●社説 混迷の中に光明を 10・22衆院選へ
中日 2017年9月29日
混迷の中での衆院選である。老舗政党が急造新党に合流する急展開だ。「安倍政治」の対抗軸となり得るのか。慎重に見極めて、貴重な票を投じたい。
・・・(略)・・・ 従来にも増して混迷の中での難しい選択となるのは必至だが、強引な「安倍政治」に審判を下す機会と前向きに受け止めれば、光明が見いだせるのではないか。
私たちの未来を決めるのは、有権者たる私たち自身である。その責任や可能性を自覚して、論戦に耳を傾けたい。
●(社説)衆院選 解散、与野党論戦へ 「権力ゲーム」でいいのか
朝日 2017年9月29日05時00分
言論の府から言論が消えた。悪(あ)しき例が歴史に刻まれた。
・・・(略)・・・ 民意を政治に直接反映させる民主主義の重要な場である選挙を、権力維持の道具としか見ない「私物化解散」でもある。
政党政治の危機を思わせる事態は、野党陣営でも起きた。
・・・(略)・・・ 基本政策にも違いがある。
小池氏は消費増税に否定的だが、民進党は、税率引き上げの増収分を教育無償化などに充てると主張した前原誠司氏を代表に選んだばかりだ。
安全保障関連法についても、前原氏は「憲法違反」だと指摘し、小池氏は自民党議員として法案に賛成した。
・・・(略)・・・
確かに、小選挙区制が中心の衆院選挙制度のもとでは、野党がばらばらに候補を立てれば、がっちり手を組む自公両党に勝つのは難しい。政権交代をめざすなら、野党各党の連携が欠かせないのはその通りだ。
旧民主党政権の挫折から5年たっても、失われた国民の信頼を取り戻せない。そんな民進党の焦りも理解できなくもない。
それでも民進党には、もう一つの道があったはずだ。
ここ数年、地道に積み上げてきた野党共闘をさらに進め、共産党を含む他の野党との候補者調整を実現し、そこに新党も加えて、自公と1対1の対決構図をつくり上げる――。・・・(略)・・・
●衆院解散、総選挙へ/与野党の「大義」が問われる
河北 2017年09月29日
・・・(略)・・・ 野党第1党が、結成されたばかりの新党に吸収されるという予想もしない展開。「政権交代可能な二大政党をつくるため、名を捨てて実を取る」(前原誠司民進党代表)というが、「駆け込み寺」との厳しい批判がつきまとう。
「安倍解散」と同様、唐突感がある。中央政界と違い、共産党を含む野党4党で共闘を進めてきた地方組織にとっては「裏切り」と映るのではないか。「党を売るのか」という怒りも当然だろう。
民進党と希望の党が一つの同じ勢力となれば、与党と政権選択を懸けた戦いになる。明確な対立軸を国民に示すべきだが、「しがらみ政治からの脱却」「寛容な改革保守政党」といったキャッチフレーズだけが躍る。
憲法改正の必要性、アベノミクスに代わる経済政策、消費税増税見送りと財政再建策、「原発ゼロ」への道筋など、少子高齢化にさらされる日本の将来像を展望した骨太の政策をまず提示すべきだ。
与野党の「大義」が問われる今回の衆院選。有権者は「虚飾」に惑わされることなく、審判を下してほしい。
●衆院解散 安倍1強政治を問い直す
西日本 2017年09月29日 10時33分
(略)「政権選択」の様相に
こんな急展開を誰が予測し得ただろうか。想定外の解散政局が永田町に激震をもたらしている。
(略) 憲法はもとより、国会や論議を軽んじる「1強」政治のひずみが極まったといえるのではないか。その結果が誘発した野党再編の急展開といえるかもしれない。
「経済最優先」の看板を掲げながら首相は、国民の知る権利を侵す恐れがある特定秘密保護法、集団的自衛権行使容認の安全保障関連法、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法を成立させてきた。
野党の反対や国民の懸念を振り切って、与党は強行的な採決を繰り返した。首相や閣僚の国会答弁は曖昧で、質問に正面から向き合おうとしない姿勢も目立った。(略)
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