都市徘徊blog

徒然まちあるき日記

油山寺

2012-01-09 | 静岡県  

 遅ればせながらあけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 正月は完全に寝正月状態。初詣にも3が日にはいかず、4日になってようやく遠州三山の一つ、油山寺にお詣り。

 油山寺(ゆさんじ)を訪れたのは実に30年ぶりだ。高校生の頃、父母と共になんとなく行ってしまったので、当時の記憶はかなり曖昧。国の重要文化財指定を受けている山門と三重塔は、ときどきネットやガイド雑誌などで見たりするので、見たような記憶もあったが、他はほとんど忘れてしまっていた。

 山門のそばの駐車場に車を駐め境内へ。

油山寺 山門
所在地:静岡県袋井市村松1   Google Map
建設年:1659年(万治2)掛川城の大手二之門として建立
    1873年(明治6)現在地に移築
備考 :国指定重要文化財
Photo 2012.1.4(この記事内全て)

 山門は掛川城にあったものが移築されたもので、白壁で鯱が付いたいかめしい姿。明治初期に城主太田備中守が眼病快癒の礼として寄進・移築したのだという。寺院には似合わないごつい姿だが、逆にこれが油山寺を印象的なものにしている。

両大師前を上る階段

 三重塔と本堂(薬師本堂)のある場所まで、山門からあんなに歩くというのは全く記憶になかった。折り返しながら上る長い階段があったり、途中に「るりの滝」などというものがあったことも記憶にない。30年前に訪れた時と全く感触が異なり、ほとんど初めて来たような気分だった。

薬師本堂(左)と三重塔(右)
 薬師本堂:建設年 1738年(元文3) 静岡県指定有形文化財
 三重塔 :建設年 1611年(慶長16) 国指定重要文化財

 辛うじて記憶していたのは、三重塔とちょっと変わった屋根の形をした薬師本堂の風景。塔より本堂が数m高い場所に建っているのもなんとなく覚えていたが、こんなに奥にあったっけ?・・・。

 三重塔は高さ約23mで、朱塗り、銅葺きの姿が印象的だ。写真ではよく分からないが、3層の屋根は天竺様で垂木が放射状、1層と2層は和様で垂木も平行になっている。上層と下層で垂木の配置が異なるというのはよくあることなのだろうか。五重塔や三重塔をたくさん見て知っているわけではないので、特殊かどうか分からないが、様式が混在しているのは興味深い。

 本堂は基本的には恐らく方形屋根。前面の入口部分の庇が頂部から三角形に張り出しているのが独特だ。

油山寺 薬師本堂内部

 堂内には千羽鶴や絵馬、額絵などが所狭しと飾られている。お寺のお堂には、怪しい気配が濃厚なものや陰気なものがあるかと思えば、カラッとしているもの、鮮やかでど派手なものなど、いろいろあるが、ここのお堂は、日差しの関係もあってか、堂内も明るく穏やかなかんじ。

Wikipedia > 油山寺
油山寺ホームページ
静岡の建築
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静岡浅間神社百段階段

2009-04-20 | 静岡県  
静岡浅間神社百段階段
所在地:静岡市葵区宮ケ崎町102-1
段数 :108段
幅  :約5.5m
全長 :約35m
全高 :約20m
蹴上げ:18〜19cm
踏み面:30〜32cm
傾斜 :約30°
Photo 2009.2.8
静岡浅間神社Website

 久しぶりに静岡の浅間神社を訪問。静岡浅間神社は、3つの神社(浅間神社、神部神社、大歳御祖神社)といくつかの境内社の集合体の総称。
 一つの建物が二つの神社の拝殿になっているのと、この拝殿はかなり変わった形をしているので面白いのだが、そのへんの話題はまた別の機会に扱うことにして、今回は「せんげんさん」もしくは「せんげんやま」の百段階段について。

 この階段は境内社の八千戈神社の南側を西向きに上るもの。階段を上りきると左手に賤機山(しずはやたま)古墳があり、右へ行くと麓山神社(はやまじんじゃ)、浅間山(せんげんやま)、更に賤機山及び、賤機山城跡に至る。階段は山上の奥社ともいうべき麓山神社への階段として造られたものだろうか。
 久能山東照宮の1,159段の階段は、つづら折りの山道に造られた石段だが、百段階段の方は、神社の男坂などでよく見られる一直線に山を上る階段だ。

 私がこの階段をしばしば体験していたのは高校生の頃。神社の近くに母校があり、体育の時間に体力づくりと称してしばしばこの階段を上り下りさせられていた。学校から浅間山の山頂までを往復し、その後、学校の周囲を5周なんてのを体育教師に指示されてハアハア言いながら走ったりしたものだ。

 当時、階段を「一段とばし」しながら上り下りした記憶もあり、最近になってそれを思い出し、下りの一段とばしなんてずいぶんと危ないことをしてたもんだなぁと思ったりしていた。ただ、記憶というのは随分いい加減なもので、東京、愛宕の男坂と同じくらい急だったような気がしていたのだが、今回改めて訪れてみると、蹴上がさほど高くなく、踏み面もそれなりにある。これなら走って上り下りするのはもちろん、一段飛ばしながら上り下りするのも、注意しながらならできるかもしれない。途中に踊り場がないので、下手に踏み外すと下まで転げ落ちてしまう可能性があり、なかなか手強いものだったことは確かだが。

 今回は巻き尺などを持ち合わせておらず、傾斜や幅などを測りそこねてしまった(後日測ったら27°(50%)だった)。また段数はぴったり百段ではなく、105段ある。賽銭箱の下にも3段あるので、計108段。もちろん、百段以上はあるので、名に偽りがあるわけではない。浅間神社は当然、神道だが、この階段の段数が、仏教で言うところの煩悩の数と同じなのは、たんなる偶然なのだろうか。

 階段下にある八千戈神社は江戸時代の極彩色の漆塗り建築で、きらびやかな装飾が施されたお社。神社の正面から眺めると、左後方の木立の中に百段階段が見え隠れして、上り下りする人が屋根の軒先のあたりに見えたりするのも面白い。

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久能山東照宮石段

2009-02-03 | 静岡県  
久能山東照宮 表参道石段
所在地:静岡市駿河区根古屋
型 :つづら折り
段数:1,159段
Photo 2008.12.28

 私の故郷、静岡市の中心部は平坦な街だ。現在の静岡市葵区や駿河区の中心部は安倍川下流域に広がるため、まちなかには階段はほとんどない。急な坂道もまちなかには全くない。街が平らなので静岡の人々は昔から自転車をよく使う。また、人々は街中の階段を歩いて上り下りするという体験がほとんどない。

 そのような静岡人にとって、市内での階段体験は寺社の階段にほぼ限られる。静岡の人に市内の階段を挙げて下さいと問うたら、間違いなく挙げられるのが、浅間神社の百段階段と、久能山東照宮の「いちいち御苦労」である。浅間神社についてはまたそのうちに取り上げることにして、今回は久能山の石段。

 久能山東照宮にある参道階段は、海岸沿いから山上に向かって、200m近くの高低差を登るつづら折りの長い階段。1,159段あると言われ、その段数から「いちいちごくろう」と呼ばれている。これは、山上から日本平へ至る日本平ロープウェイのガイドさんのネタでもある。

 久能山は日本平と同様に隆起してできた山だが、海蝕により東南側が削られ、西側の谷と挟まれるかたちで周囲が絶壁になっている。このため戦国時代には武田氏が久能山城を築いた。また徳川家康の領地となった後もこの場所は重要視されていたそうで、家康は1616年の死後、遺言により当初はここに埋葬された。久能山東照宮の社殿は翌年(1617)に造営されたという。

 江戸期には参勤交代の大名も立ち寄ったと言われる。東海道から分かれ、久能街道で海沿いを歩き海側から山に登るのが山上の東照宮に至るメインルートである。つづら折りになった階段を、往時の人々も上ったのだろう。

 ただ今回はちょっとずるをして日本平山頂まで車で行き、ロープウェイで久能山の山頂に行ってしまった。楽をして1,159段の一番上に辿り着いてしまったわけで、上からちょいちょいっと写真を撮ってまたロープウェイで戻ってしまった。暖かくなったら、もう一度下から歩こうと思う。

 右上に広がる海はもちろん駿河湾。海の向こうに霞んで見えているのは伊豆半島の山々。東南向きの斜面は冬でも暖かく、眼下に石垣イチゴのビニールハウスが並ぶ。冬のさなかだが、日射しがあるので静岡の風景は暖かく穏やかだ。

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Tokyo Lost Architecture
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