曽我部絵日記

曽我部昌史の写真絵日記

兵庫県加西市

2006-06-23 | インポート

6月16日(金曜)



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田んぼがとてもきれい。


兵庫県の加西市に行く。
巨大な雨雲が東京に向かってきていたので、前日の最終の新幹線で大阪まで入っておいた。そのため、予定より早く加西市に到着(新幹線は止まってたようだから正解だったみたい)。加西(北条町駅)までは新大阪から高速バスで1時間ちょっと。高速道路を降りると、田植え直後の美しい風景が広がっている。
午前中のうちに到着したので、まずは、北条町駅周辺で情報収集。古い寺社建築とか古代の石仏とかウダツの町並みとか、いろいろな名所に恵まれた長い歴史をもった街みたい(その他にも、近々移転予定のサンヨー創業地があったり、海軍鶉野飛行場跡っていう細長い空地とかもある)。




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田んぼと林の中を走り抜ける。ため池も多い(高松よりも多いと思う)。ちょっとした幻想のような風景。


待ち合わせの時間まで少し余裕があったので、北条鉄道に乗ってみることにした。全8駅の単線で、走っているのは1両編成。両端の駅以外は全て無人駅だ。
車両の先頭を陣取って観察+写真撮影。ほとんど乗り物系おたくだな。割とスピードは速くて、田んぼと林の中を不似合いなスピードで走り抜けていく。先頭で見ているせいか、浮世離れした雰囲気が広がる。あまり起伏が無いので自転車で走っても気楽で楽しいだろうなあ。
あっという間に終着駅の粟生(あお)に到着。ここで、ゼミの学生・滝沢くんと合流して、北条町駅へ引き返す。



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名物「どろ焼き」。ちょっと腰の強いのもんじゃを、スプーンですくってダシにつけて食べるというようなもの(実物の写真もとったんだけど、ちょっとグロいので掲載自粛)。



駅前で名物「どろ焼き」というのを食べたあと、市役所の人につれられて市役所へ。市長にいろいろな話を伺う。
中川加西市市長は、某超大手ゼネコンの開発部でいろいろな大規模開発に携わっていた人。やり手だったに違いない。その頃のノウハウなども生かしつつ、市の運営をドラスティックに改革しようとしているらしいのだけれど、その発案のひとつひとつがおもしろい。役所の人というよりは、起業家的な感じ。
市の特徴的な場所などについて一通りの説明を受けた後、夕食をとりながら意見交換をすることを約束して、街へ。


秘書課の人の運転で市内をくまなく探索。黒塗りの公用車だったんだけれど、そこから怪しい坊主頭と若者が降りては写真を撮って立ち去るわけだから、事情を知らない人にとっては、結構、怖い風景だっただろう(事情なんて、当然、誰も知らないわけだが)。



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播磨横田駅。雑木林の中に駅をつくったわけではなくて、ホームの上だけが雑木林化している。



興味深い場所がたくさんあったんだけれど、その中でも北条鉄道での体験は、とても楽しいものだった(他にも新しい体験はいろいろあったんだけれど、ここで全部触れるのはちょっと無理)。


北条町駅側から順番に南に下っていったのだけれど、はじめの駅が播磨横田駅。ここはホームの上が雑木林化している。周りは水田だから、駅だけジャングルみたいな感じ。
百年くらい前にできた鉄道だっていうことだから、駅ができたばかりの頃に軽い気持ちで植えた植え込みが、ものすごく育っちゃった、っていうことだろう。



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長駅。手書き看板。この手作り感、駅に対する思いにあふれてる。ただきれいなだけのサインじゃ、こうはいかない。


北条鉄道では、新社長(=市長)の発案で、無人駅の駅長を公募したのだそうだ。給料は無いけれど毎日通勤する必要もない。制服は支給され、北条鉄道は乗り放題。なによりも、駅の活用方法を企画し実行したりできるらしい。
ぼくもどっかの駅長やってみたいなんて思ったが、それはともかく、既にいろいろなタイプの人が応募していて、それぞれの駅長さんのアイデアをもとに、個性あふれる、かつ自分たちの手で作り上げる駅となる、っていうわけだ。
北条鉄道には駅舎のない駅もあるんだけど、駅舎はなくても駅長はいて、その駅を愛着をもってプロデュースする。ウマい手だ。で、次の駅は長(おさ)駅なのだけれど、長駅の駅長は長駅長(上から読んでも下から読んでも・・・市長談)。



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法華口駅の待合室は自転車のための場所。この自然な感じの並び方が、自転車が人格をもっているかのような雰囲気をつくっているのかも。


長駅を離れ、巨大なシンボルツリーの播磨下里駅(立地の雰囲気はぴか一)を経て、その次が法華口駅。ここは特におもしろい駅だった。
ここは駅舎のある駅なのだけれど、まずびっくりしたのが、駅の待合室部分が駐輪場化していること。自転車が放置された廃墟っていう感じではなくて、人格をもった自転車が休憩している感じ。

そしてホームに出てみると、花壇が一列に並んでいる。ここの花壇は地域の人たちによる責任監修方式。みかんぐみの作品「音符の庭」と同じコンセプトだ。枕木で囲まれた1メートル角くらいのスペースが一人分で、ひとつひとつ表札(?)がついている。10ロットくらいあるんだけれど、それぞれ特徴があるだけでなく、例外無く全部きちんと管理されている。

最後にとどめをさしたのが、たまたまやってきた電車を下車した高校生二人の帰宅ルート。
電車を降りるなり、当然のようにホームから線路に飛び降りて、線路を歩いている。まるで、スタンド・バイ・ミーだ。途中、線路とあぜ道の交差点を右折していった。


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ネームプレート付きの花壇。イングリッシュガーデン風もあれば、キャラクターグッズ系もある。

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線路を歩いて帰る高校生二人。



田原駅にはベンチに囲まれたベンチがあったり、網引駅にはものすごい巨木があったりと、何気ない風景の中に、ちょっと楽しいところがちりばめられている。こういう楽しさって、絶妙な自由度と、関わる人みんなのちょっとした気配りや知恵で成り立っているのだと思う。その結果、場所や環境の生かし方というか見立ての技術としては、かなり高度なものになっている。見た目のゆるさとは裏腹だ。
普段、東京で利用しているような、スペック重視型な判断基準でつくられた鉄道駅では、絶対に得られることのない楽しさ。こういう環境って、とても贅沢だ。
画一化したものをうらやましがるよりも、そこにしかない特徴の生かし方を考える方が、いろいろな水準でずっとしあわせになれるんじゃないかと思う。周りの田んぼも、信じられないくらいに美しいし(関係ないか)。


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ベンチに囲まれたベンチ。

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これだけ大きな木があれば、ホームに屋根はいらない?かも。





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市長と記念撮影。
かなり飲んだ後なので、酔っぱらってます。


夕方には宿について、温泉につかって、マッサージチェア(地元サンヨー製。無料で使える)を堪能してから、市長と晩ご飯。
市長が内緒で持ち込んだお酒(米も水も加西産。醸造元も加西市内)や紫黒米入りのご飯などはとてもおいしかったし、みんなで部屋で見た北条鉄道のテレビ番組(バラエティ系)もおもしろかった。そして何より、話がいろいろと盛り上がって、とにかく楽しかった。
この市長は、今日的な社会状況への理解が深い上に、発想も革新的。実現を躊躇しない実行力もありそう。
これからの加西市、ひょっとすると、ひょっとするかも。





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1 コメント

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あー、もうお金もない、力学がわからない、先生は... (kazumi)
2006-06-24 23:57:39
あー、もうお金もない、力学がわからない、先生はいらっしゃらない
ちょっとでよいのでたすけてくださいまし
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