ALQUIT DAYS

The Great End of Life is not Knowledge but Action.

酒飲みダイエット

2010年12月01日 | ノンジャンル
師走に入り、忘年会シーズンとなったが、
「酒飲みダイエット」なる書籍が話題になっている。

珍しくもない、奇抜性を狙ったダイエット本かと思いきや、
ドクターの監修による糖質管理の手引書である。
きちんと内容を読んで、その手引きに従えば、大きな
効果があると思われる。

しかしながら、そのタイトルの奇抜性によって、
書籍の紹介やPRに、一般の人に対して大きな誤解を
生じさせる危険性がある。

タイトルだけを見れば、「お酒を飲んでダイエットしよう」
という、酒飲みには恰好の意味合いになる。
むしろ、普段飲まない人をしてダイエットのために飲もうと
思わせる事の方が問題である。

ドクターたるものが監修をしていてこのタイトルとは、
情けなくもある。 内容ではなく、世間の風潮に迎合した
「売れる本」的なタイトル付けが情けないのである。

内容については、糖尿病関係、ダイエット関係本とさして
大差ない。

カロリー、糖質上、お酒は糖尿病患者にとっては
天敵とされてきたが、今ではカロリーオフ、糖質ゼロの
お酒も販売されており、取り立てて「酒飲みダイエット」
などと銘打つ意味もない。

肥満の問題は、無論、摂取カロリーが消費カロリーを
大幅に上回って、体に脂質が蓄積されることが原因であり、
ダイエットとしては、摂取カロリーを抑え、消費量を
増やすことが大原則である。

いかに楽にダイエットできるかのノウハウがダイエット本の
売れ行きを左右するような風潮であるが、肥満は生活習慣に
おいて表れた結果であり、楽にダイエットなどできる
わけがない。

長い年月にわたる生活習慣の中で肥満となったものを、
楽に、しかも早期に痩せる効果を出せるダイエット法など
ないのである。

次に代謝の問題がある。
人それぞれ個人差があって、汗かきの人もいれば、
汗をかきにくい人もいるように、代謝自体はその人その人で
大きく異なる。

水を飲んでも太るという人もいれば、痩せの大食いと
いわれる人もいる。
お酒におぼれ、満足に食事が摂れなくなって痩せ細る人は
多いが、逆に過剰な食事にお酒がプラスして肥満、糖尿病へと
つながる人もいる。

アルコール自体には糖質はないし、体内でも急速に
代謝される。
蒸留酒である焼酎なら良いが、醸造酒であるビール、日本酒、
ウイスキーなどはアルコールよりもその糖質が問題と
されるのである。

さて、カロリーあるいは糖質の摂取と消費の
バランスの問題。そして代謝の問題。
この原則は変わらないのであるから、その人の状況に応じた
バランス回復の対策が個別に講じられるべきである。

その対策を、忠実かつ継続的に実行すれば必ず効果は表れる。
だが、根本的な問題は、痩せたいけれど、食べたいものを
食べたいという抜き難い欲求なのである。

酒飲みは、わかっちゃいるけどやめられないのである。
その意味では、ダイエットの問題、飲酒の問題も、
根本的なところでは共通する面があるようだ。

酒飲みが、苦しくともお酒をやめれば、何かが変わっていく。
ダイエットもまた然りである。

タイトルを誤解して、お酒を飲んで、食べたいものを食べて、
それがダイエットにつながると考えるのは、あまりにも
馬鹿げている。

お酒を飲みながら、アルコール依存症の回復を
望むようなものなのである。