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てらまち・ねっと



 福島第一原発で、誤って約203トンの高濃度の汚染水を移送していた、回収する、と昨日、東電が発表した。
 そしてお決まりの「外部への汚染水漏れはない」。

 3年前の事故以降の人為的なミスの激しさや数を考えると、原発の通常運転中だったころでも、隠し続けただけで、頻繁に重大なミスがあったのではないかと思えてくる。

 そんなことにもお構いなく、安倍政権は原発推進を基本とする新たな「エネルギー基本計画」を閣議決定した。
 この姿勢の背景について、東京新聞の分析がおもしろかった 。
 ★≪歴代政権の大半は「省の中の省」と呼ばれる財務省を頼ったが、安倍政権は経産省に傾斜。その姿勢が原子力ムラを勢いづかせた。≫

 そんなことで、分析的な報道をブログに記録しておいた。
 以下。
●原発推進 エネ計画閣議決定 原子力ムラ復権/東京 4月12日
●日本、なぜ原発に執着? 新エネルギー基本計画決定も、将来性を海外メディア疑問視/ニュースフィア 4月14日
●日本の原発、再稼働できるのは3分の1? 海外メディアが課題を分析/ニュースフィア 4月4日
●ドラマ・企業攻防】関電2原発 優先審査入りできず 強い自負で規制委に抵抗/産経 4.13
●昨年度の原発利用率、2・3%で過去最低に/読売 04月14日
●作業員死亡事故でわかった 福島第一原発救急態勢の欠陥/週刊朝日 4月18日号
●高濃度汚染水203トン誤送 福島第一原発/日テレ 4月14日
●市民委が政策大綱 「原発ゼロへ新法制定を」/東京 4月13日

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●原発推進 エネ計画閣議決定 原子力ムラ復権
     東京 2014年4月12日
 政府は十一日、国のエネルギー政策の指針となる新たな「エネルギー基本計画」を閣議決定した。原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、原子力規制委員会の基準に適合した原発を再稼働させ、民主党政権が打ち出した二〇三〇年代の「原発稼働ゼロ」方針を撤回することを正式に決めた。

 計画では、原発新増設も必要な原発の数などを「見極める」と含みを残した。原発輸出は、東京電力福島第一原発事故の教訓を国際社会と共有し、原子力の安全性向上に貢献するとして積極的に進める考えを示した。将来の原発や再生可能エネルギーの電源比率をどうするかの具体的な数値目標は盛り込まなかった。

 原発事故後、初の計画。政府は一月の決定を目指したが、与党から原案は原発推進の色が濃すぎるとの異論が出て決定が遅れた。
◆エネ計画ポイント
▼原発は重要なベースロード電源
▼規制基準に適合した原発は再稼働を進める
▼原発依存度は可能な限り低減。安定供給などの観点から確保していく規模を見極める
▼再生可能エネルギーは二〇一三年から三年程度、導入を最大限加速し、その後も積極的に推進する
▼もんじゅは高レベル放射性廃棄物の減容化の国際研究拠点にする

◆経産省主導の舞台裏
 安倍政権は「エネルギー基本計画」で原発推進路線を鮮明にした。東日本大震災から三年で、東京電力福島第一原発事故を忘れたかのような姿勢。電力会社や経済産業省という「原子力ムラ」が復活した。 (吉田通夫、城島建治)
 計画案の了承に向けた与党協議が大詰めを迎えた三月下旬。経産省資源エネルギー庁の担当課長は、再生可能エネルギー導入の数値目標の明記を求められ「できません」と拒否した。

 「その態度はなんだ」。要求した自民党の長谷川岳(がく)参院議員によると、課長は椅子に反り返り、足を組んだまま受け答えしたという。長谷川氏の激怒で協議は中断した。

 与党は原発を「重要」と位置づける部分は容認し、推進の立場は政府と同じだが、脱原発を求める世論を気にして一部議員は再生エネの数値化にこだわった。

 だが、原発依存度の低下につながるのを懸念した経産省は本文に書き込むのを拒否。目標を拘束力の弱い脚注に入れ、本文にそれを「上回る水準の導入を目指す」との対案を与党に提示し「大幅に上回る」との表現で合意した与党の指示をも拒み「さらに上回る」との再提案で押し切った。

 電力各社も介入した。
 電力各社でつくる電気事業連合会は、自民党が所属議員に計画案への考えを聞いたアンケートに便乗。若手らに原発の維持・拡大につながる核燃料サイクル事業を「着実に推進する」と書くよう説いた。

 原子力ムラの動きの背後には、経産省が影響力を強める首相官邸がある。
 安倍晋三首相の黒子役を務める首席秘書官は、経産省出身でエネルギー庁次長も務めた今井尚哉(たかや)氏。首相の経済政策の実権は、今井氏と経産省が握っている。


 昨年七月。今年四月から消費税率を8%に引き上げるか迷っていた首相は、税率を変えた場合に経済が受ける影響を試算することを決めた。指示した先は財務省でなく経産省だ。
 歴代政権の大半は「省の中の省」と呼ばれる財務省を頼ったが、安倍政権は経産省に傾斜。その姿勢が原子力ムラを勢いづかせた。

●日本、なぜ原発に執着? 新エネルギー基本計画決定も、将来性を海外メディア疑問視
              ニュースフィア 2014年4月14日
 安倍政権は11日、新エネルギー基本計画を閣議決定した。計画の中で、原子力は石炭と並び、国の最も重要なエネルギー源だと位置づけられている。茂木敏充・経済産業大臣は、「新エネルギー基本計画は、現実的でバランスのとれたエネルギー構造を可能にするためのものだ」と説明した。

 民主党の野田前政権(2011年9月-2012年1月)は、2040年までに全ての原子力発電所を閉鎖という目標を掲げていた。

【なぜ日本は原発に執着するのか?】
 朝日新聞の先月の調査では、調査に応じた80%近くが原発依存からの漸次脱却を望んでいる。しかし、このような国民感情は、東日本震災後のどの選挙にも影響を与えなかったとロイターは報じている。

 独国営放送ドイチェ・ヴェレは、日本のエネルギー市場は10年のうちに自由化されるだろうとし、そうなれば新しい原子炉建設は費用がかさみ過ぎる。将来の廃炉も難しくなる、と指摘。それなのに、日本政府は核燃料に執着している、と疑問視する。

 ロイターは、新計画が、崩壊寸前の原子力業界にとって、あまりに遅すぎる判断だろう、とみている。約500億ドル(約5兆円)の損失を出しながらの苦しい経営、2つの施設が先週、政府に支援を求めたことを報じている。電力会社は、新しい安全基準に原発施設が適合させるため、既に1.6兆円を投じた、と日本の報道を取り上げている。

 同メディアによると、専門家は、「日本の電力会社は、核の「資産」を処分し、次へ進まなければならないだろう」「核施設について予算を絞った現実的な見通しをたて、柔軟な対策をとらなければ、エネルギー政策全体が完全に失敗してしまうだろう」と忠告している。

【石炭利用は世界的なトレンド】
 新計画では、原発の他に石炭を重要な長期的なエネルギー資源としている。一方で、「ベストミックス」を進めるとしながら、風力、太陽光、地熱などの利用の具体的な目標は不明確だ、とブルームバーグは指摘している。

 しかしながら電力各社は、既に政府の方針に沿った動きをみせているようだ。10社が1月には、566万トンの石炭を消費。これは、これまでの同月最高の数字だ。前年比では12%以上の増加となる。IHIの堂元直哉(同エネルギー・プラントセクター長)氏は、「電力価格を安定させるエネルギー資源最良の組み合わせを考えたときに、石炭は外せない」と話す(ブルームバーグ)。

 日本のこのような動きは、クリーンエネルギーを利用することよりも安い電力を求めるヨーロッパやアメリカでの最近の傾向に影響を受けているという。

 加えて、政府は自国の技術にも自信をみせている。茂木大臣は2月に国会で、日本の石炭発電の技術を海外に広めるとの発言。東京電力は日本が開発した石炭ガス化複合発電(IGCC)の施設を増設する計画を明らかにしている。

 これに対し、国内の環境団体「気候ネットワーク」代表の浅岡美恵氏は、「(石炭発電所の増設)計画は、時代遅れと言うほかない」と非難している。

●日本の原発、再稼働できるのは3分の1? 海外メディアが課題を分析
         ニュースフィア 2014年4月4日
 1日、福島第一原発周辺の避難指示が一部解除された。事故後3年、いまだ9万8000人いるとされる避難者のうち、対象者はわずか117世帯約350人に過ぎないが、進展ではあると各紙は報じている。

 ただしディプロマット誌は、その住民たちも帰宅に際し、放射線を不安視していると指摘する。国内報道では、避難指示解除に伴う東電からの補償金打ち切りについても言及されている。

【いまだ止まぬ不安】
 折しも、青森県下北半島で建設中の大間原発に対し、対岸30km圏内に入る函館市が建設差し止め訴訟を起こしている。3月の東京新聞による世論調査では、69%が、即時ないし時間をかけての原発全廃を望んでいた。

 しかし各紙とも、安倍政権はなおも原発再稼働を推進していると報じている。原発停止により化石燃料の輸入が増大し、温室効果ガス削減や貿易収支、電力会社の経営の上で、障害になっているためだ。「核の潜在的抑止力」の観点から推進する声も、一部政治家の間で根強い。

【各原発の課題】
 再稼働に際し地元を説得するためには、ロイターの表現によれば「地震学的、経済的、物流的、政治的なハードル」をクリアしなければならず、そのために安全基準は従来より厳しくなった。その結果、ロイターの分析では、福島第一原発以外の48原子炉のうち、少なければ3分の1、多くて3分の2しか、再稼働は不可能だろうというのだ。

 分析によると、14炉はおそらくいずれ再稼働され、17は不確実、17は無理だろうとのことである。

 例えば、福島第一の避難区域内でもある福島第二や、活断層の直上と疑われている福井県の敦賀原発などは、「再び火が灯ることは非常に考えにくい」。愛媛県の伊方原発1号機など12炉は、今後5年以内に40年の標準的耐用年数に達する。新潟県の柏崎刈羽原発などは、技術的にはともかく、県の反対が強い。静岡県の浜岡原発は、ある地震学者によれば、4つの主要プレートが会合する位置にある「国内で最も危険な核施設」であるという。

 また朝日新聞の調査では、16原発のうち10について、半径30kmを完全にカバーする避難計画がないことがわかった。


【「ベースロード電源」には足りず】
 そうなると、福島事故前は日本の電力の30%を供給し、さらに拡大中であった原子力発電は、全体の10%以下にしかならなくなる可能性があるという。政府は原子力発電を、安定して定常的需要を満たす「ベースロード電源」と位置付ける考えだが、これではその役を果たしそうにない。

 今週政府の原子力委員会の副委員長を辞任した鈴木達治郎氏によると、政府は「古い原子炉を、より安全な新しい原子炉と交換する方が良い」として、新炉建設を推進するだろうという。

【なぜ川内?】
 ロイターによると現在、8電力会社が再稼働に向けて、10発電所にある17炉の安全審査を原子力規制庁に要求している。同庁はこのうち、鹿児島県・川内原発の2炉を優先審査すると表明した。

 ある専門家はこれを、「一番地元の支持があり、かつ政治活動の中心からはまだ遠い、一番近代的・先進的な所で再稼働をやるという政府は、信じがたいほど狡猾だと思います」と評している。ロイターは、再稼働を支持する地元自治体は「雇用や政府補助金の形で地域社会にもたらされる富」を求めているのだと書いている。

●ドラマ・企業攻防】関電2原発 優先審査入りできず 強い自負で規制委に抵抗
         産経 2014.4.13
 昨年7月に始まった原子力規制委員会の安全審査が新局面を迎えている。3月中旬、九州電力の川内原子力発電所(鹿児島県)が「優先審査」の対象に選ばれ、6月末にも審査合格する見通しとなる一方、関西電力の大飯原発と高浜原発(ともに福井県)は外された。
「関電は規制委の意向を素直に受け入れず、反感を買ったため」(業界関係者)とされるが、規制委を“敵”に回してまで自らの主張にこだわった最大の理由は、他電力に対する責任感だった。

 突出して高い依存度
 「今、原発は批判されることも多いですが、資源小国の日本には必要なんです」

 関電原子力事業本部の中堅幹部は熱く語る。

 関電の保有原発は福井県に3原発11基。東京電力福島第1原発事故前の平成22年度、関電の全発電量に占める原発の割合は50・9%と、電力各社の中でも突出して原発依存度が高く、テレビCMでも「関西の電気の約半分は原子力」とPRしていたほどだ。

 原発17基を保有していた東電が福島第1原発の全6基を廃炉したことで、関電社員には「原発を引っ張っていけるのは俺たちだ」という強い自負が芽生えていた。

 だが安全審査では、大飯の陸側に1つ、海側に2つある計3つの断層の動きをめぐって、規制委と関電の見解は終始、平行線をたどった。

 規制委は「3つの断層は同時に動くものとして基準地震動(最大規模の地震の揺れ)を考えるべきだ」と主張。これに対し、関電は「海と陸の断層距離は離れており、3連動の可能性は低い」と反論し続けた。

 関電がここまで抵抗したのは、規制委の島崎邦彦委員長代理の口ぶりが曖昧だったためだ。

曖昧さを“誤解”
 「決定的なエビデンス(証拠)ではない」「まだ気になっている」「関西電力さんの見識による」…。

 島崎氏はこんな表現で、関電が示すデータを門前払いしてきた。婉曲な口ぶりを、判断が揺れつつあるためだと考えた原子力事業本部の担当者は「もう少しで納得してもらえそうや」と審査会合では熱を入れて説明した。

 だが、島崎氏は常にのらりくらりとかわした。最終的に関電は、「3連動しないことを100%証明できない」と根負けした。3連動の受け入れに伴って、大飯の基準地震動を従来の700ガル(ガルは揺れの強さを表す単位)から759ガルへ引き上げた。

震源の深さに関しても双方の溝は埋まらなかった。

 関電は、大飯の周辺について最も浅い震源は4キロが妥当と説明。しかし、規制委は「3キロが妥当」と、より浅く見積もって検討するよう求めた。

 震源が浅いほど大きな揺れが伝わりやすく、より大きな揺れの想定を要求される。基準地震動をさらに引き上げれば、配管などの補強工事が必要となり、再稼働が大幅に遅れる可能性も出てくる。

 島崎氏は「僕が3キロじゃないかと思っているものを否定してくれればいい。データを示してくれれば納得する」と提案した。関電は必死にデータを示し続けたが、島崎氏は最後まで首を縦に振らなかった。

 審査会合は、立証責任をすべて電力会社が負う仕組みだが、完璧に証明するのは不可能に近い。結局、関電は3月12日に3・3キロに見直したが、規制委は判断を保留した。

しかし、九電の思い切った判断で、基準地震動のハードルは大きく跳ね上がった。
審査中の各社の原発は新鋭機ばかりだが、「(未申請の)古い原発の合格はほぼ不可能となり、巨額の補強工事が必要になる」(大手電力幹部)との恨み節もささやかれる。


 関電は、八木誠社長が業界団体である電気事業連合会の会長を引き受けていることもあり、「他社に迷惑を掛ける判断は軽々しくできない」という意識が働いたようだ。

 3月末、関電の幹部は悔しさをにじませながら、こうつぶやいた。

 「結局、規制委の主観を丸のみしなければ前に進めない。これが本当に科学的議論といえるのか」

 だが、優先審査入りできず「反省すべき点はある」(関電幹部)のも事実だ。一日も早く審査を終えるため、関電には、規制委の顔を立てる“腹芸”も求められそうだ。(藤原章裕)

●昨年度の原発利用率、2・3%で過去最低に
      読売 2014年04月14日
 電気事業連合会は14日、2013年度の国内の原子力発電所の利用率が2・3%で、これまでで最も低かったと発表した。

 13年度は関西電力大飯原発(福井県)が昨年9月に定期検査で止まるまで約半年間稼働したが、その後は原発ゼロの状態が続いている。原発の利用率が最低を更新するのは3年連続となる。

 発電量の内訳は、原発が前年度比41・6%減の93・0億キロ・ワット時で、約40年ぶりの低い水準だった。火力発電は0・9%増の6730・1億キロ・ワット時で、3年連続で最高を更新した。火力発電の燃料に使う石炭や液化天然ガス(LNG)の消費量も増え、石炭は5992・9万トン、LNGは5609・0万トンで、ともに1年間の消費量としては最大だった。

 利用率は発電量を基に算出し、発電時間で計算する稼働率よりも発電所の使用状況を詳しく表す傾向がある。

 電力10社が13年度に自ら発電したり、他社から買い取った電力量(速報値)は、前年度比0・1%減の9229・0億キロ・ワット時となり、3年連続で減った。9月の気温が低く冷房需要が減ったが、冬場の冷え込みで暖房需要が増えた結果、ほぼ横ばいとなった。

●作業員死亡事故でわかった 福島第一原発救急態勢の欠陥
        〈週刊朝日〉-朝日新聞出版|dot.(ドット) by ジャーナリスト・桐島瞬 (更新 2014/4/14 07:00)   ※週刊朝日  2014年4月18日号
 福島第一原発の作業員の死亡事故がまた、発生した。作業員の命を守る態勢は整っているのだろうか。ジャーナリストの桐島瞬氏が実態を探った。

*  *  *
 原発事故後、作業員として7人目の犠牲者となったのは、東双不動産管理の下請け会社で働いていたAさん(55)。悲劇が起きたのは3月28日だった。原子炉5号機近くにある固体廃棄物貯蔵庫の復旧工事に伴い、作業班は地中に約1.7メートルの穴を掘り、基礎部分を剥がす工事をしていた。Aさんが解体作業をしていたところ、頭上のコンクリートが直撃し、下敷きになってしまったのだ。

 同僚によってすぐに救出され、構内の救急医療室(ER)に運ばれたが、東電の対応の遅れが指摘されたのは、ここからだ。第一原発の作業員が説明する。

「災害が起きたのは午後2時20分。東電はその11分後に対策本部、25分後には警察へ連絡しています。ですが、救急車を要請したのは42分後となる3時2分だったのです。なぜ、こんなに遅れたのでしょうか」

 このときは偶然、付近を警戒していた救急車が13分後に駆けつけた。だが、通常ならそんな短時間では来ない。

「第一原発から救急搬送の要請があった場合、原発事故前なら富岡消防署から10分以内で到着しました。ですが、現在はいちばん近くても20キロ離れた楢葉分署から出動することになるので、早くても20分はかかります」(双葉地方広域市町村圏組合消防本部)

 さらに、患者を乗せた救急車が63キロ離れたいわき市の総合病院に到着するまで1時間以上はかかる。

 今回の事故では、搬送先の病院の医師が作業員の死亡を確認したのは、午後5時半近かった。事故発生からすでに3時間も経過。

 これでは一刻を争う事態の場合、命取りになりかねない。だが、東電には救急車の要請が遅れたとの認識はないようだ。

「第一原発内には救急病院と同様の対応ができるぐらいのERがあり、24時間、医師が常駐しています。今回も応急処置を施した上で搬送するための判断を行ったので、遅くなったとは思っていません」(東電広報部)

 負傷するなどした作業員への不備と思われる東電の対応は今回だけではない。

 一昨年8月には休憩中に心筋梗塞を起こした作業員が同僚の救命措置で一度は蘇生したものの、またすぐに容体が悪化。構内の医師もなかなか現場に到着せず、休憩所で命を落とした。

 その1週間後には作業員が手足を骨折する事故が起きた。このときは東電の担当者と30分近く連絡が取れず、病院への搬送が遅れた。

 双方ともいち早く病院へ搬送すべきと思われる事例だが、当時も東電は「対応に問題はなかった」と答えている。こうした対応に作業員は不安を募らせる。

「もし自分が作業中にけがをして、救急車を呼ぶのが遅れたために万が一のことがあったらと考えると、とても怖い。作業員の命を軽視しているとしか思えず、安心して働けません」

●高濃度汚染水203トン誤送 福島第一原発
        日テレ  2014年4月14日
 東京電力は14日、福島第一原発で本来、汚染水を入れない建物に、誤って約203トンの高濃度の汚染水を移送していたと発表した。

 誤って汚染水が移送されたのは、4号機南側にある廃棄物の処理施設が集まっているエリアで、4つある建物のうち、1つの建物の地下に原子炉を冷却した後の汚染水203トンがたまっていた。誤った移送は今月10日頃から続いていたとみられ、建物内にある通常は使用していない仮設のポンプが動いていたのが原因としているが、この建物は通常、人の出入りがなく、東電が原因を調べている。

 外部への汚染水漏れはないとしている。

●市民委が政策大綱 「原発ゼロへ新法制定を」
         東京 2014年4月13日
 脱原発を掲げる大学教授や弁護士らでつくる「原子力市民委員会」(座長・舩橋(ふなばし)晴俊法政大教授)は十二日、東京都内で記者会見し、原発のない社会を実現するための政策をまとめた「脱原子力政策大綱」を発表した。安倍政権は原発推進路線を明確にしたエネルギー基本計画を十一日に閣議決定したが、大綱はその対案。原発を使い続けることは「倫理的に許されない」と訴え、基本計画の撤回を求めた。

 大綱は冒頭で、原発について「過酷事故を起こした場合の被害規模が大き過ぎ、復旧も長期にわたり不可能」と指摘。原発ゼロ社会を目指すよう主張した。

 大綱は脱原発実現に向け、新たに必要となる法律や行政機関を具体的に提案したのが特徴だ。原発推進を前提とした原子力基本法やエネルギー政策基本法は廃止。「脱原子力基本法」のほか、再生可能エネルギーの利用拡大を促す「エネルギー転換基本法」の制定を掲げた。
 東京電力福島第一原発の廃炉や汚染水対策では、東電の社内分社化で四月に発足した「廃炉推進カンパニー」と、政府の原子力損害賠償支援機構を統合した「福島第一原発処理公社」が担うよう提案した。

 記者会見では、政府が決定したエネルギー基本計画を批判する声も上がった。吉岡斉(ひとし)九州大教授は「なぜ原発を続けるのか。無責任なレトリック(修辞法)でごまかそうとしており、とんでもないことだ」と語った。

 市民委員会は、原発のない社会の実現を望む市民の声を反映した政策をつくるため、昨年四月に発足。全国各地で計十六回、延べ千人が参加する意見交換会を開き、大綱をまとめた。

 大綱はA4判、二三七ページ。問い合わせは市民委員会事務局=電03(3358)7064=へ。
 
◇原子力市民委員会のメンバーは次の皆さん(敬称略)
 ▽座長 舩橋晴俊(法政大教授)▽座長代理 吉岡斉(九州大教授)▽委員 荒木田岳(福島大准教授)井野博満(東京大名誉教授)大島堅一(立命館大教授)大沼淳一(元愛知県環境調査センター主任研究員)海渡雄一(弁護士)後藤政志(元東芝原発設計技術者)島薗進(上智大教授)満田夏花(国際環境NGO FoE JAPAN理事)武藤類子(福島原発告訴団長)

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