無意識日記
宇多田光 word:i_
 



さて前回のツアー『Laughter In The Dark Tour 2018』では、私が行程全体の2日目である2018年11月7日水曜日に早々に公演を観てしまった為、その間にツアーに参加していった読者の方々が少しずつ読み始めていってくれる事を期待して、1ヶ月以上かけて、即ち千秋楽よりもうちょい後まで“一曲ずつ順番に取り上げて”「擬似ライブレポ」なるものを40回以上を使って書いていった。

今回の『SCIENCE FICTION TOUR 2024』では、事情が異なる。自分が観たのは全18公演中17公演目という千秋楽前日、更に再来月にはU-NEXTで配信があり、3ヶ月後には円盤が手に入るという、6年前とはまるで違う状況になっているのだ。その時の映像商品の発売日は2019年6月26日、千秋楽から数えても半年以上後のことだった。今回はもう円盤が目の前に釣られている感覚だ。まるでUFOみたいに。SF感満載だね!それはいいとして。

いきおい、今SFツアーの(一曲毎に時系列を追っていくような)ライブレポを書こうにも私の中にあまり需要が無い。仮に書いてる途中に映像が届いてしまうと「実際に観た方が早い」とか自分から言い出しそうなのでね。なので、書き方を6年前と変える。

「ライブ全体の総論的なものを主軸にして、適宜必要になった時に各曲の詳細をみていく」スタイル、これでいく。さて始めようか。

『SCIENCE FICTION TOUR 2024』8月31日土曜日のKアリーナ横浜公演を観た。過去最高に安定した歌唱、ぶっちぎりにハイエスト・クォリティなサウンド・メイキング、『LUV LIVE』以来かという強靭なリズム・セクション、過去最高のライティングに過去最高のステージ・セット、そして過去最高にコンセプチュアルな舞台演出、何よりこの26年を自在に行き来して次々に繰り出してくる名曲群の圧倒的なクォリティが当然過去最高レベルで、間違いなく今までで最も高品質なファクターで埋め尽くされたショウだった。ならばもうこれは“非の打ち所がない”と形容して申し分ない…と、なってしまったら、私はつまらない。

言っちゃ悪いがたかだか25年、本人の年齢はまだ41歳なのである。芸事で「一人前」と呼ばれるのが還暦60歳であるならば、まだここから次の25年で更にクォリティを上げていける…というか、こちらの関心を更に惹き高めてくれる展開にこれから入っていって貰わないといけない。なので、ここらで満足して貰っては困るのだ。かといって、ここまでとんでもないステージを作り上げて貰っておきながらこちらからわざとらしく難癖をつけていくのも行儀が悪い。故に心に素直にひたすら絶賛を繰り返しながらも「ではここから何をすれば更に新しい境地に至れるか」を切々と訴えていくことにする。なので年内の無意識日記のテーマは

『もっとよくして』

の一言に尽きると予想する。的外れな批難もしないし、単なる手放し目眩しの絶賛もしない。今宇多田ヒカルがどの辺りに居て、次により面白く進める道はどちらに伸びているのかを、ひとつひとつ見極めていきたい。そう思わせる、「過去最高品質でありながら、まだまだ発展途上だと痛感させる」公演だったのだと、2024年8月31日の宇多田ヒカルを生で目撃した身として、まず冒頭に総括しておきたい。当日からして滅茶苦茶楽しかったが、ここからはもっと楽しくなるはず! 宇多田ヒカルは、まだまだこんなものではないのだっ!

、、、あ、でもヒカルさん本人は、しばらくゆっくり休んでくださいね。疲れが取れたらまた次に何をするか、じっくり考えてくれればいいよ。なので、ここ無意識日記では、万が一貴女が読みに来てくれた時に「あ、じゃあいきなりツアーやってもいいかも!?」とか何とか思わせるようなコトをこれから書いてやるからな!(笑)

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