、遠くからでも主張が分かるようにという展示。 室内に入って、文字や写真、図面を大量に浴びるような感じで、やや視覚過多、情報疲れをしてしまったが、こういう暑苦しい系の展示は久しぶりだったので結構面白かった。

 ただし、内容的には両手を挙げて賛同してるわけではない。内容は、今までのまとめであり、紀章黒川のほとんどプロモーションなので、へぇーそうだったの、というだけ。環境との共生を謳っているが、エネルギーを集約的に利用するとして、大型の構築物を企てるあたりは、ホントに共生を目指したエコなんだか怪しく見えてしまう。実際のところどうなんだろう。

 ただ、大阪のソニータワーの解体と、中銀カプセルタワーの解体計画に対して、猛然と反論し挑発しているところなどは、まだまだ元気だなぁと思わせられた。確かに解体はとても残念なことなのだが、文句を言う相手がちょっと違うような気もする。どうしても残したいという熱い思いが、そうさせてるんだろうか。70才を超えてるのにまだ枯れてないっていうか、更に元気になって居るんじゃないかとさえ思った。あくまで私見だけど。

#新しい建物 港区  #ミュージアム  #黒川紀章 
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国立考古学博物館

1993-03-19 | ギリシャ 

1993 Europe日記
1993.3.19 Fri Athene

09:30 起床。ギリシャではやることが少ないので、ゆっくり起きてゆるりと市内を見て回ることにする。
10:00 朝食。もはや馴染みになってしまったレストラン Williams Of Orangeで、朝食。790Drsも払うと、ベーコンポテトに目玉焼き2つ、コーヒー、フレッシュオレンジジュースが飲める。非常に安く、かつ美味しい。

11:00 朝食をゆっくり終えて、空港行きのバスを確認。K氏と別れて、一人で国立考古学博物館へ行く。

 途中の通りは排気ガスがひどくてノドが痛くなる。だからジュースや食べ物が欲しくなってしまうのだろうか。まあいい。焼き栗を買い、歩きながら食べる。

11:30 国立考古学博物館到着。

 相変わらず学校の団体での見学が多く、中は混雑していた。学生が大して熱心ではなく、関係ないことをしているのはどこも同じ。

 博物館は日本人の目からすると地味ではあったが、内容はなかなかのものだった。日本なら一級品として扱われるであろうものが、ゴロゴロと並べられている。

#街並み 海外  #自動車  #鉄道  #ミュージアム  タグ一覧

ヨーロッパ旅行記 1993.2.28〜3.21
Google Map 1993.03 Europe
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