無意識日記
宇多田光 word:i_
 



前回「ツアータイトルに因んだ演出」の話をしたけれど、冷静に考えるとヒカルさんのツアータイトル/ライブ・タイトルは必ずしもセンス抜群という訳ではないとあたしゃ思う。

『Luv Live』『Bohemian Summer 2000』『ヒカルの5』『UTADA UNITED 2006』『Utada In The Flesh 2010』『WILD LIFE』『Laughter In The Dark Tour 2018』『SCIENCE FICTION TOUR 2024』などなど…。語呂で選んでたり、意味はわかるけどダサかったり、大胆な駄洒落でインパクトはあるけどカッコ良くはなかったり、ライブ内容がUNITEDしきれてなかったり(聴衆の責任でもあるけども)、歌詞の一部を引用してたり、カッコいいけどコンセプトを表してはいなかったり、これまたカッコいいけど幕間を指すってのはどうなの…だったり。どうにも、響きも見た目もよければ内容とコンセプトに結びついてて名前を目にしただけで耳にしただけでコンサートの方向性がわかる、みたいな「八方すべてよし!」といえるタイトルがない。あちらを立てればこちらが立たずというか。アーティストとして常に夢のような八方すべてよしを体現してきた人なのに、ツアータイトルだけどうしてこうなの。

(強いて挙げれば、『Utada In The Flesh 2010』は、歌う歌の歌詞からの引用でかつライブハウスツアーの生々しさをよく表していて、響きも語呂もカッコいいかなと思わなくもないけどこれ私の思い入れ補正が大きそうなのでちょっと評価保留。)

その流れの中で、『SCIENCE FICTION TOUR 2024』というタイトルは、既存の単語ではあるものの、見た目のよさとコンセプトへの期待感が感じられて、このままいけば歴代屈指の好タイトルになる予感が結構ある。なんとかそこがうまくいって欲しいところ。

が、まず既存のロゴが私はカッコいいと思えない。アプリを開いたら出迎えてくれるあの電卓フォントなやつね。7セグ…縛りでもないのか。どうにも緊張感がないというか無機質というか。ただ、ああいうのはコンサートでの演出で如何様にも化けれるのでそこは期待したい。実際の電飾であの電卓フォントを表示してからのプロジェクションマッピングなどは如何でしょう。オープニングやエンディングに最適でしょう。

そもそも、シンプルに「SF」というコンセプトで演出を固めても面白いんだし。宇宙船を模したステージセットとか、星空をイメージしたライティングとか(『traveling』で月を出したりさ)、なんぼでもやれることはあるだろう。そういった様々な要素を盛り込むことで、『SCIENCE FICTION』という名前が“ツアーを通してかっこよくなっていく”んだと、思うよ。

だなんて書いてるけど、もっとそもそも論を言わせて貰えれば、ヒカルのツアーにタイトル要る?というのが本来の私の持論で。ヒカルが出てきて歌ってくれればそれでいいのだからロゴだライティングだ演出だコンセプトだなんていうのは別になくてもいいのよ。だからツアータイトルなんて「Hikaru Utada Asia/Japan Tour 2024」とかでいいんですよ本来。そこに特定の名前つけちゃうとどうしても何かのイメージや先入観と結びつけちゃうからね。歌った歌が総てでいいじゃないのさ。

ま、流石にそれは今更なので、そのそもそも論はクローゼットの奥に仕舞っておくとして。『SCIENCE FICTION TOUR 2024』という名前をつけちゃった以上、それに合った演出・ライティング・ステージセット・ツアーグッズ・アプリ配信なんかをしてって欲しいですね。特に今sf-kuma.com がとても成功してるので、あんな感じのをどんどん畳み掛けていって欲しいですな。もうそろそろ「ツアー開始まであと1ヶ月」になるんだし、チケット運営ではない、エピックとU3の皆さんの動き出しが気になるところですっ。

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あれまぁ、日本時間午前6時台、ロンドン時間22時台の呟きは結構珍しいのでは?
https://x.com/utadahikaru/status/1800281208477085937?s=46

これを勘繰るなら、ツアーに合わせて少しずつ生活を夜型にシフトしているのかなと解釈したくなるが、来日時のジェットラグはいつどうやって調整するのやら。ともあれ、元気そうで何より。

『SCIENCE FICTION TOUR 2024』を占う楽曲のひとつに『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー (Sci-Fi Edit)』もまた挙がるだろう。この“Sci-Fi Edit"というクレジットも、「アルバム『SCIENCE FICTION』用のエディット」という意味にプラスして「『SCIENCE FICTION TOUR 2024』に向けたエディット」という意味もあるだろうからね。十中八九、ライブで演奏されると思われる。

何より、歌詞がいいからね。『僕はロンドン君はパリ、この夏合流したいね』─違う土地に普段居る者同士が合流するというエピソードはまさにコンサート・ツアー向け。

『Electricity』は更にこれのパワーアップバージョンで、星間レベルで離れた者同士がこの地球で出会うのだから全国ツアー?世界ツアー?いやさ宇宙ツアーだよねもう。

『何色でもない花』は『そんなに遠くない未来 僕らはもうここにいないけど』と逆説的に「今現在は僕らはここに居る」と歌ってるわけだし、『Gold 〜また逢う日まで〜』は『楽しい予定をいっぱい入れるの』からの『また逢う日まで』という、ツアー全体を歌った歌詞にも聞こえてくる。

…こういうのなんぼでも後から言えるんやけど(笑)、だからこそこういうとこからコンサートの演出が決まっていくから侮れないのよ。

前から言ってる通りその『Gold 〜また逢う日まで〜』はラス曲に相応しいし、『Electricity』の『僕らの席だけ一気に違う惑星みたい』は特殊なライティングと共にオープニングを飾るに相応しい。いや、『traveling (Re-Recording)』で始まるのもいいかな…如何様にもなるか。

『Bohemian Summer 2000』や『WILD LIFE』ではそれぞれに“宇宙”を感じさせる演出でコンサートの幕が開けた。『SCIENCE FICTION TOUR 2024』のオープニングも、その方向性が期待される。歌の歌詞のどこを拾うかで決まる…もんでもないか。WILD LIFE』は(『Utada In The Flesh 2010』と違って)歌の歌詞に由来しないツアータイトルとそれに伴うオープニングの演出だった。『Laughter In The Dark Tour 2018』もしかり。ナボコフ由来ということで『夕凪』に繋げられなくはないが、ひとまず歌詞にこんな言葉は出ない一方で、幕間に喜劇を挟み込んで聴衆の笑いでタイトルを回収した。

今回の『SCIENCE FICTION TOUR 2024』でも、タイトルに因んだ演出が加えられるかもしれない。因まない演出も加えられるかもしれない。いずれにせよひとまず、今回書いた幾つかの歌の歌詞がリンクしてくることは十分に考えられるし、歌の歌詞とは関係なくする可能性もまた十二分に考えられる。ツアーのリハーサルは歌唱や演奏の練習は元より、そういった演出面での打ち合わせも含んでいる筈。このタイミングで飛行機のツイートを引用したのは何かの暗示と捉えるのは、でも、やっぱり勘繰り過ぎかな? タイミングよすぎだしな。あ、だから、か?

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