無意識日記
宇多田光 word:i_
 



『40代はいろいろ♫』のアーカイブはまだかいな、バッドバニーのカバーの『Me Porto Bonito』がまた聴きたいぞ、スペイン語で歌うヒカルは貴重だからな、、、と毎日首を長くして待っているのだけれど、いや待てスペイン語で歌うの別にこれが初めてじゃないじゃないかUTADAの『Me Muero』があったやんけと思い直して同曲を聴いてみる。

ふむ、タイトルはスペイン語だけど歌詞はほぼ英語じゃんねこの歌ね。これではスペイン語の歌とまでは言えないなぁ…と歌詞をチェックしていたら、そうよね、ヒカルさんこういう歌詞をもう書きそうにないのよねと気がついた。

"Me Muero"は英語でいうと“I'm dying (for)"で、「私もう死にそう」或いは「~したくてたまらない」みたいな意味になる。当時タイトルだけみた時点では後者の意味なのかなと思ってみたりもしてたのだけれど実際に蓋を開けてみると『Now and then, I'm suicidal』なんて歌詞も出てきてて、これは「時々自殺したい気分になる」みたいな意味になるんだけど、いやほんとなんという自暴自棄というか退廃的というか、そうなのよね、人の親になったら死にたいとかそういうこと言ってらんなくなったんだよなぁきっと。そう考えたらこういう歌、若いうちに歌っといてよかったなぁと。

今のヒカルは塞ぎ込むようなことがあったとしても『気分じゃないの(Not In The Mood)』みたいな歌詞になる。たった今凄く落ち込んでいたとしても、『It's just one of them days』、「そんな日もあるさ」って思えるようになっている。

多分、その昔『Me Muero』で感じたような落ち込み方は、今でも変わらずあるんだと思うのよ。ただ、それが「今だけのことで、また違う日には変わっている」と思えるようになったのが違うのではないかと。落ち込まないようになったというよりは、落ち込む自分も人生の一部だと悟れるようになったというか。「山を越えるより風景の一部と思おう」みたいなことインスタライブでも言ってたしな。

でも、そう思えるようになったのも、こうやって26歳の時に『Me Muero』のようなあからさまな歌詞の歌をリリースしていたからなのかもしれないなと。その頃の率直な気持ちを歌として後から客観的に眺められる事が、物事を前に進める力になっている。でもまー何より親になったのがいちばんだと思うけどねやっぱり。だからこそ『気分じゃないの(Not In The Mood)』には息子の歌声が入ってるんだろうし。

いやまぁね、『Me Muero』の歌詞が総て実話に基づいてたら大変なんだけどね。フィクションだとしても、こういう気分の歌が歌いたくなったのは事実ということで。あれからもう14年も経つのか。今年聴けるヒカルのスペイン語の歌は若干ファニーな感じで、いやほんまアーカイブ楽しみやねぇ。

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『40代はいろいろ♫』、内容は素晴らしかったのでそれについてはいいんだけど、自分としては後悔ばかりでねぇ。もっと事前にやれることがあったなと。

特に反省しなきゃいけないのはステレオ版のチケットの購入の件。事前にもっと周知しておくべきだったなと。

チケットが当日の19:30、即ち開場30分前に購入が締め切られる予定だったのはもっと前から騒いでおかなきゃいけなかったんだわ。結局当日に21:30まで延長されたから実質事無きを得たんだけどね。もしこの処置がなかったら20時や21時ににやってきて絶望する人続出だったんじゃないかな。

そもそも、ライブのチケットって最近は終演予定時刻まで売ってるもんなのよね。デジタルに限らず、コンビニ発券でも当日19時開演の公演なら21時まで購入できるのが普通で、今回もそうなってるだろうとなんとなく油断して購入期限の確認が遅れたのが敗因だったわ。次からちゃんと目を通そう。

でもそれ以上に足りなかった、いや、全く何の呼び掛けもしなかったのが「360RA組に“保険として”ステレオ版のチケットを購入しておくこと」についてなのだ。ここの後悔の方ががもっと大きい。前回の3DVRで学習しなかったんかお前。1万人限定とか何の保証にもならない。前回も人数制限してダメだったんだからね。実際、開場時間のDJタイムで既に当方の360RA版はブチブチ途切れていた。DJ yanatakeのミックスが面白かっただけに余計にイラッと来てたよ全くもう。360RAが始まる前のステレオの音だけ流れてる時点でこれだったので、本番で接続が切れる人続出だったのはそりゃもうそうだろうよとしか。

これを事前に予想出来なかった筈はなかったんだが、これまた油断してたんだろうねぇ。或いは浮かれていたというべきか。もっと「360RA版は接続が不安定な恐れがあるからアプリで観る予定の人も一応ステレオ版のチケットは買っておいてね」と1ヶ月間毎日呼び掛けておくべきだったなと。3DVRの教訓が全く活かされていなかった。次の機会は抜かりなく…って少なくとも10年後なんだよねぇそれ。やれやれ。

…いや? 遠からず、ライブ・コンサートの生配信で同じ事があるかもしれないな。その場合は…うわ、そうだよ有料だよチケットが! 「念の為に」とか「保険として」とか言ってられないかもしれないのか。兎に角、その時になったら『40代はいろいろ♫』の時はこんなことがあったからというのは周知徹底した方がいいかもしれへんね。うぅむ、これかなり悩ましい問題になるかも。でもま、流石に有料になったらもっと慎重になるんかな…?

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おっとここでヒカルパイセンの機材紹介だ。


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@utadahikaru : 旅先での作業はこれだけで充分

My gear set up for working whilst traveling https://pic.twitter.com/B3s2vragrC
posted at 2023/1/30 19:06:43
https://twitter.com/utadahikaru/status/1620000550191525889

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機材に反応する人、足に反応する人、そして新曲制作中なのかと興奮する人等々様々だがあたしゃまず「なんの、こっちはタブレット×イヤホン×ペンマウスの三点セットのみだぞいつも」と謎の対抗意識を燃やしておりました。道具が少ないから偉いってもんじゃないですよあなた。

それと「今日が『traveling』DVD発売記念日って知ってて敢えて"traveling"って単語入れてきた?」とも思ったわ。自分の商品の発売日なんて覚えてないだろうから偶然かな。偶然の方が更に嬉しいのが宇多田ヒカルなんですけども。

ほいで、スマホで写真見てるんで暗くてよくわからんのだけど、マイクってある? MacにAKAIの鍵盤、Symphonyのオーディオインターフェース、あとヘッドフォンどこのだろSONYなのかな、それとマウスパッドみたいなペンギン(日本語がおかしい)と。それくらいしか把握できませんわ。旅先では自分の声録音してみないのかな。


という事で、足フェチとしてはちょこんと見えてるあんよに興奮するべきなのかもしれないけど、やっぱ「新曲制作中」! これですよね。今回も然り気無くアピールっすか。そしてまだ作詞段階じゃないってことは作編曲中でレコーディングはまだ先って感じかしらん。

作詞中だと手書きのノートが出てくる気がするんですよ。そんなのiPadにApple Pencilで書いてるんじゃないのとか言われそうだけど、あたしゃ今でも紙のノートとペンを使って作詞してると思うねヒカルさんは。指先に教えて貰うことがある。「間違い方」が何より重要なのよ書くって作業は。マウスもApple Pencilも鉛筆もみんな間違い方が違ってて出てくるものが異なるので全部活用してるんじゃないかな。

…ん?話が逸れたな。少なくとも、今現在の作曲はキーボード主体ってことか。ギターで作曲中って訳ではないんすね。そして旅先ってのがまたいいわね。旅先キーボードというと昨日発売20周年を迎えた『COLORS』を思い出す。フランスだかの片田舎でアイデア思いついたもんで急遽当地でキーボードを購入して作曲に励んだというエピソード。「新婚旅行中に仕事!?」と当時の旦那様に呆れられたらしいけどこれ結構真面目な喧嘩になってたりしてなかったのかなもう20年も前の話だから今やどうでもいいことなんだけれども!

今は独り身で思う存分旅先で作業出来るね。思い付いたらその場で形にしないとホント取り逃がすのよなぁ。忘れるってのもあるけれど、忘れなくても時間と共に変質してしまう。本当に一期一会。時々「『For You』がもし2年寝かせてなかったらどうなっていたか」とか夢想してしまうのだけど、多分もう永遠にわからない。音楽の生まれる一瞬は誰が思うよりも尊いものだから、ヒカルさんがこうやってそれを毎日捉えようと頑張ってる姿を垣間見せてくれて、大変々々幸せでありますわたし!たち!

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朝から『traveling』のメイキングを観て、「やっぱりこういうのもっと観たいなぁ」と独り言ちるなどしたりして。

近年もメイキング映像自体は結構ある。。『Forververmore』なんかそれだけで番組放送したくらいだし、『Hikaru Utada Live Sessions from Air Studios 2022』での奮闘記なんかはまだまだ記憶に新しい。しかしやはりコンプリート感に乏しいというか、『One Last Kiss』や『PINK BLOOD』のメイキングも観たかったよねというのもまた本音。そういったものも総てまとめて出される事で受け手側も作品としての手応えをより感じる…というのは、シングルのリリースとアルバムのリリースの関係性に近いわね。

くだんの『Making Of "traveling"』も、当初はDVDシングルのカップリングとして発売されたが、その後『UH3+』として他のPVとそのメイキングと共に纏められていった。こういうサイクルの中で、「自然体のHikki」の魅力をより感じられるようになっていったし、ひとつの映像作品を作るのにこれだけのことが必要なのかという素朴な気付きも与えられていった。そこの共有感も欲しい。

ああそうか、最近のメイキング映像が、どうしても英語主体になっているというのも大きいのか。ソニーのカメラの話題に絡めたりしてるのもわかりにくいのかもしれないし。少し疎外感や距離感もあるかもわからんね。

だが、現実問題として今の時代にDVD/Blu-rayを単独でリリースするのは難しい。昨年『BADモード』と『Hikaru Utada Live Sessions from Air Studios 2022』をバンドルすることで漸く、といった具合だ。

極端にいえば方法は何であれ「まとめて観れれば」それでいいのよね。YouTubeをはじめとして各種映像を届ける方法が余りに便利になりすぎたせいで、「まとまった映像作品」をどうにかする動機に乏しい。実際、先程から述べてるようにメイキングの類いの映像は近年も結構あるにはあるのだ。でも、『花束を君に』のメイキングがオフィシャルになかったりして、何がどこでどうなってるんだかの把握がしづらくはなっている。「結構ある」ことが伝わってない。なので一旦どこかでまとめて観賞してリスナーやファンの方に「一区切り感」を味わって貰う事も必要なんじゃないかなと。

それこそ例えば今『Time』『One Last Kiss』『PINK BLOOD』『君に夢中』『BADモード』『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』のMVとメイキングがまとめて観られたら、『BADモード』モードから次のモードに移行するのにちょうどよい区切りになるだろう。出来れば『誰にも言わない』と『Find Love』のCMとメイキングもあったら重畳なんだけど。

どうにも、慣れてしまってる感があるが、こちらも「どっちつかずの時期」に何をどうしていたらいいかというのが時々あやふやになっていて、気分の持って行き方がわからなくなる事がある。明言しなくていいのよな。次は休む雰囲気とか、次にまだまだ行く雰囲気とか、そういうのをもっと感じさせてくれたらと、『40代はいろいろ♫』で喋ることを予め準備していた今のヒカルさんを思い出しながら思うのでありましたとさ。

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『40代はいろいろ♫』で「あら?」と思ったのは、ヒカルが「360 Reality Audio (サンロクマル・リアリティ・オーディオ)」という正式名称を咄嗟に言えなかったことである。もしかしたらずっとリハーサルも打ち合わせも英語でやっていて(ロンドンだからね)日本語で呼ぶことがなかったからな可能性もあるのだが、ひとまず私は「まだ立体音響には興味がないのかな」と受け取った。

一方で、ニューアレンジの『First Love』は明らかに360RAを意識したサウンドだったようにも思う。生で一回聴いたっきりだが、特にギターサウンドのエフェクトは立体音響に狙いを定めていたように感じられた。ステレオ版で聴いてたから確信は持てないが。

あれ、様々なエフェクトやディレイドエコーに「方向性」を加味したらかなり面白くなるんじゃなかろうか。つまり、残響が右斜め後ろに流れていくとか、こだまが左右に散らばっていくとか、立体音響ならではの細かい指定をした効果をフィーチャーしたら更に可能性が広がるだろう。それを生演奏でやるとなると演奏者ひとりずつにエフェクト担当者をつけないといけない気がするが。器用なギタリストは全部足元のペダル操作で済ませてしまえるかもしれない。(楽器を弾かない人間のド偏見でございます)

でもこれ、ヒカルが作編曲で食いついてきそうだと思ってたんだけどねぇ。ヒカルさんがエレクトロ方面に向かうと主声部が4つも5つも展開されてしまうことがある。『Animato』なんかはその代表例だし、『HEART STATION』では3つの異なるキーボード・フレーズを同時に鳴らして嬉々としていた。ヒカルは一度にたくさんいろいろ鳴らすのがお好きなのです。

だが、お陰であれもこれもと欲張るとどうしても音像が込み入ってくる。そこで立体音響の出番。左右のみならず前後上下にも定位を振り分けられれば音の渋滞を解消して聴きやすいサウンドに仕上げられるだろう。もしかしたら今以上に凝った編曲も可能になるかもしれない。

そもそもインストになるとヒカルは音像を立体的に構築したがる癖がある。様々な音素が音空間を飛び交う『Gentle Beast Interlude』はその代表格だし、濃い霧に覆われた森と広い大空を描いたようなサウンドが特徴的な『忘却』も当初はインストとして制作されていた。楽器のみとなるとああいう風に遊んでしまうのが作編曲家宇多田ヒカルの特徴なのだ。

はてさてこれは今後どちらに向かうのか? つまり、『First Love』『初恋』に引き続き今後は歌ものの新曲でもドルビーアトモス版がリリースされるのが常となるのか、或いは(リスナーとしては同じ事だが)宇多田ヒカルを梃子として今一度ソニーが360RAのソフトを手掛けるのか。今後は、つまり、ヒカルが編曲段階から立体音響を考慮に入れてくるようになるのかもしれず、そうなったらこれは創作面では全くの新局面となるだろうな。

ただ、それはインスト曲或いは歌ものであっても間奏部分等に限った話になるだろう。「『BADモード』の『祈るしかないか』の直後一分間の唐突アンビエント・パートが立体音響になったら面白そうでしょ?」程度の話であって、ヒカルの歌がメインの場合は立体音響の話は脇に追い遣られるんじゃないかな。なので、今後立体音響の準備をするかしないかは、リスナーひとりひとりが勝手に決めても大丈夫な気がするぞ。歌は揺るぎないのだ。

『BADモード』アルバムでも痛感したが、今のヒカルは意図的にエレクトロニカにサウンドを振ってもなんだかんだで『Fantôme』~『初恋』時代の生演奏/人力演奏を通過した経験が生きていて、様々な電子音が鳴り響いていても根幹にあるのはいつでも至ってオーソドックスなバンドサウンドとなっている。ベース/ドラムス/ギター/ピアノ、みたいなね。そこが確りしていたから『BADモード』はマニアを唸らせるのみならず、多くの広範なリスナーの心を捉えた。ヒカルが幾らインストで遊んでも、歌一本がメインであることは変わりそうもないので、立体音響云々はあんまり気にせず今後も歌を愛せると思うよ。

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さて1億回再生のニュースで『君に夢中』に再び脚光が当たったところで『40代はいろいろ♫』のアーカイブが公開されてアクセス数が倍増して…と、いうわけにはいかなかったか~。編集には時間が掛かるだろうからね。未だに映像編集してる人たちの気が知れない。あんなの俺がやったら千年かかるよ…狂気の沙汰だよ…。

で。どんな風に公開するのか興味のあるところ。特に歌の部分を1曲毎に取り出すかどうかだよねぇ。例えば同じく10年企画『20代はイケイケ!』の『少年時代』のパフォーマンスはここだけ切り取られてYouTubeにアップロードされているが、現在再生回数が184万回、これトリビュートに提供した『少年時代』のショート音源の再生回数より遙かに上なのよね。検索してもこっちが上位に来るみたいだし。なかなか見過ごせない数字を叩き出してる。

同じようにして『First Love (2023 version)』『Rule』『Me Porto Bonito』をそれぞれ別々にアップロードしたらかなりの再生回数を稼ぐんではなかろうか。『First Love』はリバイバルヒット中でOfficial髭男dismや米津玄師たちとチャートに居並んでいるし、『Rule』の原曲である(って逆かこれ!?)『君に夢中』は1億回再生を叩き出したとこ、バッドバニーのカバーは…許可が下りるかは微妙だがもしOKなら彼を検索する人たちの目と耳にも留まることになる。このトリプルコンボは結構侮れないんでないかな~。

オフィシャルYouTubeでのレコード会社の収益がどうなってるかは知らないけれど、通常の広告収入だけでもかなりのものになっているだろうことは容易に想像がつく。それに、今回は360RA版があるのだ。ソニーはYouTubeに幾つか他のアーティストの360RA音源をアップしているので、ここに宇多田の名前が加われば大変な宣伝になるに違いない。

ということで、トーク部分と歌の部分を切り離してアップロードしてくれたらいろいろとみんな美味しい気がするんですよね。どうせならトーク部分も吉高由里子パートと佐藤健パートで…と思ったけどそこまでやっちゃうとゲストの人気度が再生回数で比較されたりとかしちゃう?? 曲の人気が測られるのはいいけど人の人気はどうなんだろうな。役者の世界はわからんからなんとも言いようがないぜ。

ともあれ、今回の『40代はいろいろ♫』は歌ありトークありゲストありな上ステレオ版に360RA版があり、字幕を加えるにもトークの日本語と英語の部分の訳はどうするかとか、歌の和訳は入れるのかとかこれまたいろいろ考え始めるとアップロードに半年かかっても全然不思議じゃないんだよね。引き続き気を長くしてのんびり待ちますかね。

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アーカイブがまだなのでうろ覚えなのだが、『40代はいろいろ♫』でヒカルはフォロワーさんの質問に対して「人間て複雑だから」と返していた気がするんよ。

それで思い出したのが昨年8月、NHK「SONGS OF TOKYO」に出演した時の問答だ。「『BADモード』は曲展開が不思議だ。どうしてこうなった?」という疑問に対してヒカルは

『なんでかっていうのはそんなに考えたことなかったんですけど、ま・でも人間の複雑な、、、人間て複雑じゃないですか。どうしても。だから、そういう日常的なことを歌詞では描いてる分余計音楽的に表面だけでは汲み取れない何かを、なんかが出たのかなって思います。』

と答えていたのだ。曲展開が複雑になるのは、(半ば無意識的に)人間の複雑さが反映された結果だ、歌詞が日常的な分、その反動で人間の理解の及ばない領域がサウンドで表現されたのだろう─そう私は解釈したが、それで合ってるかな?

この時、『なんでかっていうのはそんなに考えたことなかった』と言ったのがポイントなんだと思う。NHKの番組なだけあって問答自体もリハーサル済みなのだろうが、それでもその時咄嗟に出た“説明”が「人間は複雑」だったのだとしたら、このフレーズ、最近のヒカルさんのマイブームなんじゃあなかろうか?

それで更に思い出したのが21年前、19歳の時の『Message from Hikki』に現れたこのフレーズだ。

『人はどうして複雑ぶってしまう癖があるんだ??』
https://www.utadahikaru.jp/from-hikki/index_86.html

これ、何となく示唆的なんじゃないかなと感慨に耽る。この一行がどういう文脈で放たれたのかはリンク先をしっかりと辿って欲しい所なのだが、ひとまず、これが『Simple And Clean』の歌詞を説明する中で出てきたものだという事は最低限踏まえておこう。

ここでは一方でこうも言っている。

『私の幸せって何?って現実的に本腰入れて考えてみたのさ。そしたら、「自分をすごくシンプルな存在に感じられること」じゃないか、と思ったのです。シンプルで清潔な自分に帰らせてくれるもの、人。それが私の幸せだ!とな!』

つまり、ついつい人は日常の中で複雑ぶってしまうけど、ふと立ち止まって自分をSimple(=複雑でない)にしてくれるものを見つけられたらそれが貴方の幸せなのだと。

ここから約20年経ってヒカルが「人間は複雑」と言いたくなってるとすればこれはなかなかに興味深い。「人は複雑ぶる」と「人間は複雑」というのは、解釈によっては真逆の主張とも取れるだろう。年月でヒカルの考え方が変わったのか、それとも考え方は変わっていないけど異なる切り取り方を身につけたのか、ここをじっくり考察したいとなのです今の私。でもそれは、ちゃんと『40代はいろいろ♫』のアーカイブがアップロードされて私がそれをしっかり観直してから、だわな。ただでさえ推測に推測を重ねてあらぬ方向に飛んでいってしまうのが当日記の芸風なので、せめて出発点だけでもしっかりと実際の発言を踏まえたいところなのでした。


んで。この話題に『日曜の朝』の

『幸せとか不幸だとか
 基本的に間違ったコンセプト』

というお馴染みのフレーズをまぶして絡め合わせたらどんなことになるんだろう?というのが更なる楽しみでねぇ……あー、アーカイブ早く上がんないかなっ!w

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『君に夢中』の再生回数が1億回を突破したそうな。

「宇多田ヒカル「君に夢中」が、Billboard JAPANチャートにおけるストリーミングの累計再生回数1億回を突破した。」
「本楽曲は、チャートイン61週目で1億回再生を突破。「One Last Kiss」に続き、自身2曲目のストリーミング1億回突破となる。」
https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/121141/2


いや凄いね。確かに億再生は他にも毎年出てはいるが、宇多田ヒカルはCD時代の申し子で、必ずしもストリーミングで聴かれてるとは限らないだけに、この再生回数は実数以上の意味があるだろう。サブスクネイティブ世代にもしっかり“現代進行形”なアーティストとして認知されているという事だ。

実際、まだ40歳である。平成後期~令和の感覚だと、お笑い芸人なら漸く「若手」の冠が取れる頃だ。M-1に出れなくなるの大体この辺の年齢になるしな。ミュージシャンだとどうなるかというのは難しい所だが、まだまだここから「攻めの姿勢」で行けるのは間違いなかろう。体力的にもね。

当のヒカルの反応はこう。


@utadahikaru:いえーい🧟‍♀️いっぱい聴いてもらえて嬉し
@utadahikaru:売り上げとか再生回数とかじゃないこういうの尚更嬉し🧟‍♀️♡
https://t.co/YUJwCwAkQO
https://twilog.org/utadahikaru/date-230126/asc


リンク先のランキングは昨年もみさせてもらった気がするが、タイトルはかなり謙遜気味だ。相当この1年を正確に捉えてるように思われる、日本語圏の中でも相当信頼できるランキングになっている。LORNA SHOREは入ってて欲しかったが仕方がないか…(ぶつぶつ)…。

ヒカルの言いたいことは、つまり、売り上げや再生回数は「買ってみよう」「聴いてみよう」の数であるのに対して、こういった年間ランキングは「聴いてみてどう感じたか」が反映されているからより嬉しい、といったところだろうかな。

自分はBURRN!で育ったクチなので、アルバムに点数をつけるとかランキングをつけるとかいう作業は好んでする方なのだけど、でもやっぱりそれは余興でしかなくてだな。そういう作業を通して個々の音楽の関係性を把握して全体の地図が出来上がっていくのをみるのが楽しい、という方が大きい気がする。5位のアルバムと4位のアルバムでどちらが優れているかとか実際にはどちらでもよいことだなと、ずっと点数やランキングをつけてきていて思っていた。

結局は音楽の価値は個々の感性に委ねられるものだし、一方で音楽ヲタクはシーン全体について考察することもまた趣味の一環だったりするので全体の動向を把握するのに数字の集計は非常に有益なのだが、いずれであっても基本である「歌は常にひとつ」というポイントは外していたくないなと思う。Aという歌とBという歌を較べる為に二つを同時に聴いたら、そこに生まれるのはその二つの合唱や合奏やハーモニーでしかない。新しいひとつの歌になるだけだ。最も実際には不協和音になって聴いていられないケースが殆どだろうが。かけっこのように、2人を同時に隣同士で走らせて速度を較べて優劣をつけるとか、そういった営みとな全く異なるのだ。


…といった野暮ったい話を踏まえた上でいえば、いやぁ1億回再生回数凄いねぇめでたいねぇ。やっぱ宇多田ヒカルは多くの人に指示されてるんだわな。ドラマ「最愛」の大評判が後押しになっているとはいえ、ついぞ「主題歌で台無し」みたいな声がほぼ届かなかったことを考えると、そのドラマの出来を上回るほどの好相性と高品質でドラマの評判を更に押し上げた、とみられているのだろう。また今Netflixで最愛全話が観れるようになったのも大きそうだわね。

『One Last Kiss』に続いて、というのも意義深い。『One Last Kiss』は宇多田ヒカルにとって久々の特大ヒットだったから、まるで「一発屋」みたいな印象を残しかねなかったが(どんだけミリオン持ってると思ってるねんと言われそうだが、もうそれから十数年経ってたんですよ)、こうやって億再生が続くことで、楽曲のみならず宇多田ヒカルというアーティスト自体への認知度と評価、シーンでの立ち位置が確立されていく。ある1曲が評価されたという以上に意味のある事だろう。いやはや、ロンドンでヒカルは美酒に酔いながら心地好い眠りに就けたのかな。だとした、更に嬉しいわねぇ。

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『トークの内容はちゃんと考えておいたし』
『楽曲もギリギリまでアレンジつめて』
『カバー曲もお正月からめちゃ練習して』
https://twilog.org/utadahikaru/date-230125/asc


準備万端で臨んだ、という訳ですかい。まーだよね、

『宇多田ヒカル
 40歳の誕生日にお送りする
 10年周期の例のゆるーい
 スペシャルプログラム笑』
https://www.utadahikaru.jp/40iroiro/

だなんて触れ込みの企画なので、どうしたって届ける方もゆるいもんだと思われがちだからな、こうやってアピールしとく必要はあるかと思う。特にバッドバニーのカバー「Me Porto Bonito」は、恐らくまだスペイン語を完全には解せないからこそ、徹底的に叩き込む必要があったかと思われる。間違えたら誤魔化しようがない。いやこっちは間違えられても気付けないけど。なんかそれ悔しいな。


で。


①First Love (新アレンジ)
②Rule (デモのイタリア語と英語を混ぜた新アレンジの「君に夢中」)
③卯年なのでBad BunnyのMe Porto Bonito (突然スペイン語に挑戦)
https://twilog.org/utadahikaru/date-230125/asc


という3曲は、狙いがハッキリした選曲だったのよね。佐藤健をゲストに迎えたのだから彼が主演した「First Love 初恋」の主題歌『First Love』を、吉高由里子をゲストに迎えたのだから彼女が主演した「最愛」の主題歌『君に夢中』の新バージョンを、そして卯年だからバッドバニーのカバーを、とそれぞれ意図が三者三様明確だった。

正直、3曲とも面食らいっぱなしだったのよ私リアルタイムで聴いてるとき。バッドバニーは予想の範疇外どころか積極的に無視してたヤツだし、まさか『君に夢中』の歌詞がイタリア語を含んでいたとは夢にも思っていなかったし。しかし実際にいちばん吃驚したのは

『①First Love (新アレンジ)』

なんですよ! というのも、この『First Love』という曲、1999年4月の『LUV LIVE』から2018年の『Laughter in the Dark Tour 2018』に到るまで、ライブでは悉く「スタジオ・バージョンに忠実に」演奏され歌われてきた楽曲なのである。それは、異様な編成の『MTV Unplugged 2001』でも日本語曲が主役ではない『Utada In The Flesh 2010』でも大体同様だった。キーが下がっていたりすることはあったようだが。(私それ気にしてないので気づいてない)

このような方針で来たのも、この曲が最も広範に「ヒカルが歌うのを期待されている楽曲」で来たからだ。有名であればあるほど、人は「ラジオやCDで聴いていた曲を生で聴けること」に重きを置く。早い話がそのまんまを聴きに来るのだ。ライブ慣れした人間はついつい「せっかくの生演奏なんだしこの場でしか聴けない音を聴きたい」だなんて嘯いてしまうものだが、宇多田ヒカルという大衆に膾炙した歌手への期待の大多数は「あの曲を目の前で」なのである。

ヒカルはその期待にずっと応え続けてきた。そして昨年末のリバイバル・ヒットを経てますますこれからのライブでも「あの曲を目の前で」と思われていく運命にあるのがこの『First Love』な筈なのに、新年早々40歳になった途端、まるで今まで聴いたこともないサウンドの『First Love』を聴かせてくれたのだ。吃驚仰天青天霹靂であった。

だが、よくよく考えてみれば、リバイバル・ヒットを成したこのタイミングだからこそ新しいサウンドの『First Love』を提示できたのかもしれない。寧ろ、ここを逃す手は無かったとも言える。ある意味、「一区切りついた」この間隙を突いてきたのだ。これからこの曲がどんどん改変されてライブで披露される可能性もあるのか? 勿論、「あの曲を目の前で」筆頭なのは変わりないので、皆の反応を見ながらになるかとは思うが。この曲への自信と、この曲に頼らなくても満足させられる自信と、その両方を感じさせる新鮮なニュー・アレンジだったぜ。今年のヒカルはきっと、とんでもなく攻めまくるぞ?

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日本時間朝の7時から呟き二連発ですか。


@utadahikaru : 「40代はいろいろ♫」のアーカイブ只今準備中!しばしお待ちを🤓♡
トークの内容はちゃんと考えておいたし、楽曲もギリギリまでアレンジつめて、カバー曲もお正月からめちゃ練習してそれなりに仕上がって満足してるんだけど、歌うパートになって「あ、曲紹介の練習全然してなかった…!」と気づき…続 posted at 07:04:22

@utadahikaru : 振り返ると一曲もタイトル言ってなかった😂説明もわかりにくかったので…
①First Love (新アレンジ)
②Rule (デモのイタリア語と英語を混ぜた新アレンジの「君に夢中」)
③卯年なのでBad BunnyのMe Porto Bonito (突然スペイン語に挑戦)
でした!アーカイブはテロップ入れられるかな…😅お楽しみに! posted at 07:15:36

https://twilog.org/utadahikaru/date-230125/asc


『しばしお待ちを🤓♡』のハートマークを見た瞬間に「全然待つ全然待つ全然待つ」とリアルに呟いた私も相当ダメでござるな。いや卑怯でしょ待つしかないでしょそんなん。

てことで、アーカイブは来年公開でも全然責める気が無くなった私だが、それはさておき、どこまで凝る気なのかがポイントよね。

「総字幕」

これを実現させるなら1ヶ月くらいは全然掛かるよね。そんな人材もないだろうし。いやそんなんグーグル先生の自動字幕&翻訳者使ったら一発でしょという人は使ったことないんだねと一言申し上げておくか。結構修正に手間かかるのよあれ使っても。ネイティブな人なら自分でやった方が早いかも…いや流石にそれはないか。

喋りに字幕がつくなら日本語と英語、歌の歌詞に字幕がつくなら日本語と英語とイタリア語とスペイン語。そうなってくるとえらいわちゃわちゃしますね。ファン層を考えたら日本語字幕はそろそろ必須な気がするけどひらがな&カタカナに絞るべきなのか漢字もある程度あった方がいいのか…って大変だなこりゃ。

歌の歌詞の字幕となるとこれは著作権処理が要る。バッドバニーに到ってはパフォーマンスの公開自体ももしかして彼サイドの許可が要る?

いやそれで思い出すのは17年前の『'05以上'06未満』。当時はYouTubeもまだまともに機能していない中で珍しい動画配信企画だったのだが、そこでヒカルが『Passion - after the battle -』と共に歌ったGREEN DAYのカバー『Boulevard Of Broken Dreams』がフィジカル化を断られた事があった。「お前らよりずっと歌がうまいから嫉妬したのか?」と当時は煽らせてもらったけど(性格わりーなあたしゃ今も昔も)、そりゃまぁバッドバニーのカバーを他のレコード会社のメジャー・アーティストがってことになると果たしてどうなんでしょうね。流石に令和の時代にそんな野暮なことしないと思うけど。GREEN DAYも当時の時点で野暮だったし。

ともあれ、『40代はいろいろ♫』のアーカイブ化は予想以上に時間が掛かるのかもしれない。そうなってもこのハートマークを思い出してのんびり平和に待つことにしようぞ。

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日曜日に『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー -Live at Sea Paradise-』MVの撮影地である八景島シーパラダイスに行ってきた。所謂聖地巡礼というヤツだが、行くという方々が3人ほど居たのでそれにコバンザメみたいについていっただけですスイマセン。


もう公開から4ヶ月が経過したがまだまだ聖地巡礼はこれからという人も多いと思うので、行ってみた感想などをつらつらと書こうかなと。よく考えたらうちらが行けるミュージック・ビデオの撮影地ってなかなか少ないのでこれ結構なレアケースなのよね。(…プラハに行ったツワモノとか居る?)


①:行くなら夕方がいい。
メインの撮影地である水族館は「アクアミュージアム」といってこちらは完全に屋内なのだが、マルセイユのMVには天井がアーチ型の水槽になっている場面が出てくるでしょ、あそこがサブのちっちゃな水族館「ドルフィンファンタジー」ってとこで、そこは自然光を取り入れた建物なんすよ。で、MVだとあそこの場面が夜なのでよりあの映像に近い雰囲気を味わいたいという向きは夕方~夜間に行くのがよさそうだ。お誂え向きに「ナイトアクアリゾーツパス」という夜間割引チケットもあることだし。あたしゃ朝方に行ったのだけど、とはいえ、結構それでも「あーここ映像でみたやつだー」と思えたので、朝昼の訪問でも十分聖地巡礼になるかと思う。お好きな方で。


②:チケットは前日までに前売りを買っておこう。
真冬という水族館にとってはオフシーズンだというのに開園直後からずっとチケット売り場の行列が途切れていなかった。当方は前日にWebチケット(ただのQRコード)を買っていたので並ぶ必要なくスムーズに水族館に入館出来た。時間を無駄にしない為にもストレスを軽減する為にも事前に購入するのがオススメですわ。


③:撮影ポイントはクラゲとマンボウの二つある。
先程触れたように、MVの撮影場所は二ヶ所ある。あのクラゲのモニュメントを飾ってあるメイン水族館の「アクア・ミュージアム」と、マンボウが泳いでるサブの「ドルフィン・ファンタジー」と。アクア・ミュージアムだけだと、天頂アーチ型の水槽の場面と、マンボウをバックにヒカルがくるくると踊り回る場所に辿り着けないので要注意なのだった。なお同行させて貰った貴腐人様が仰るには「MVを再生しながらマンボウの居る円筒形の水槽の周りをぐるぐる回ると【擬似・宇多田ヒカルAR】みたいで大変宜しい」ということのようでした。「宇多田さんめっちゃ早足で踊って歌ってて凄い!」とな。あれ確かにあのステップで歌をライブ録音してるとすると凄いよね…。


という感じで少しだけしか書けなかったけど些かでも参考にしてうただけたら。

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『40代はいろいろ♫』でケッサクだったヒカルの発言といえば「インドカレー屋を買収すればよかった」発言だろう。2001年「うたばん」での『お金ならあるわよ?』発言を思い出させる見事な切り返し。惜しむらくは地上波放送ではなかったため字幕付きにならずインターネットミームになりづらいことか。いや別にならんでもええけども。

前も書いたっけかな、あたしゃこういう「力を持った人ならではの発想の飛躍」が大好きなんですよ。「小説家になろう」でも「転生したらスライムだった件」をはじめとして「俺強え(TUEEEEE)」なんばっかり読んでるし、腕力がとんでもないとか財力が常軌を逸してるとか、そういう立場の人って庶民には思い付かない発想が出来るのが魅力なのだ。要はその発想の自由さが好きなのだが、こんな風にお気に入りのインドカレー屋(ラージマハールだっけか)が潰れたからといって「あぁ、こんなことになるならもっと通っておけばよかった」というよくある庶民的思考に留まらずに「買収しておけばよかった」とカレーじゃなくて店ごと買う発想になれるの、ほんとお金持ちは面白いな!って思うわ。

ただ、『お金ならあるわよ?』同様、「買収」って言葉のチョイスは自虐的に過ぎるというか、諧謔性を自身に向けるときは相変わらず遠慮が無ぇなぁという感想もまた抱いたかな。日本語として、00年代~10年代に「買収」という見出しはどちらかというとネガティブな響きを伴って書かれていたように思う。日本の企業が潰れて海外の企業に買収されるニュースが多かったからかな。日本で育てた技術を他国に奪われるみたいな文脈でよく使われていた。

ヒカルの今回の買収発言って、中身を繙いてみればつまり「経営が上手くいってない企業を救済したかった」って意味なんだよね。「資金繰りが悪化してるなら出資したのに」という趣旨。つまりホワイトナイト(White Knight)ってヤツなんですよ。友好的買収。昔見出しで悪辣に描かれていたイメージは敵対的買収の方で(実態は必ずしもそうでなくてもね)、この二つを両方「買収」の一言で片付けると誤解する人も出てくるのかもしれないね。

ただ、ヒカルさんは作詞家だ。将来は小説家にもなるだろう。言葉自体の切れ味を最優先するのは本能といっていい。あそこで喋り言葉で「友好的買収」とか野暮ったいことを口にするのはセンスが許さなかったろうね。ストレートに「買収すればよかった」で視聴者から爆笑をかっ攫ったので、本人としてはしてやったり、言葉のチョイスに満足していることだろう。それによって買収発言を敵対的買収に勘違いする人が在るかもしれないリスクは重々承知の上だろうかな。自分が貶されるリスクをとってでも笑いを取りに行く姿勢。見上げたもんじゃないの。

今回はテレビの情報番組でもこの発言が取り上げられたようでメデタシメデタシなのだが、たまにヒカルさん、自虐が行き過ぎる事もあったりなかったりするのよね。ファンの方はセンシティブに「そんなに自分を卑下しないで欲しい」と感じる事も出てくるのかもしれないので、自虐気味のジョークもほどほどにね、ヒカルパイセン。

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そう、↑これ。『40代はいろいろ♫』で余りにも然り気無く放たれた爆弾発言。「夏に日本に帰る」、ですと!

も、もちろん、「息子が夏休みだから帰省しようかなって」とはぐらかされる可能性もあるにはあるんだけど、我々が聴いてるのわかってて言ったんだからコンサートかテレビ出演か何かがあるんだと勘繰られるのは承知の上だろう。いやはやどうなることやら。

昨年の夏は南青山でシークレット・ライブ(ただし1曲12分)、それにテレビ出演3本だったかな、そんな感じで「夏に日本に帰って」きてはいた。更にその前にその12分のSpotify向け縦長ムービーを撮影するために八景島にも赴いていた。今年も、こういった仕事の為に来日をするのかもしれない。

だが我々に待望の全国ツアーを期待するなという方が無理だろう。『Laughter in the Dark Tour 2018』から5年が経とうとしている。インターバルとしては十分だ。今年の夏に日本全国を廻るとすればそろそろ告知があってもいい。前回のツアーは初日が2018年11月6日、告知があったのが2017年12月8日。1年近く前だったのだ。今年ツアーするならいつ発表があってもおかしくないのさ。

他方、ツアーでなくフェス出演なのでは?という推測もあるだろう。だがコーチェラ出演とは異なり、日本国内の宇多田ヒカルは即ヘッドライナー候補となる。確かに全国ツアー回数が少ないため知名度の割に集客力は大きくないだろうが、国内アーティストで宇多田ヒカルの後に歌いたいシンガーがいるかどうかというとどうだ。勇気要るぞ? なので、邦楽系フェスならトリ扱い、洋楽系フェスでもそれに準ずる扱いとなる為、こちらももういつ発表があってもおかしくない。真っ先に名前を連ねる筈だからね。

いやま、昨年のシークレット・ライブみたいにFloating Pointsと二人きりみたいな小編成なら特別ゲストもアリかもだけども。

今のヒカルがフル・バンド編成を組むとなれば「お馴染みのメンバー」を選んでくるだろうから、先日の『40代はいろいろ♫』でも弾いてくれていたメンツの今年の夏のスケジュールを睨んでおくのがうちらがまずやるべきことか。そしてそれに伴って考えるべきなのは「フェスのヘッドライナーもフィーチャーした全国ツアー」という、上記二案のハイブリッドだろう。こうなるとまさにお祭り騒ぎになるよねぇ。

後は、そうなるとアジアツアー/ワールドツアーとの兼ね合いよな。どういうスケジュールを組んでくるか、或いは今年の夏もテレビ出演程度の来日に抑えて、冬場にツアーとか、或いは年明けから? あーわからない。可能性は無限にあるぞ。

で、それを占うにあたって新アー写の作風をどう読むかってのがあるんだが、あの2枚って全然外に出掛けて歌う感じがしないのよね! どうみても室内楽で形而上学的な曲を録音しましたみたいな風なのよ。う~む、今年の宇多田ヒカルは、例年以上に読めないな。完全にバッドバニーのカバーで面食らわされてるわあたし。見事に機先を制されております!

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先週『40代はいろいろ♫』が終わった直後に新アー写が発表された。訳がわからない。

まだ1月19日になった途端に変わるんならわかる。『40代はいろいろ♫』で宇多田ヒカルの新しい年がスタートだ!心機一転! でこのアー写に惹かれて生配信を観に来てみたら謎のデザインセンスのトレーナーを着た人が出迎えてくれるというギャップ…なんて流れならね。そうでなくて、配信が終わった後ってのが如何にも中途半端なタイミング。そこで新情報があるかというと無し。ますますわからぬ。

そして、ヒカルのツイートによるとこの新・宣材写真は

@utadahikaru : New artist photos just taken a couple of weeks ago in Shibuya!
Photo by Masahiro Sambe. Styling and Hair&make up by Kyohei san and Inagaki san, 2 people I adore who have magically not aged for 20 years…🧸🧸 https://pic.twitter.com/NI42ZdefsM
https://twitter.com/utadahikaru/status/1616810578391060480

ということで、年始にお馴染みスタイリスト小川恭平氏とメイクの稲垣亮弐氏を伴い渋谷で撮影されたのだと。日本に居たのね。ところがInstagram情報によると、『40代はいろいろ♫』直前に小川恭平氏が渡英していた模様で、いやなんだそれは新アー写をこのタイミングに合わせる為ににわざわざヒカルが来日したってか。なのに新情報無し。ますますますますわからん。

私が先週「実は新曲をもう一方で作っていたのかも」とかいう自分でも可能性が低いだろう推測を敢えて記したのも、このアー写があったからなのだ。そうとでも解釈しないとこのタイミングでの公開の理由が見えてこないのよね。

まぁ実際は1月19日0:00に公開したかったのが何らかのトラブルで24時間延びたというのも考えられなくはないんだが、その割に19日のうちにYouTube公式チャンネルのアイコンが既にこの新アー写に取って代わられていたという話もあるしで、その順序もまた謎なんですわね。


しかしまぁでも、その意図はよく分からないとはいえ、これで「『BADモード』モード」は終焉を迎えたと取るのが妥当になる訳だ。擦りに擦り尽くしたアルバムだっただけに『気分じゃないの(Not In The Mood)』だけがプロモーション無しで取り残されたのが若干の心残りだが、いやそれにしたってここまでアルバム全体が注目された作品はヒカルの過去作の中でもなかったわけでね。史上最高のCD売上を記録した1stアルバムだって半分以上の楽曲は人々に名前を覚えて貰えてなかったりしそうだし。それを考えると、配信開始から丸一年凄まじく頑張ってくれましたと労いの言葉を掛けたくなる。本当にお疲れさまでした。こっちは何も変わらずいつも通り毎日聴かせて貰いますけども。

となるとその「『BADモード』モード」の次はどうなるかという話だけれど、それこそ『40代はいろいろ♫』の選曲が示唆になるかなと思われる。引き続き『First Love』のリバイバル・ヒットを心から歓迎しつつ、『Rule』と『Me Porto Bonito』の2曲からは「バイリンガルを超えていく」意図が感じられて、今まで以上にグローバルな活動を視野に入れるのかなと。特に『First Love』のリバイバル・ヒットはアジア各国を巻き込んでいるので、これは英米欧亜日総てをリスナーとしてみる感覚になっているのではなかろうかと。しかも西洋も英語圏フランス語圏ラテン語圏の3つの大きな枠組総てを見据えてるとなると、いやはや幾らヒカルの言語能力が高いといってもね…でもやっちゃいそうですね…。

とかなんとか深読みするこちらをよそに「いやほんとにうさぎ年だったからってだけだよ」と言ってきてくれそうな雰囲気もあって本当にこの人は今年も訳がわからないよ!?

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しかしあたしゃ「初披露曲」が真っ新な新曲でなくて安堵したですよ。あれだけ美しい顔面を数十分堪能した後に真っ新な新曲を注ぎ込まれてたら多分いろいろオーバーフローしてたろうからね。

てことで初披露されたのは予てから存在が周知されていた『君に夢中』の英語バージョン…と、素直に言い切れないテイクでしたな!

イ、イタリア語!? え、英語! んで日本語も?? えーなにこれなにこれとかって言うてるうちに終わってまいましたわ。ほんま既存曲でもこんだけ惑わせられんねんな!

でもこの戸惑いには既視感があってだな……あぁ、あれだわ! 『Utada In The Flesh 2010』初日公演をホノルルで観たとき「日本語の曲もやるよ」的な事を言って歌い出した『Passion』がそのまま『Sanctuary』に移行した時のあの戸惑いだよ! 「え?え?どういうこと??」言うてる間に曲が進んでシングル・バージョンの年賀状パートまで歌い切られたんだよ! あの時の感覚が甦ったわ。

https://www.utadahikaru.jp/news/detail.html?id=548895
で、この『君に夢中』の3ヶ国語バージョンの正式なタイトルは『Rule』らしい。歌詞に出てきてたみたいだけどよくわかりませんっ。アーカイブ早よ。ただ、これ多分「夢中」とかと母音を合わせる意図よね。うーん、ファースト・コンタクトはサプライズ過ぎてちゃんとした感想が書けないわ。


んじゃ戸惑いの仕返しに何の根拠も無い推察をひとつ。これ、実は本気で裏で真っ新な新曲の初披露も画策していたのでは?? それが実際に間に合わなかったのでこの『Rule』の方を披露したんでない? ─まぁ、真相は闇の中ですし、ヒカルさんはそういうことする人ではないので(崖っぷちがモットーの人がそんな保険掛けるような真似はしないでしょ)、多分違うとは思うけど、有り得ないとまでは言えないかなと思ったので記しておきましょう。

そしてもっと驚いたのがバッド・バニーのカバー! 予想するどころか「いやこれヒカルさんは触れないでしょ」って箱に私が勝手に入れてたアーティストのカバーをしてくるとは全く以てやられた感が強い。虚を突かれたわ。

「Me Porto Bonito」という曲はプエルトリコ、スパニッシュ系の言語で歌われてるらしく、なるほどそういう発音だったけど勿論あたしは何言ってるか全然わからんかった。というか、これも多分だけど、ヒカルさんも意味がよく分からないまま耳コピで歌ってると思しき瞬間もあり、「耳がいいんだなぁ」と妙に感心したりもしていた。

いやはや、この流れ、どうなるんだろうね。意図的に日本語英語に加えてイタリア語とスペイン系~ラテン系の言語をぶち込んできた。既にフランス語は手掛けている(『ぼくはくま』『Hymne à l'amour 〜愛のアンセム〜』『俺の彼女』)ので、都合5ヶ国語を操るシンガーという立ち位置になってきたぞ…どこに向かってるんだ宇多田ヒカル…。

『BADモード』が「初のバイリンガル・アルバム」として大々的に好評を博したというのに、このままではその『BADモード』が「最後のバイリンガル・アルバム」になってしまいかねないぞ? 次からは「トリリンガル・アルバム」や「クアッドリンガル・アルバム」「ペンタリンガル・アルバム」になっていってしまうのでは…?

でも、出来るんならやっちゃえばいいと思うの。5ヶ国語くらいで歌ってくれれば、地球上のかなり多くのリスナーが「宇多田ヒカルが自分にもわかる言葉で歌ってくれてる!」という喜びと「宇多田ヒカルが自分にはわからん言葉で歌ってる~…」という戸惑いの両方を1枚のアルバムで味わえるからね。ある意味、今よりずっと平等になるだろう。日本語圏民は今まで恵まれ過ぎてたのよさ。親近感と疎外感。両方を味わってこその宇多田ヒカル、なんて流れになるのかも。

そうなってくると、ヒカルが今回も最後の〆に持ってきたテーマ『Everybody feel the same』のより具体的な実践がどんどん生まれていくのよね。ひとりひとり違う人たちが皆同じ事を感じてるってわかっていく為にはどれだけ多様な表現が要っていくのかってのをヒカルさんはよくよくわかっていらっしゃると思うからさ。

しかし、これ、クマ・チャンの故郷である中国の言葉で歌う機会は訪れるんだろうかね? 中国語といっても幅広いだろうし…いやまぁ、自由な歌詞が歌えない言語には手を出さないかもね。今んとこ。

こちらとしては今ですらイタリア語についてけてないから、焦らなくていいですよヒカルさん! 『9代はここどこ?』までまだ半世紀、50年あるんだからね!

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