曽我部絵日記

曽我部昌史の写真絵日記

実施コンペ公開ヒアリング×2

2008-05-22 | インポート

5月10日(土)

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くまもとアートポリスで熊本駅西口駅前広場のコンペがあって、その公開ヒアリング(2次審査)。

さすがに駅前だけあって、注目度が高い。この日の熊本日日新聞朝刊一面最大面積。こんなこと、初めてじゃないかなあ。

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テレビも来ていた。結果はニュースでも報道されていたとか。「審査員席に座ってる姿がテレビに映ってました」って連絡まできた。こんなことも、アートポリスに関わるようになったから初めてのことだなあ。

結果は佐藤光彦案の圧勝。これまで東口側しか開かれていなかったわけなので、新幹線の開通にともなって新設される西口はいってみれば裏側(裏というと地方ではマイナスイメージがあるらしいけれど、そういうことじゃない、ね。裏~~で成功しているのは、そういう特徴をうまく力として活用しているもの)。そういう独特なロケーションを積極的に生かしたアイデア、難しい周辺環境の中での存在感に対しての説得力、駅前広場が引き受ける具体的なアクティビティに対する建築的対応、構造やディテールに対する検討など、だれもが不安感を抱かず、かつ、新しい広場への期待が高まるものだった。プレゼンもうまい。さすが。

それにしても、末廣さんが推していたのが、研究室の後輩の作品だったのには驚いた。とある飲み会で、こういうコンペでは、近い教育(経験)を受けている人が残っていることが多くなる、っていうような話をしてたら、すごく近い教育を受けてる人(割と有名な建築家)が、いつも出してるけどいつも残らない、って言っていた。まあ、そういうこともある。


5月11日(日)

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審査の後、打ち合わせ+懇親会で熊本泊。翌日、帰りの飛行機に乗るとき、空港のボーディング・ブリッジに、八代の博物館の写真が飾ってあった。懐かしくて、ちょっとうれしい(伊東事務所での担当作品。あのときぼくは、住民票的にも熊本県民だった)。

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羽田空港からBankART NYKに直行。みかんぐみ設計で改修工事が進んでいる。丁度、既存の床や階段の解体が終わりつつあるところで、ちょっと空っぽな感じ。

そこで現場見学会をやって、そのまま、現場の中でシンポジウム。異常に寒いが、司会という立場上アルコールは無し(車だし)。照明は投光器。

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ハンガートンネルは、建物の屋上に移動。きっとこの先は、ここで、ヘチマとかエンドウ豆とかゴーヤとかキーウィとかが育つに違いない(人が来るわけじゃないので、朝顔とかジャスミンとかじゃないと思う)。



5月17日(土)

間のウィークデーに誕生日を挟んで(事務所と大学とでお祝いしてもらった。どうもありがとう。どっちもイチゴのケーキ。そういうイメージなんだな。46になりました)、今週末も公開審査。大学での新入生歓迎の会(ジュースで乾杯)を最初の30分だけ出席して、そそくさと伊那へ出発。


5月18日(日)

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朝、審査の前に、ほぼ竣工している伊那の小学校に。教室は既に使われ始めている。

ガラスの衝突防止用に、加藤朋子さんデザインの「ジャンケンマーク」のシールが張ってあるんだけれど、2年生のゾーンに張ってあった手書きの壁新聞には、「…こんど、それとたいけつしてみたいとおもいます」って書いてあった。ほほえましい。

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どの教室にも、子どもたちの絵が並んでいた。担任の先生がそれぞれテーマを決めているみたいで、桜の木がずらーっと並んでたりする。

このクラスのテーマは重機。ちょうど、既存校舎の解体中で、大小さまざまな重機がある。図書室の窓から、ずっと重機を見ている子もいるらしい。楽しいだろうなあ。

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仮設の連絡通路。既存の解体が終わって、新しいのができるまではこれ。こういうのを見ると、なんでも川俣さんに見える(すいません)。

どんな建物になったのか、ってことについては、新しい連絡通路ができて、解体後の周辺の修景が終わって、遊具の移設などが終わったら公表します。秋くらいかな。

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で、澄心寺庫裏のコンペの公開2次審査。法堂(ハットウ)の仏様の前にスクリーンをたてて審査会。

オーディエンスの多くは、檀家の皆様。建物はこの写真の正面左手にできる。庫裏って要は住宅なんだけれど、みんな、ものすごいエネルギーのプレゼンテーション。どれができても意義深い。

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庫裏から西側を臨む風景。気持ちがいい景色。しかし、厳しい冬もまっている。そういうことに対応しながら、これからのお寺が引き受けるべき公共性への意識も問われる。


ヒアリングを終えて、実際にこの建物を使うことになる人たちも審査に加わり、意見交換。最終的には、宮本佳明案と小川次郎案の二つにしぼられ、さらに議論。まったく方向性の異なる案だったこともあって、こういう多様な判断基準が混在する建築の審査では、かなり悩む。最終的には建物を使う人たちの気持ちも強く反映された判断となった。

最優秀(とは言わないで、第一優先交渉者、って呼ぶらしい)は、宮本佳明さんのコンクリート製の100年保つ巨大屋根案。これまでの寺が引き受けてきた性格を、今日の状況に翻訳して、さらに将来につなげようという物語。いろいろな関わりが建築を変えていくようなものになりそう。プロジェクトの進捗がかなり楽しみ。そういえば、宮本さんのプレゼンも絶妙だった。勉強になるなあ。

ということで、気が重くも結構楽しく、とても勉強になるコンペの審査会ですが、二週連続っていうのは初めての体験。こんどは自分が出す側で頑張らなくちゃ。


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