無意識日記
宇多田光 word:i_
 



唐突に今朝の日経新聞に空飛ぶヒカル?の見開き広告が掲載された模様。犯人は伊藤忠商事か! 綾鷹に押されまくってるなと思ってたが、漸く動くのか? 

ともあれ、何より新しいヒカルのアー写と新しいインタビューが生まれたので総て良しとしよう。インタビューは、伊藤忠の広報誌『星の商人』第17号に掲載されたようで、pdfがウェブ上でアクセスできる体裁。
https://www.itochu.co.jp/ja/about/magazine/viewer.html?file=pdf/hoshinoshonin2024_no17_talk.pdf#zoom=page-fit

む。ページフィットズームまでURLに入ってるのか(どうでもよいですね)。

(※ 以後インタビュー内容を引用するので未読の方はご注意を)


で。またもやそのワードセンスに困惑してしまった。伊藤忠の広報誌の名前が「星の商人」だというのはこのたび初めて知ったのだが、思わず「うわぁ、“地球を回す力”と同じセンスだ…」と項垂れてしまったよ。まぁそこらへんのことはあまり面白い話にはならないので省略しよう。


ヒカルの『道』にこんな歌詞があるよね。

『人は皆生きてるんじゃなく生かされている』

私ここ好きでね。どれだけ人が強い意志を持って人生を突き進んでいようと、自分の力なんてなホントちっぽけなものでね。そのちっぽけをたくさん積み重ねてやっとひとつ何か出来るか出来ないかなのよ。人にも人以外にも助けて貰ってなんとか生きてる。生かされてるってなほんそれなで。打ち身の膝小僧にカサブタできてるけど、これ別に自分がこうなるように設計して製作したわけじゃないからな。遺伝子が勝手にやってくれてるだけなんだから。せいぜい、作業の材料を切らさないように必要な栄養を摂取して提供しておくくらいしか出来んのよこちらは。

…という風に共感する私からみると、ヒカルの思想は正直伊藤忠のそれと共感し切れてるのかな、いやある程度であれ共感してるから今回のオファーを受けたんだろうしなぁと心の重心を下げてたんだけど、今回のインタビューで

『主観性にとらわれてると生きるのがつらいと思うんです。』

って言ってる!言い切ってる!のを読んで! うわはぁ、今のヒカルはあたしより伊藤忠寄りなのかなと思ってたのに全くそんなことはなかったのだと思い知ったぜ! むしろあたしよりずっと急進的というか大きく踏み込んでいるというか。すげーな。久々に興奮したぞこの方向性で。

何しろその前段で引用したのがクリシュナムルティの「観測者こそが観測されているものなんだ」なのだ。ニーチェの「深淵を覗く時深淵もまたこちらを覗いているのだ」を一般化したような言葉だが、みるみられるの関係は作用反作用の法則と同じでな。我々が地球に重力で惹きつけられる時、我々もまた地球を自らの重力でほんの僅かだが惹きつけている。なので重心は地球の中心よりほんの僅かに我々の側にズレている。その“対等さ”に立つ時、「地球を回す力」や「星の商人」は如何にも粗暴な若者らしいし、「主観で生きるのつらいよね」とこのタイミングで言って退ける人はものっそい大局を望みながら目の前の現実もしっかり踏まえていてやはり「市井の聖人・仙人」の気配が色濃い。いつ象牙の塔に籠ってもおかしくない人なのにねヒカルさんは…と毎度の通り思いつつもインタビューを最後まで読んだら

『静かに本を書いたり、そういうことに興味がありますね』

と来たもんだ! お前はうるさく本を書く機会なんてあるの?と思わずツッコんでしまったが、その前の

『もっと言葉に比重を置いた創作をしてみたいですね』

と併せて考えれば、なるほどこれは「音が鳴らない状態で」即ち「音楽がない状態」を「静か」と言っているのだとわかった。今までの言葉の創作はどうしても歌詞だらけという事で、音韻や音程や伴奏といった“けたたましい”要素と不可分だったのだが、そこを少し離してみたいということかもしれない。こりゃ面白い。「歌」はいつも不死と死で、もとい、節と詞で出来ているから、「いつでもメロディが先」というヒカルは節寄りの創作活動だった。が、歌にとって詞も節もどちらも等価なのだからそれでは偏る。たまに言葉の方に偏ってバランスを是正するのも悪くないかもしれないね。アファーマティブ・アクションだね。どっちにしろいつかは「歌」に還元されていくことなので、最後のこのシメのコメントをみて少し不安になった方々も、どうかご安心くださいな。…と、ヒカルの代弁を勝手にする粗暴で勇み足な私なのでしたとさ。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


« Utada's Unlim... ヒカルに似た... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。