ALQUIT DAYS

The Great End of Life is not Knowledge but Action.

モノづくり

2017年10月11日 | ノンジャンル
大手製鋼メーカーの製品品質保証データの改ざんが
取り沙汰されている。

日本のモノづくりの品質神話も崩れて久しい。
モノづくりの空洞化に伴って、品質も蔑ろに
されるなら、モノづくりなどやめればよい。

ただ、これはいわゆる品質問題ではなく、
契約の問題である。

一般の規格に準じたものであれば、
品質的には問題ない。

だが、製鋼メーカーが提供するのは素材である。
その素材を使って製品を作る側にとっては、
契約仕様に準じていない素材を購入し続けた
ことになる。

購入側も、自動車、鉄道、航空機などの
大手メーカーである。

重要保安部品の多い業界で、素材購入者側が
その改ざんに気付いていなかったとすれば、
それはそれで大きな問題である。

いわゆる受け入れ検査体制が厳格でないことを
露呈することになる。

大手は、標準規格をベースに、個別の契約規格、
仕様を取り決めているが、通常そのレベルは、
標準規定の2-3倍増しとなっている。
特定の製品によっては、10倍増しなどという
ものもある。

よって、今回の改ざんによって、それがすぐさま
流通製品の問題とはならないことは、関係者なら
わかっている。

どうも、特定のメーカーというよりは、業界自体の
暗黙の了解的な背景が見える。
事実、契約規格から外れていても、特別採用という
措置も製品によっては為される。

マスコミが喧しく取り上げているのに対し、実質の
被害者ともいえる素材購入メーカーが割合に
落ち着いているのはそういうことだろう。

下手に騒ぐと、今度は自らのチェック体制を問われる
ことになるからだ。

いずれにせよ、職人気質がモノづくりから失われれば、
それはただの生産になる。
こだわりというものを失い、コストと納期だけという
商売人の気質と混じれば、それはもう職人ではない。

モノ売りは商売人で、モノづくりは、職人の
ものである。
職人が商売人になれば、そこにモノづくりはない。