無意識日記
宇多田光 word:i_
 



今日で『SCIENCE FICTION TOUR 2024』初日まであと半月、明日であと2週間となる。そろそろセットリスト予想が盛んになってくる時期かな。今夜は、アルバム『SCIENCE FICTION』のアレンジ手法に基づいてライブのセットリストについて考えてみたい。

アルバム『SCIENCE FICTION』でのニューバージョン楽曲における共通した大きな特徴は、Re-Recording&REMIX共通で「エンディングの変更」だ。特に、オリジナルではフェイドアウトだったエンディングがカットアウトになっているのが目立つ。また、フェイドアウトでなくても器楽演奏で終止符だったのがヴォーカル/コーラスによるカットアウトに変わっているものもある。

フェイドアウトがカットアウトに変わったのは、『SAKURAドロップス』『Can You Keep A Secret?』『traveling』『Automatic』といった楽曲たちだ。「リミックスとか言われても、音質が変わったとかよくわかんない」って人もこの変化には気づけて嬉しくなったのではないか。私も「あ、変わってるとこあった」と安心したクチでした。

また、インストで終わってたエンディングがヴォーカルによるカットアウトになったのは『Addicted To You』や『光』といった楽曲たち。これまた鮮烈さが堪らないわよね。

そもそも、フェイドアウトの何がまずいって、ライブでそのまま演奏できないことだ…ってこれこの日記に書くの何回目か最早わかんないけど、スタジオ・バージョンでフェイドアウトした楽曲をライブで演奏するには新しくリアレンジしないといけないわけで…

…それを、既にアルバムで実践しているとしたら…?と考えるのだ。つまり、

「今回フェイドアウトでなくなった楽曲たちは、ツアーの為にそうなった可能性が高い」

のではないだろうか? 即ち、あっさり言ってしまえば

『SAKURAドロップス』
『Can You Keep A Secret?』
『traveling』
『Automatic』
以上4曲はライブで歌うことが確定なのでは!?

ということである。いや待て特にうしろの2曲は絶対やるやつじゃねーかと言われたらその通りなんだけど(笑)、でも鉄板がダイヤモンドになると思えば…って宇多田ヒカルの歌詞世界ではダイヤモンドって扱いがそんなでもないんでしたね!(FoLしかりGoldしかり)

こほん。一方で、フェイドアウトがそのままの楽曲も幾つかある。『Prisoner Of Love』『Goodbye Happiness』『Letters』といった面々だね。とはいえ、これらは既にステージ上でカットアウトバージョンを聞かせてくれてるからな…いやそれを言ったらSAKURAもキャンシーもそうなんだけどね! ただ、今回のツアーの為に新しくアレンジはしてないのかもしれない。宇多田ヒカルのツアーは初見参のお客さんが多いのでそれはそれでアリだろう。ただ、ライブで必ずやるという保証はちょっと少なくなったかもしれないね、新しくカットアウトになったヤツらに比べると。


そして、また無駄な期待をしてしまうのだけど、今回ことごとく新しい曲のエンディングがヴォーカル&コーラスでどん!になったので(前回のツアーのキスクラで味を占めた説…すんごい怒号みたいな反応だったからねぇエンディング後のオーディエンス…)、今度こそ生身のコーラス隊が加わるのでは!? …ないかなぁ…これ俺死ぬまで言い続けるんじゃないの…爽健美茶もっと飲んどきゃよかった…いや、今は綾鷹ばっかり飲んでるよ!と念押しして今夜の日記はこの辺でカットアウト!

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遅く来た梅雨の激しい雨を朝から浴びながら、ヒカルの歌の中の「雨」について色々と思いを馳せる。(傘は差してるよ)

そもそもデビュー曲の『time will tell』からして『雨だって雲の上へ飛び出せばAlways blue sky』だったし、復帰後第一弾の片割れなんてタイトルからして『真夏の通り雨』だ。そして、最高傑作の一つ『気分じゃないの(Not In The Mood)』もまた雨の歌である。事欠かない。宇多田ヒカルと雨は切っても切れない関係にある。

しかし、『SCIENCE FICTION』にはそれらの歌、『time will tell』や『真夏の通り雨』、『気分じゃないの(Not In The Mood)』、それに『HEART STATION』や『虹色バス』のような雨の場面もある歌はことごとく収録されていない。前も触れた通り、どちらかというと重めの歌は避けられてる作風だからかな。

そんな中『SAKURAドロップス(2024 Mix)』の存在感が光る。『降り出した夏の雨』の運んでくる淡い抒情性。桜の散った初夏を歌った歌詞なだけにここでの雨はそこまで豪雨でもなさそう。一筋の涙に伴う少しばかり静かな雨を連想させる。そして発売当時のあの頃の感覚が、ドルビーアトモス寄りの立体感を際立たせた音像によって新たに生まれ変わってこちらに迫ってくる。

ただ、この歌は2002年のヒット曲なのよね。22年前。日本の気候が今とは違う。局地的集中豪雨について「ゲリラ豪雨」と形容されるのが広まったのは2008年頃かららしく、それまではどちゃっと降る雨は今より少なかった。確かに、昔の日本には初夏や梅雨の始めのあの静かでしっとりとした雨の景色がそこにあったのだ。

今は降るとなったらゲリラ豪雨に線状降水帯と亜熱帯のような激しさだ。奇しくも、と言っていいのかはわからないが『真夏の通り雨』のもつ雨の激しさはここ20年の日本の気候の変化に巧まずして即しているように思える。ロンドン居住期に作詞してる筈なんだけどね。

なので、『SAKURAドロップス』の静かな抒情性は、発売当時のまま今の若い世代に伝わっているのかなとちょっと余計な心配もしたくなっているのだが、ミックスの変化がブライトな方向だったのでリスナーの心の中の雨が少し激しくなるくらいの方がサウンドの描く景色には合っているかもしれないなと思い直した。同じメロディ、同じ歌詞でも、現実世界の変化と新しい技術による音作りのブラッシュアップで、その意味するところや意図するところが遷移することもアリなのかもしれないなと思うのでした。にしてもよく降るな今朝の雨は。

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これは触れておくべきだな。推測が事実として確認された。

https://www.itochu.co.jp/ja/about/magazine/viewer.html?file=pdf/hoshinoshonin2024_no17_talk.pdf#zoom=page-fit

「星の商人」でのインタビューから、『Electricity』の歌詞について。

『手紙はニセモノでアインシュタインが書いたものじゃないらしいっていう話をネットで目にしたんですけど、それこそサイエンスフィクションかなと。』

そう、ヒカルは「アインシュタインの手紙」がニセモノらしいということを踏まえた上で敢えて歌詞に採用したのだということが確認された。ほぼそうだろうなと思ってたけど、実際そうであったと確認できたこととは雲泥の差があるので、こうやって言及して貰えて実に良かった。

そして、『それこそサイエンスフィクションかなと。』と言ってる! 凄い小気味よく言っちゃったねぇ。こういうのは、そう、そうやって押し切るのが大事よね。

だがそんな風にすっきり言ってしまうと、問題点をあやふやにしてしまうんじゃないかと私は危惧をする。

毎度言っている事だが、物事の真贋自体は重要じゃないんだ。人を騙す気・欺くつもりがそこにあるかないかが重要なんだ。真贋の定まらない何かについてそれが本物だと信じるのも信じないのも自由だが、それを“人に信じさせる為に”・“敢えて真贋がわからない事に触れない”などの言動を誰かがし始めるのが問題なのだ。そして、「アインシュタインの手紙」に関しては、ネットで検索するとその点について不誠実な態度の記事が散見される。故に複数の記事を比較参照しない人は「これはアインシュタインが書いたものだ」と信じ込んじゃう事態になりかねない。騙されるのよね。ちゃんと「出典不明」ってまず書かないとね。

いやね、アインシュタインが書いた証拠もないなら、書かなかった証拠(「すいませんそれ書いたの私です。アインシュタインじゃありません。」と執筆者が名乗り出ればいい。その人が鬼籍に入っていなければ、ですが。)もない、ならば、これをアインシュタインが書いたものとして想像してみよう、という時の感覚は確かにSF、サイエンス・フィクションだとは思うよ。ヒカルはそこについて言っている。わかる。よくわかる。だからこそ、かなり危うい橋を渡っているなと思わずにはいられない。歌詞に「ホントかどうかわからないけれど」とか入ってたらよかったなぁとか野暮ったいことを思っちまったぜ。だが、ともあれちゃんと今回ヒカルのスタンスが確認できてよかった。いい仕事しましたなインタビューアの柴那典さん…って、未だに「しば・とものり・さん」って音読がスムーズにいかない! 刹那の那を「とも」と読むのは、人名ではポピュラーだという事らしいけど慣れないわ〜。今後もバンバンヒカルにインタビューしてどうかこちらに慣れさせて下さいな。

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梶さんがインタビューで綾鷹CMでの『traveling (Re-Recording)』の起用についてこんな風に語っている。

梶:今回「綾鷹」では、ボトルと味が新しくなり、それを「自分のリズムでいこう。」という前向きなメッセージで訴求したいということでした。この世界観と再レコーディングの「traveling」は非常に世界観がマッチしていたというのが起用の大きな理由です。
https://markezine.jp/article/detail/45790?p=3

あぁなるほどそういうことか。「綾鷹」自体が既に確立したブランドで、今回の訴求要点はそのリニューアル。ならばCMソングも既に確立した人気曲である宇多田ヒカルの『traveling』を起用し、そのリニューアル・バージョンを響かせる事でコンセプトのシンクロを狙ったのね。言われてみればそりゃそうなんだろうけど、目から鱗でしたわ。

他にも、

「基本的には、タイアップの内容と宇多田ヒカルの世界観が合わないもの、短い時間の中で音楽にナレーションがずっと被ってしまうCMは一切行わない方針です。」

という発言も際立ってたわね。言われてみれば確かに、ヒカルの曲が起用されるCMはちゃんと曲が聞こえるものばかりだ。そして、その主張を押し通せるだけのアーティスト・パワーが依然健在というのも再確認できてよかった。こういう力関係ってケースバイケースだもんね。

広告代理店てのは、シビアな数字面ではなかなかに忖度がない。その昔、「血液型診断が無意味だと証明するには、大規模な科学的調査を持ち出すよりも、一点、“広告代理店の集める顧客データに血液型の項目がないこと”を指摘すれば事足りる。」と言われてなるほどと思った事がある。少なくとも購買行動に血液型は無関係なのを経験的によく知ってるのね。そういうドライな業界においても宇多田ヒカルはまだまだ引くて数多なのだ。このレベルの知名度だと当然と思われそうだけど、やっぱりチーム宇多田が絶え間なく実績を積み上げてきた成果だと思うのよ。特に、オリンピックより長いスパンでしか全国ツアーをやってないのだからこれは結構驚異的だわ。如何に梶さんをはじめとしたA&Rの皆さんが普段からハードワークをしてるかってことね。

大事なのは、梶さんがかなり「普通の感覚」を持っている事だ。三宅彰プロデューサーと沖田英宣ディレクターはどちからというと音楽オタクで、スタジオワークに特化したスタッフだ。他方、宇多田ヒカルというアーティストはそのファン層のメインが一般大衆で、音楽オタク的な所には興味がない。そこのギャップを埋めているのが梶さんなのだと知ると彼の偉大さがよくわかる。インタビューを読めばわかる通り、彼は非常に宇多田ヒカルの音楽観、世界観を理解している。その上でそれらをどうすればリスナーに伝えられるかを腐心し続けている。「音楽家が発した音がリスナーの鼓膜に現実に届くまでの総てのプロセスを総称して音楽と呼ぶべきだ」という観点に立てば、彼もまたある意味演奏者の一部というか、ヒカルの歌のクリティカルなパートを担っている人なのだという言い方も出来るだろう。

それは、それとはベクトルが反対方向の、「アーティストを守る」という点においても同様だ。

梶:ですね。ただ、すべて本人の意向で進めれば良いわけではなく、必要なリスクマネジメントもしっかりとします。「これをやると、こうなる可能性もあります」と説明をし、宇多田も含めたディスカッションができるチームなのでここまで続けてこられたかなと思います。
https://markezine.jp/article/detail/45790

そうか、そういうアドバイスもしてるんだね。プロモーション活動上のリスク。宇多田ヒカルが炎上と程遠いのは、彼がこうやって事前に火消しを行なっているというのも大きかったか。ますます彼への信頼度が深まった&高まった。こうやって、裏方さんがしっかりインタビューに答えて言葉にして皆に伝える機会、もっとどんどん増えてほしいな。

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梶さんへのインタビュー記事。

「宇多田ヒカルはなぜ今の若者からも支持を集めるのか?時代に合わせた顧客コミュニケーションの手法に迫る」
https://markezine.jp/article/detail/45790

つくづくこの人が宇多田ヒカルのA&Rでよかったなと再々…々確認する実に良い記事。ポイントを押さえた名言が続々と出てくる。そこは是非皆さん自ら読んで確認してみて。

そこはそれでいいのだけど、ちょっと小さな問題が。タイトルとそれに沿ったまとめ方が不味い。もし学生が梶さんにインタビューしてこの記事をレポートとして書いてきたら可や良ならまだしも優はやれんなぁ。

曰く、「時代に合わせた顧客コミュニケーション」なんだそうな。梶さんの手法は。そしてまとめ方は「本日のお話を通して、梶さんは時代に合わせてチャネルをうまく使い分けてプロモーションを行っていると感じました。」とある。別に間違いではない。間違いではないが、今回の梶さんの話した内容の要点を捉えてるとは思えない。梶さんの手法は結果的に時代に合ったものになっているかもしれないが、彼が合わせてにいってるの時代ではなく、現実にそこに居る顧客そのものなのだ。

インタビューを読めばわかるが、別に彼は時代の流れを先読みしたりしてるわけではない。現在の状況とその環境の中にいる現実の顧客のニーズをしっかりと掴みにいっているに過ぎない。ドラマ『First Love』やエヴァで新規顧客層が来た、では彼らには何を提供しようか、というロジックで『SCIENCE FICTION』の制作に辿り着いている。サブスクで過去の楽曲がたくさん聴かれるようになった。ではここで宇多田ヒカルの昔の曲を聴いてもらう時にどうすればよいか、でトラベの再録に繋がっていく。話の順序は常にそうなのだ。現在の環境と顧客の状態や事情を読み取って、そこに宇多田ヒカルの曲を嵌め込んでいく。極めて、極めて基本に忠実なプロモーションを実直に、四半世紀にわたって続けてきただけなのである梶望という人は。だから凄い。

そういう梶さんが昔語っていたのが、「顧客をどこまで具体的に想定できるか」という話。その時は「下北沢在住の女の子」だったかな? どんなファッションでどんなメイクで、普段どこでバイトしてて友達はどんな風で、何を着てて何を食べてて何を読んでるか、それらを組み合わせながら「じゃあそんな彼女が聴きたくなる曲ってどんなのか? 今担当してるアーティストを聴いてもらう為にはどうすればいいか?」を考えていくのだという。結局は人なのである。これが彼の基本的な方法論だ。若い頃にラジオ局やCDショップを全国行脚したというのは今回のインタビューでも語っていたけど、実際に北海道から九州沖縄まで半年かけて歩き回ったらのだそうで、そんな徹底した現場主義の彼だから、行く先々で時代の風を感じることもあるだろう。だがしかし、合わせていくのは人なのだ。時代なんていうなんかでっかくて手に負えなくてあやふやな何かではない。これだけ彼の話を聞いておいてそこがわからないって、まぁ我田引水したかったのかなぁ。やれやれ。


ふむ、こういうことを書いた以上、既に読みながらムズムズしてる人も居ると思うけど、ヒカルのタワーレコードポスターの一言は引用しておかないとね。


***** *****


――――今をどのような時代であると思いますか?
時代と関係のないところで生きてきたのでわかりません。

https://tower.jp/nomusicnolife/2018/12


***** *****


こんなこと言っちゃうアーティストを25年もサポートしてきてるのに、「時代に合わせる」みたいなことをメインにプロモーションとかしないですよ。そんなのはどこまでも副次的なこと。宇多田ヒカルという人がそこに居て、彼女の書いて歌った歌がそこにあって、それを聴いてくれる人、聴かせたら反応してくれる人、これから聴いてくれるかもしれない人たちがいる。彼らが今どんな心情や状況なのかを見極めた上で売り込んでいく。それを毎回丁寧にやっていれば、それはいつのまにか時代に合った手法になってくよ。でもその逆じゃない。悪意はなかったんだろうけど、なのでタイトルはよくなかったな。でもインタビュー自体は素晴らしかったのでぐっちょぶです!!

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ふむふむ、ヒカルのインスタストーリーズにチケットのリセールの話題もアナログ盤発売の話題も上がってるのね。フォロワー数からみても、やはり本人が発信するのが断トツで影響が大きいわけで、ここらへんをおさえとくのは賢明です。

アーティスト毎に体制が違うからねぇ。誰々公式、というアカウントの発信者は基本スタッフ、なケースも多い。たまに本人が発言すると署名入りだったりね。この方式なら、本人の知名度を活かしてフォロワーを獲得し、A&Rが宣伝を発信する、という二段構えが出来る。

実を言うと、ヒカルもその体制持ってるのよね。@u3musicアカウントの存在ですよ。これ、確かヒカルも同アカウントのパスワード持ってるのよね? 自分もu3musicの一員だからということで。なのでここからヒカルも発信もできるし、スタッフが宣伝することもできる。まぁ名前が今のままだと知名度を活かしたフォロワー数が獲得できないから「宇多田ヒカル公式」とかにした方がいいっちゃいいんだけど。

それもそうだけど、このアカウントに「アーティスト全般についての窓口」の役割を担わせられればよかったのになと思わざるを得ず。何度も書いてきてるように、今回どうやらチケット販売に関しては@Hikki_Staffはテイパーズとエブリィに丸投げで様々な事態を把握しておらず。一応「宇多田ヒカルSTAFF」という名称ではあるのだけど、あクマで「レコード会社の」だからね。アーティストの活動全体、つまりライブも含めたところまで網羅してるとは限らない。しかしそう名乗ってる以上フォロワーは「宇多田ヒカル全般について」問い合わせをひにくるわよね。訊かれても知らんがなは本音だとしても言いにくい。

こういう時に、直接問い合わせ自体には答えられなくても「今のアルバム制作についてはこちら」「プレゼントについてはこちら」「チケットについては」「ツアーについては」と様々な窓口を紹介する第一歩として所属事務所アカウントが機能していたらかなりよかっただろうな。

でも現実に、ずっと照實さん個人のアカウントとして使われてきていて今は鍵付きで、その上休眠状態だもんね。ここがネック、ボトルネックになってるけど、もう高齢の照實さんが実質引退しててもそりゃそうかって言うしかなく。

一方でヒカルが商業活動を行っている以上事務所はしっかりと機能していて、誰かが日々業務に携わってるわけでね。そこで広報担当が出てくるかどうかよね。所属アーティストひとりだとそうそう人員も増やせないだろうし、もともと家族経営だしな。ちえちゃんも殆ど呟かなかったし。今後も望み薄かねぇ?

ツアーのリハーサル真っ最中のヒカルが、本人としてはとっくに一丁上がりな仕事に関してプロモーションまで行うというのは少し負担が重い気がしなくもなく。実際アナログ盤持ってないみたいだしな。yoshirotten氏は持ってはるのに。ヒカルが固執してないからだろうけど、手元にもないもん宣伝にしろったってまぁ気分が乗らないよ。うむよし、手に入ったらその時は開封の儀をインスタライブしようぞ。(本来これくらい手軽に発信できるのがインスタライブよね?)。

てことでヒカルさんの負担軽減の為にも、そろそろ@u3musicに広報担当者が生まれて欲しいなという話でした。まる。

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オリコン上半期アルバムランキング。

1位 SixTONES
2位 SEVENTEEN
3位 宇多田ヒカル
4位 INI
5位 WEST.
https://www.oricon.co.jp/special/68052/

なんだそうな。『SCIENCE FICTION』が第3位。売れたねぇ。なお、

累積売上枚数:290,365枚
ダウンロード数:30,984ユニット
換算売上ポイント:371,463pts.

とのこと。枚数もダウンロードも総合も(他の順位はチャート毎に色々違う人たちに入れ替わってるのに)ことごとくどれも第3位。なんだかヒカルらしいなと思ってしまった。いろんな聴かれ方をしてる、つまり様々な世代やクラスタの人に接してもらってると。

これ、ベスト・アルバムとして売り出したのどうだったんだろうね?と今更ながらに思ってしまう。Re-RecordingとRemixとRemasterの威力を総合するとReproductionアルバムとして売り出すのもひとつの手だったかとも思うが、そういう売り文句だとそこまで極端な音の弄り方してないから期待外れって言われかねないし、バランスが難しいね。

これ、結局のところ、なんだかんだで「地味だけど前代未聞」な形態のアルバムなのかもしれない。邦楽について詳しくないからようわからんけど。

まぁともあれ、「宇多田のベスト?『First Love』とか聴けんの?」くらいのテンションで来てくれた人も満足できるし、オリジナル・バージョンを年がら年中聴いてる私のような人種も満足できてそうということで、これでよかったのかもしれないな。無理矢理不満を言うならば、ここまで力入れるんだったらもう新譜作ってもよかったじゃんって。それくらい気合い入ってたよねヒカル。

結果、『Single Collection Vol. 2』の時の感触に近いわな。旧曲を振り返りつつ新曲も楽しむ、ってのは。今回は新曲に加えて新録や新ミックスもだが。


で話をチャートに戻すと、CDが30万枚売れて、CDシリアルに割り当てられた枚数が6万枚くらいだったとすると倍率が最大5倍になってたのか。そうそう当たらんなぁそりゃ。2月応募分で当選出し過ぎたわね。まーその話はしたか。

となると、だ。これ相当ヒカルはツアーに来る人たちを「コンサート初心者」と思って接しないといけないかも。「いい?『Automatic』のサビではこう4回拳を突き上げてね…」とかって説明しなきゃいけない? うーん、スマートじゃないね。悪くはないけど。あたしは嫌いじゃないが。

コアなファンが何も有利にならなかったチケット抽選なので、ガチランダムでお客さんが来るってことね。何枚CDを買おうと倍率は上がらなかったし、CDシリアルの方が当選確率が低かった。半分以上が2月にタダのアプリをダウンロードした人なのよ、オーディエンス。「宇多田の名前は知ってるけれど」程度でもたくさんやってこれる。

唯一、今となっては、お高いチケット代が奏功してるかもしれない。来日アーティストとしては相場通りの金額とはいえ、物見遊山で出せる金額じゃない…よね? ある程度はそれで選別されてるかもしれない。

あとは、ヒカルの腕次第。コンサートの盛り上がりというのは、かなりの部分が観客の反応に依拠しているので、こういうファン層を相手にしてどうテンションを構築してくるかはみもの。そもそもライブの経験値が低いのに、何もしなくてもハイテンションになってくれるコアなファンを優遇せずに観客を構成したのだから、まぁ難易度は高いですよ。でも、それならそれで逆に、「コンサート初心者はまず宇多田を観ればいい。」みたいな評判が定着したらそれはそれで凄いことだよ。うん、楽しみなポイントだわここは。


ふむ、ほんに、今年の『SCIENCE FICTION』プロジェクト、フィジカルも楽しめるし、ライブも楽しめるし、チャートも楽しめる。ひっさびさの「全方位の宇多田ファン」が楽しめる座組になってるかも。これをきっかけにしてまた出戻りなファンが増えるかもね? ツアーの推移を、見守ろう。

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前回引用した三宅彰プロデューサーによる14歳のヒカルの発言、

『じゃあ今からダブル録りたいと思うんで、でダブルはちょっと軽く薄く歌うんで、ミックスで6:4で混ぜて貰えますか?』

の一言は、短いながらも様々な事を教えてくれる。この時点で既にレコーディングミックスの知識があったことがまずそうなんだけど、ヴォーカリストは「今からダブル録音するから軽め薄めに歌ってみて」と指示を出される事はあっても、自分でそれを思いついてやってみようとは言い出さない。つまり、ヒカルは14歳にしてプロデューサー(/ミキサー)としての自覚が既にあったということだ。実際にクレジットに反映されるのはもう少し先になるが。

その上で、自分で軽く薄く歌うと言っているのは、14歳にしてダブルでの歌い分けをどうすればいいかを知っていると共に、実際に歌い分けられる歌唱技術を既に持っていたという意味でもある。プロデューサーとしての目線と、ヴォーカリストとしての歌唱技術。何歳であってもこの両方を持ってる人は片方のみの人よりぐっと少ない。それが14歳で女子でしかもかわいいとなると、そりゃ他に居ないわな。

この、違った視点で物事をみることについては、ヒカルの最新インタビューでも触れてるわよね。「自分を客観的に観察することで初めて自分がわかる。」って。この客観性は、大人になる過程で育んだというよりかは、かなり元々ヒカルが性格的に携えていたものだったのだろう。まぁね、既に14歳の時点でCubic U のフルアルバム一枚制作してるんだし、それ以前にも、U3でレコーディング経験がある。そして本人も言うように、レコーディング・スタジオで宿題してたとかお家みたいな感覚もあった。


ああ、ダブルといえばSACRéを筆頭としてRe-Recordingでのメイン・ヴォーカルとバックコーラスのそれぞれの重ね方(重ねたり重ねなかったり)が見事なのだが、あれ?あたしのその話してなかったっけ?? 書いた気がするんだが見当たらないな。また次までに探しておきますか。もし見当たらなければ新しく書き下すまでだ。

今回のこの三宅さんのセリフで、宇多田ヒカルのバックコーラスの録音についての認識をやや修正する必要があるかもしれない。てっきり三宅さんの「もう一回」攻撃に代表されるように、周りからコーラスを分厚くしようと提案されてきたのかと思いきや、ヒカル自身が声を重ねる事に最初からノリノリだったのね。そんなノリノリな人でも真夜中にブチ切れて飛び出すほどテイクを重ねたって、三宅さんホント10代のヒカルに何回繰り返し歌わせてたんだよ…。

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Spotifyの「ArtistCHRONICLE」というポッドキャスト番組で、宇多田ヒカルのターンが来た。全3回、3週間にわたって更新されるそうな。

でその第1回が今朝未明?に配信された。DJ YANATAKEさんやスチャダラパーの面々、現在J-WAVEの森田太氏や井上陽水氏などが1998年当時の空気感をコメントしてくれていて、なかなかに興味深い構成となっている。あの時代のそれぞれの現場の当事者の声だけに非常に生々しい。

そんな中、もちろんいちばん近い所で見ていた三宅彰プロデューサーと沖田英宣ディレクターも出演。大体(私には)既出の話が主体だった(英語だからとCubic Uをスルーしたとか会ってみたら写真と全然違って可愛かったとか「オートマは冬だ」とか)が、(私にとって)初出の話が今回は出てたのでメモった。以下三宅さんのコメントです。


***** *****


「スタジオに来て、(『Never Let Go』の)歌詞見せられて、『じゃあ今から歌いまーす』っつって歌ったわけですよ。でそのあと何言ったかっていうと、『じゃあ今からダブル録りたいと思うんで、でダブルめ(※2テイクめのヴォーカルトラックのこと)はちょっと軽く薄く歌うんで、ミックスで6:4で混ぜて貰えますか?』って14歳の女の子に言われたんですよ(笑)。で確かに6:4で混ぜるとちょうどいい。『そういう風なヴォーカルのサウンド作りになるんです』って言うから、「なんでこんなこと知ってんの!?」って訊いたら『ずっとスタジオで小さい頃から育ってるからそういうことは全部わかる』って。俺たちの知ってるようなことを知ってる、こんな子居ないと思って、もう「やろう」って言ったんですよ、その時に。まだ会社のオーソライズ(※許可のこと)も何ももできてない(段階で)ですよ? やるしかないと思ったからあとは社内を説得してなんとかやろうという気持ちになってたんで。」
https://open.spotify.com/episode/1tAA005rt9He9YPKUYnMWc?si=mqnO1-A-RG-sXA2waqYhqg&t=267

(Spotifyのポッドキャストも時刻指定できるのね。知らなかったわ。新機能なのかなぁ?)


***** *****


以上。最初の曲が『Never Let Go』で、最初に歌ったテイクが採用された話は前にもしてたけど、なるほど三宅さんの目の前で録音したのね。この話は私は初めて知ったわ。そして、「14歳の女の子にスタジオでテキパキと指示を出された」というのは前に語っていたけれど、その内容がここまで詳細に語られたのは聞いたことがなかった。ほへぇ、ダブルのヴォーカルのミックスのバランスまで指定してたのね。

これ、人によってどのエピソードまで知ってるかバラバラだと思うので、是非全編聴いてみる事をオススメするよ。これが来週も再来週も更新されるとなると楽しみで仕方がない。なお、ヒカルは出演してませんっ!(少なくともこの第一回は) なので、そこはしっかり踏まえておいてくださいね。

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昨日のインスタストーリーズの更新は(もう見れないみたいだけど)、ちょっと奇妙な感じだった。まず一発目が白のマグカップの紹介で、まさか底面に「ワームホールからこちらを覗き込むくまちゃん」が描かれているとは! びっくりなネタバレだが効果は大きかったのではないか。白のマグカップ買う予定のなかった私が思わずカートに入れてしまったのだから他にもそういう人が居たんじゃない?

「ワームホールから」と書いたが、ワームホールはブラックホールとホワイトホールを繋ぐ穴だという解釈もある。もしヒカルがそれを知った上でこれを描いたとすると、白のマグカップをホワイトホールに見立てていて、一方で黒のマグカップをブラックホールに見立てているかもしれない。その二つの組み合わせでワームホールの完成だとすると商売上手と言わざるを得まい。ぐむむ、ワームホールぬいぐるみキーホルダーの時点で完敗だったのに更に畳み掛けてくるとは参った。


そしてその動画に続いて今度は音声付きでくまちゃんキーホルダーの紹介動画が投稿された。

「ん〜かわいぃ〜⭐︎ きら〜ん⭐︎」

と蕩けながら喋るヒカルの横で誰かが「圧倒的に売れて//」と喋り始めた所で動画は途切れている。えぇっ今の誰!? これが何度聴いてもまるでヒカルが喋ってるように聞こえてな。ここまであからさまな被さりは編集ではないだろうから、ヒカルではない誰かだ。

いちばんの候補はダヌくんだろう。今生きてる中でいちばんヒカルに声が似てる人といえば変声期前の彼なのは、『気分じゃないの(Not In The Mood)』のヴォーカル参加でも明らかだ。ただ、ここまで自然に日本語を喋るのかな?? 実は逆、『きら〜ん⭐︎』の方がダヌくんで『売れて』の方がヒカルという解釈もできそうだが、イヤホンで聴いてみるとそれぞれの声の定位が結構ハッキリしていて、『かわいい』と『きら〜ん』が同じ位置、『売れて』の方がやや右寄りに聞こえる。なので、『売れて』だけが別の人と推測される。

二人目の候補は「事務所かレコード会社のスタッフ」だ。この動画を撮影した状況を推理すると、バックで楽器のチューニングのような音が聞こえてくる事から場所はツアーのリハーサル・スタジオで、そこのテーブルでグッズを広げているというのは「スタッフがヒカルにグッズの完成品を見せに来た」という状況だと考えられる。そこでグッズの売れ行きについてコメントするならそれを持参したスタッフの誰か、ということになるわ。喋ってる内容からの推理ですね。

三人目の候補は、「ツアーのバックコーラス隊の誰か」。そもそもヒカルのツアーにコーラスメンバーが起用される公算は少ないのでこれはあクマでも論理的可能性でしかないのだが、もしバックコーラスの人が要るのだとすればヒカルの声質に似た人が採用されるだろう。ならば喋り声がヒカルに似ていても不思議はない。場所もリハスタなら当然居合わせてるしな。

…と3つほど可能性を考えてみたがどれも決定打に欠ける。ダヌくんだとするとリハスタに居る必然性はないし(遊びに来るかなぁ?)、スタッフだとするとヒカルに声が似てる説明が付かない。コーラスメンバーはそもそも宇多田ヒカルのツアーに登場したことがない。はてさて、真実はどれなのかねぇ? ヒカルがいっこく堂ならそれでいいんだけど…っていっこく堂でも二人同時に喋るのは無理か!?


なお、ひとつめの動画が音声無しで二つ目の動画が音声有りというのは一見不自然だが、ここがリハスタなら理由は単純だろう。マグカップ紹介動画を撮影してた時にバンドが曲を演奏していたのではないか。そのまま音声付きで投稿してしまうとセトリのネタバレになるのできっちりヒカルが音声をオフった、と。ならば今回の投稿は、音声付きで流した方は「意図的」だと思って構わない。慌ててアップして誰かの声が入ってしまった、なんて事態ではないだろう。そこから推理できる帰結は「ダヌくんライブ参加の匂わせ」なんだけど、うーん、BADモードでEの音を弾きに来るとかか? わからんなぁ。ふぅむ、この件は保留にしときましょうかね。

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唐突に今朝の日経新聞に空飛ぶヒカル?の見開き広告が掲載された模様。犯人は伊藤忠商事か! 綾鷹に押されまくってるなと思ってたが、漸く動くのか? 

ともあれ、何より新しいヒカルのアー写と新しいインタビューが生まれたので総て良しとしよう。インタビューは、伊藤忠の広報誌『星の商人』第17号に掲載されたようで、pdfがウェブ上でアクセスできる体裁。
https://www.itochu.co.jp/ja/about/magazine/viewer.html?file=pdf/hoshinoshonin2024_no17_talk.pdf#zoom=page-fit

む。ページフィットズームまでURLに入ってるのか(どうでもよいですね)。

(※ 以後インタビュー内容を引用するので未読の方はご注意を)


で。またもやそのワードセンスに困惑してしまった。伊藤忠の広報誌の名前が「星の商人」だというのはこのたび初めて知ったのだが、思わず「うわぁ、“地球を回す力”と同じセンスだ…」と項垂れてしまったよ。まぁそこらへんのことはあまり面白い話にはならないので省略しよう。


ヒカルの『道』にこんな歌詞があるよね。

『人は皆生きてるんじゃなく生かされている』

私ここ好きでね。どれだけ人が強い意志を持って人生を突き進んでいようと、自分の力なんてなホントちっぽけなものでね。そのちっぽけをたくさん積み重ねてやっとひとつ何か出来るか出来ないかなのよ。人にも人以外にも助けて貰ってなんとか生きてる。生かされてるってなほんそれなで。打ち身の膝小僧にカサブタできてるけど、これ別に自分がこうなるように設計して製作したわけじゃないからな。遺伝子が勝手にやってくれてるだけなんだから。せいぜい、作業の材料を切らさないように必要な栄養を摂取して提供しておくくらいしか出来んのよこちらは。

…という風に共感する私からみると、ヒカルの思想は正直伊藤忠のそれと共感し切れてるのかな、いやある程度であれ共感してるから今回のオファーを受けたんだろうしなぁと心の重心を下げてたんだけど、今回のインタビューで

『主観性にとらわれてると生きるのがつらいと思うんです。』

って言ってる!言い切ってる!のを読んで! うわはぁ、今のヒカルはあたしより伊藤忠寄りなのかなと思ってたのに全くそんなことはなかったのだと思い知ったぜ! むしろあたしよりずっと急進的というか大きく踏み込んでいるというか。すげーな。久々に興奮したぞこの方向性で。

何しろその前段で引用したのがクリシュナムルティの「観測者こそが観測されているものなんだ」なのだ。ニーチェの「深淵を覗く時深淵もまたこちらを覗いているのだ」を一般化したような言葉だが、みるみられるの関係は作用反作用の法則と同じでな。我々が地球に重力で惹きつけられる時、我々もまた地球を自らの重力でほんの僅かだが惹きつけている。なので重心は地球の中心よりほんの僅かに我々の側にズレている。その“対等さ”に立つ時、「地球を回す力」や「星の商人」は如何にも粗暴な若者らしいし、「主観で生きるのつらいよね」とこのタイミングで言って退ける人はものっそい大局を望みながら目の前の現実もしっかり踏まえていてやはり「市井の聖人・仙人」の気配が色濃い。いつ象牙の塔に籠ってもおかしくない人なのにねヒカルさんは…と毎度の通り思いつつもインタビューを最後まで読んだら

『静かに本を書いたり、そういうことに興味がありますね』

と来たもんだ! お前はうるさく本を書く機会なんてあるの?と思わずツッコんでしまったが、その前の

『もっと言葉に比重を置いた創作をしてみたいですね』

と併せて考えれば、なるほどこれは「音が鳴らない状態で」即ち「音楽がない状態」を「静か」と言っているのだとわかった。今までの言葉の創作はどうしても歌詞だらけという事で、音韻や音程や伴奏といった“けたたましい”要素と不可分だったのだが、そこを少し離してみたいということかもしれない。こりゃ面白い。「歌」はいつも不死と死で、もとい、節と詞で出来ているから、「いつでもメロディが先」というヒカルは節寄りの創作活動だった。が、歌にとって詞も節もどちらも等価なのだからそれでは偏る。たまに言葉の方に偏ってバランスを是正するのも悪くないかもしれないね。アファーマティブ・アクションだね。どっちにしろいつかは「歌」に還元されていくことなので、最後のこのシメのコメントをみて少し不安になった方々も、どうかご安心くださいな。…と、ヒカルの代弁を勝手にする粗暴で勇み足な私なのでしたとさ。

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おおう、今日は12インチシングル『Exodus '04』の発売記念日か。朝から聴いてしまうとまた沸々と

「『SCIENCE FICTION』にUTADA期の楽曲が一曲も入らなかった件」

についての感情が沸き上がってきてしまうわな。うむ、沸騰してよいぞ。

確かに、収録するとなると色々と面倒なのは確かなのだろう。そのコストに比して、必ずしも広範なリスナーにアピールする選曲にはならないので、切り捨てられるのは仕方ない。何しろ、そもそもSF自体がユニバーサルとソニーの合同企画だからね、ここにアイランドレーベルとの交渉とか入ったら完全にトゥーマッチだわ。

と、言い訳はしようと思えばそりゃ出来るのだけれど、だったら『Hikaru Utada Live Sessions from Air Studios 2022』から『Hotel Lobby (Live Version)』と『About Me (Live Version)』を収録すればよかったのですよ。それだけで十分「UTADA期も忘れてないですよ」というメッセージにもなったしな。まぁ今頃言っても後の祭りだし、無意識日記ならそのアイデアは去年の時点で訴えててしかるべきでしたね。…ぬかったわ。


もうひとつ、『Exodus '04』EPを聴きながら思うのが、日本語曲でのこういうリミックスEPのリリースな。昨夏、『Gold 〜また逢う日まで〜』の5曲入りEPがリリースされて「公式も遂にそのつもりになったか!」と色めきたったのだけど、今年はEPのリリースは今のところ無し。うぅむ、もっと習慣化すればいいのに。それこそUTADA期は、向こうでリリースされたシングル曲総てに沢山のリミックスがついてたぞ。『Easy Breezy』は日本独自のリード曲という印象だったが、『Devil Inside』、『Exodus '04』、『You Make Me Want To Be A Man』、『Come Back To Me』、『Dirty Desire』と、これだけで既にボックスセットが構成されるくらいに沢山の公式リミックスがリリースされた。なので宇多田ヒカルでもやっていい。(断言)

なので、まだまだこの夏は、特に

『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー (Sci-Fi Edit)』
『traveling (Re-Recording)』
『Electricity』

の3曲に関しては、今まで通り引き続きリミックスEPのリリースを期待しておくことにしよう。アナログ限定だったら泣けるけど。プレミアムチケットのお土産だったらもっと泣けるけど。うん、まずは普通に配信リリースしとくれやすっ。

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追加席分の当落発表があった模様だが、ちらっとTLを覗いてみたけど当選者は見当たらない。でも機材開放席ってそういうものだからね。会場によってはそもそも「0席」だった可能性もあるもの。そうそうは当たらない。恐らく、綾鷹枠の方が何十倍も当選確率は高いと思うわ。それでも10人に1人も当たらないと思うけども。

もう追加公演やりゃいいのよねこんなん。夏休みにスタジアム空いてるわきゃないけどもっ。関東には、ららアリーナとかぴあアリーナMMとか、まだまだ新しいアリーナ控えてるよ! えぇ、スケジュールぎっちりですけどもね!(泪血眼)


で今日はグッズ通販第2弾の告知も。明日からというかこのあと日付が変わったら。これでグッズは打ち止めらしいので、心置きなく買い物できるわな。ワームホールキーホルダー欲しいっ。クラインの壷になってたらもっとよかったのに。(※不可能です)

グッズ購入ってのは、アーティストにとって副収入として物凄く大きいらしい。なんだかんだでチケット代って相場があって、必要経費を差し引いたらそんなに残らないというのが昔からよく言われてきた話なのだが、グッズ販売(マーチャンダイズってやつね)は、利幅を大きく出来たりするから収入に直結する。「宇多田がツアーをすると儲かる」という定評が出来上がれば今後のツアーに対するハードルも下がるので皆さんグッズはできるだけ沢山購入しましょう…というのがこういう時の定型文なのだけど、ヒカルの場合別にそんなに気にしなくていいかな。グッズが売れようが売れまいが、ヒカルの…というかダヌくんの人生次第なとこあるからね。ま、迷うくらいなら買ったら?とは書いとくか。閑話休題。

でそのグッズについてなんですが、コンサートに当選した人が買うの必須になりそうなのは…マグネットライトくらい? あとタオルもかなぁ。ライブで使えそうとなるとこれくらいだよね。ワームホール振り回しても…いやそれはちょっと面白いけどさ(笑)、ふむ、取り敢えずグッズで演出というのは基本的になさそうだね。

6年前の『Laughter In The Dark Tour 2018』では途中の公演からスマホライトを皆で点けて観客席が星空みたいになって綺麗だったなんて事があったから、今回もこれは継続されるかな? 会場でのアナウンス次第だけど。そこに今回はマグネットライトが加わると。キャップがブラックライト仕様だったらとか考えたけど、それもないか。タオル振り回すのもあんまり宇多田の芸風じゃないしな。まぁ年齢層もあるし、落ち着いて歌をじっくり聴く体勢でいればいいか。ヒカルは若い頃からどちらかといえば観客には「立って騒いで盛り上がって欲しい」と思ってた節があるんだが、そこは強要してこないだろうし好き好きでよかろう。

ツアーには行けないけれどという人も結構楽しく買える商品がそれなりに揃ったかな。くまちゃん関連はどれもいい。更にもっといろいろ欲しくなるけど、なにか思いつくたびに「次のツアーでこういうのを売ってくれ!」とヒカルにアピールして次のツアー開催を既成事実化していこう。いつのまにか早い段階でツアーをしなきゃいけない雰囲気になってくれればこっちのものだっ。


で、ところでところてん、今回の『SCIENCE FICTION』アルバム、宇多田ヒカル初のオールタイムベストを銘打っておいて、『ぼくはくま』が入ってないんだよ! 今回もsf-kuma.comをはじめとしてご覧の通りグッズでもくまちゃん大活躍なのに、肝心の歌が収録されていないのは、本当に罪深い。ヒカル自身が過去に『最高傑作かも』と付言した楽曲はそう多くないはずなのに。まぁ、これも『ULTRA BLUE』からの選曲が少なかったのと同様に「アルバム全体の方向性に合わない」という事での選外だったんだろうな。しゃーなしか。

ただ、ライブ当日に強引に「ぼくはくま歌って!」と要求してしまうのは、アリといえばアリだ。ホノルル公演での『ぼくはくま』は、実際の所はどうかわからないが、自分の目には突発的なパフォーマンスにみえたからねぇ。アカペラだったし、みんなで歌ったし。お前らほんとよく日本語で歌えるよなぁ…特に『First Love』の合唱ぶりはびっくりしたぞ…って思い出話は散々してきたからいいか。

まぁ、「ライブ中のヒカルに声をかける」というのは物凄く度胸とセンスが要る事だからそうそう出来るこっちゃない。ヒカルも慣れてないツアー序盤は不要なリアクションもしてしまうかもしれない。でも人の誕生日祝ったりしやがるからねぇ(『UTADA UNITED 2006』DVD参照)。なら、自分が大好きな『ぼくはくま』を歌って欲しいと言われたら歌いたがるわな。ワンコーラスだけなら歌っちゃうんじゃあ、なかろうか。その可能性に備えて、いずれかのくまちゃんグッズを身につけてライブに赴くのがいいかもしれない。嗚呼、どうかこれを読んでる皆さんにチケットが無事当たりますように。(祈)

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『SCIENCE FICTION』の冒頭は、まるで『First Love』を押し退けるようにして『Addicted To You』が居座っている。やはり、「このアルバムはただのベストアルバムではない」と主張する為には、リレコーディング・バージョンでスタートすることが必要だったのだろう。

前回チラッと触れたように、SFをひとつの作品としてみた場合、『光(Re-Recording)』と『traveling(Re-Recording)』は曲順の流れの中で要所を任されている事から、ある意味消去法でこの『Addicted To You(Re-Recording)』が選ばれたようにもみえる。

英語インタビューでだったか(うわリンクが出てこないぜ)、ヒカルはリレコーディングの選曲について確信が持ち切れてない旨を告白していた。その中でも特にこの『Addicted To You』に関しては不安が大きかったのだと思う。

だが、寧ろその不安が“的中”したように思う。悪い方に、ではない。10代の頃の、こどもでいるには大人過ぎて、でも大人になるにはまだ早いという不安定な時期の心理を歌った歌詞に、四十路を超えた今のヒカルが生み出せる「不安」がそれくらいしかなかったように思えるのだ。

6年前の『Laughter In The Dark Tour 2018』や最近のテレビ出演をみても、ヒカルが生歌唱などに不安をみせる機会や割合は随分減っている。流石にコーチェラのような普段と違い過ぎる環境や状況は対応が難しかったかもしれないが、こちらとしても生歌に不安を抱えるようなことはほぼない。元々苦手(というか経験不足)な生歌ですらそうなのだから、創作面で何らかの不安をみせることはもう皆無といっていい。創作中は大変だろうが、ひとたびヒカルが世に放っていいと判断したものはことごとくが大丈夫だ。

『Addicted To You』の歌詞を聴き返してみるに、既存のレパートリーの中では今のヒカルから最も遠い心境を歌っている歌だと言っていい。再録の選曲が発表になる直前に(前日か前々日だった)、Hironから「今のHikkiが中毒を歌ったらどうなるか聴いてみたい」と言われて「確かに」と頷いた覚えがある。それくらいに、感情移入しにくい歌詞なのだ。

裏を返せば、ここでの感情移入しにくいという「不安」さえクリアしてしまえば、『SCIENCE FICTION』というアルバムにはもう不安要素は殆ど無くなると言ってもよかった。斯くして、いきなりその「最大の課題」に取り組んでからベスト選曲を聴かせていくという流れは見事にハマった。的を射たという意味での「的中」なのである。(“中”という感じは訓読みに「あたる」「あてる」がある)

実を言うと、『Addicted To You』は、オールドファンにとってもそこまで人気が高い曲でもない。確かに初日出荷でミリオン、累積出荷でダブルミリオン、年間6位の特大ヒット曲なのだが、発売当時話題になったのはそのPVでみせたヒカルのルックスの変化の話だった。PVやジャケットは話題になるのに歌には注目が集まらないというわけのわからない状況だったのだ。そりゃ一所懸命制作した方としては苛立ちが頂点に達するのも已むなしであったろう。そもそもが色々と不安定な楽曲なのだった。それをこうして、形式上「宇多田ヒカル史上初のオールタイムベスト」と呼ばれる作品の冒頭に起用したというのは、生々しさやリアルタイム感という意味で非常に効果的であった。ヒカルも、「ホントにこれでよかったのかな??」と思いながら発売後の反応を伺っていたかもしれない。そこのところの評価は、読者の皆さんひとりひとりが判断してくれればいいかなと思います。

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でこの前書いた通り、『SCIENCE FICTION』の各曲の旧バージョンを、同じ曲順にしたプレイリストで順番に聴いているのだけど、まぁアルバムにならないのよね。普段宇多田シャッフルしてる時とあんまり気分が変わらない。当然っちゃ当然か。

そして、曲順もあまり意味を為さないような。やはり、あのSFの曲順はリレコーディング曲とリミックス曲とリマスター曲が総て揃った後に決められたんだろうね。あの流れの良さは各々の新バージョンあってこそ、だわ。

そして何より、旧バージョンで聴いていくと、終盤に固まっている最近の曲の映え方が倍なんだわ。勿論あたしの好みの話でしかないのだけど、特に『Gold 〜また逢う日まで〜』『Electricity』『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー(Sci-Fi Edit)』辺りがぐわっと際立つ。これここに至って、旧曲に関して新バージョンを様々に作ったのは、最近のヒカルの曲の威力に少しでも近づけるような意図もあったのかなぁと思えたのだ。

通常のアーティストのベスト・アルバムであれば、それも四半世紀もの長きに渡って名曲を積み重ねてきた人ともなれば、その過去の楽曲群を積み重ねた挙句に加わる新曲なんて、オリジナル・アルバムを揃えてる人達に向けての撒き餌でしかなく、作品全体としては添え物みたいな扱いになってたりもする。たまに新曲を一曲目にしたベスト盤もリリースされているが、そういうのってどちらかというと苦節何年で最近やっとヒット曲が出てきたアーティストのベスト盤だったりで。少なくともデビュー・アルバムが日本史上最高記録を樹立したアーティストの話ではないだろう。

しかしヒカルは、最近の、特にアルバム『BADモード』以降の楽曲の威力が冗談では済まないので、なるほどそのまま旧曲を並べていけば、ひとつの作品としての、ひとつのアルバムとしての山場は完全に彼らに持って行かれてしまう(と私はSFとその旧版集プレイリストを聴き比べて感じた)ので、旧曲たちをパワーアップさせとかないといけなかったんだなと納得感が強まった。

更に、全体としてのマスタリングが上手く揃ってるのも美点だと再確認。旧版集プレイリストも、Apple Musicで聴いていたので2014年版リマスターなど発売当時と比較してもアップデートされたサウンドの集まりだったのだが、やはり2024年のサウンドに揃えた方が通して聴いた時の流れが良い。ますます、『SCIENCE FICTION』はただ昔の名曲を集めてあるだけ(なのでそこから一曲ずつピックアップして聴くだけ)のものではない、最初から最後までこの曲順で通して聴く為のディレクションの許で作られているのだなと確信を強めましたよ、えぇ。

具体的には、特に『Can You Keep A Secret?』のリミックスと、『光』のリレコーディング、そして勿論『traveling』のリレコーディングが、全体の流れの中では効いてたね。キャンシーの作るアクセント、光の生み出す新鮮な空気感、そしてトラベの再フルスロットルぶりと、26曲という長丁場を聴かせ切るのにそれぞれ欠かせない役割を果たしている。なのでここで断言してもいいや。この3曲は間違いなく『SCIENCE FICTION TOUR 2024』で演奏されるね。ん?そんなのわかりきってるでしょって? いやまーそーなんだけどさw わざわざ言いたくなったってことでね。


斯様に新旧の聴き比べは興味深い。勿論、単曲として聴いた場合、それこそ例えば『traveling 』のオリジナル・バージョンならではの魅力とかを再々(×数百回)確認できたし、その点もよかったのだが、やはりアルバムという作品単位でみたときの『SCIENCE FICTION』の魅力が大きく際立った。まったく、2024年に凄い一枚を作り上げたもんだよヒカルさんは。(…二枚組だけどもね!)

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