曽我部絵日記

曽我部昌史の写真絵日記

Project the Projectors 2007

2007-01-30 | インポート

えっと、まずはじめに、新年早々更新が滞ってました。すいません。
次に、前回のブログで、浅井くんの名前を間違えてました。ほんとーにすいません。淺井裕介が正解です。前のは、淺も裕も間違ってました。淺井くんは今、取り壊しの決まった 阿佐ヶ谷の団地 (前川国男設計) で製作中です。


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グリーン車付きの常磐線。

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巨大な靴箱と、その前に並ぶ大量の靴。

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空っぽの部屋。

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吹き抜けの一部に床をつくって、部屋がしつらえられている。

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沖に出た佐藤くん(中央やや下)。イナバウアのポーズで。

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これがその船。表面は牛脂?か何かでべたべたしてる。

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真っ暗な部屋に羽毛。

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箱の中の風景

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ヒデハルの電車。


1月27日


久しぶりに取手。東京芸大先端芸術表現科の卒業・修了制作展を見るため。去年の3月まで教えていた教えていたわけで、当時の僕のゼミの卒業生も数名いる。風邪だったんだけれど、やっぱ行かないと。

常磐線にグリーン車がついていて、上野駅でびっくり。しかも試行期間だとかで普通料金で乗っていいらしい。ちょっとだけラッキー。ちょっと行かない間に変わるもんだなあ。
と、思ったら、それ以外は全く変わってなくて、取手駅前の独特の空気感も相変わらず。まあ、当たり前だな。
タクシーでメディア教育棟前に直行したら、川に向かう直前の佐藤大祐くん (ぼくのゼミだった修士) とちょうど出会う。2時からの回に間に合ったみたいだ (詳細は後で)。


建物に入ると受付には志甫和美さん(ぼくのゼミだった学部生。詳細は後で)。で、その前に巨大な靴箱。床に並べてある靴を一つ選んで棚に戻し、その場所に立って自分の足形をチョークで描く、ということを求められる。松田壯統くん (学部) の作品で、靴は全部1000くらいあって、会期が終わったらそこに立った人たち全員を重ねた写真にするんだそうな。現代の千人仏ということらしい。いきなり仏になっちゃったよ。
受付で作品集を買って、というか買わされて (今年は見本帳形式にまとめられたカード式作品集。箱入り)、他の作品をみつつ5階へ。

作品マップによると、笹原晃平くん (ぼくのゼミだった4年生) の作品はもとの僕の部屋だったところにあるらしい。現在、この部屋は写真家の鈴木理策さんの研究室になっていて、いま、彼は理策さんのゼミ。研究室は変わったのに部屋は変わらなかった、ってわけだ。
で、この部屋に入ったら中はからっぽ。何も無い。どれが作品かって思って窓の下を探してみたけど、特に気になるものはない。で、部屋を出ようかと振り返ったら、廊下の向こうに何だか記憶にない風景。普通なら廊下を挟んで反対側に、下の階の吹き抜けがあるのだけれど、その吹き抜けの一部に床を張って研究室のようになっている。ここには天井扇がついていて、それを利用した変わった部屋のインスタレーションか、と思ったら、そうじゃなくて、ものの移動をテーマにしたものらしい。研究室にあったものを、この、臨時の部屋に移したってわけだ。元の状況を知らない人がみたら、 「あら、ここは空いてる部屋ね。で、こっちには小さな研究室もあるのね」 って、まったく何の異常もない感じないだろうなあ。
隣の荒神明香さん (学部) の作品 (天井からぶら下げられたグラフィックによって、空中に擬似的な水平線が生まれる、というもの。写真取り損ねた。っていうか、ちょっとはばかられた) を経て4階へ。

佐藤くんの作品は、手製の船で利根川に出る、というもの。薄いベニヤ板と紙でできた船。手漕ぎで沖にでる様子を、建物のテラスから眺めているわけだけれど、一回目はいきなり木陰に隠れていつの間にか終わってた。二回目のチャレンジで何とか沖に。トランシーバでやり取りをしながら進むのだけれど、なんか、気負いがないっていうか、軽?いやり取り。この間、日比野克彦さんに彼の作品のことを聞いたら、トランシーバでしか講評ができないってのが戦略かも、っていっていたのを思い出した。

4階のその他の作品を経て、3階へ。今度は志甫和美さん (ぼくのゼミだった4年生) のインスタレーション。廊下に羽が散らばっている。部屋に入ると真っ暗な中に真っ黒い箱が置いてある。そこまでの道が羽で演出されてて、六角形の箱に頭を入れてのぞくと、反射で大量に増えた千手観音。佐藤くんとうってかわって、おもーい演出。さて、と振り返ると、出口周りには映像。これまでkazumiさんは、少し個人的な批評性とちょっと新しい表現方法へのチャレンジの組み合わせが特徴的だなあと思ってたんだけど、今回は、少し情緒的な演出を試みたスタイル。ものを組み合わせるっていうやりかた (羽毛と鏡の箱と映像) は、はじめての試みなんじゃないか?。批評性の少し個人的な感じ (つまり、ベタな社会性と心中してない) は相変わらず特徴的。
田中秀春くん (学部) の電車を経て、美術館へ。ヒデハルはぼくがいた頃から原寸の電車をつくるって言い張ってたけど、初志貫徹したようだ。

今回の卒展は、はじめに見たメディア教育棟と大学美術館と取手駅前のカタクラ (ショッピングセンター) の3カ所に分散されている。これまでは、学外 (都内の廃校とか、横浜のBankART NYKとか、現ZAIMとか、大学から離れた、ふる?い建物を使うことが多かった) 中心だったんだけど、今度は取手。この学科は、体制的なというか制度的な仕組みに対して疑問をもつことが表現の基本にあるような感じがあって、学外での卒展というのも、その雰囲気と無関係ではなかったわけだけれど、そもそも、そういう構造が、大学という枠組みの中に存在しているという矛盾が一番おもしろいところなわけで、それが一回裏返って取手に戻ってくる、っていうのも、まあ、必然だったんだろうな。

美術館では遠藤祐輔くん (ぼくのゼミだった4年生) の写真 (取手鳥で砦撮り・・あれなんだっけ。そういうダジャレ系タイトル。まあ、ともかく、取手を主題にした複数の写真を組み合わせた作品。一年前に、それまでの写真をフィルムもデータも全部葬り去るっていうプロジェクトをやったので、まちがいなく、ここ最近の作品) などをみて、カタクラで福田千里さん (ぼくのゼミだった4年生) の論文作品などを確認して帰途に。

風邪をおして来たんだけれど、それなりに楽しめたし、来てなかったら後悔しただろうし、来てよかった。風邪はあきらかに悪化したけど。





浅井さんの壁画

2007-01-11 | インポート

あけましておめでとうございます。
心を入れ替え、ムラのないタイミングでコンスタントにアップしていきたいと思います。



1月5日


少しずつ仕上げが進むぼくの家。新年に入って、浅井さんの壁画制作がはじまった。
家づくりも、最終段階です。ぼくの家は(家の詳細については、あらためて紹介するとして)、
床の高さがいろいろありすぎて、「何階」っていういい方が難しいのだけれど、
上の方の階の内装は床壁天井ともに濃い茶というかほとんど黒で、下の方の階の内装は白い。
そんな中で、例外なのが西側の壁。ここだけは、上から下まで全部白くしてあって
(塗り分けの見切りが難しかったのと、上の階が全部黒いっていうのに不安もあった)、
浅井祐介さんに、その白い壁に壁画を描いてくれるようにお願いをしてあったのだ。
で、今日は、道具を置いて、鍵を渡して、軽く下見と打ち合わせ。(写真を撮り忘れた)



1月6日


さっそくスタート。いきなりの大雨。作業もいきなりはじまる。何事も最初はいきなりなものなのだなあ。
午後打ち合わせに出かけて、夜帰って来たら、浅井さんは帰った後だった。既に結構進んでいる。


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まずは一番下の予備室から。マスキングテープをはって、その上に描く。



1月7日


昼前に登場して淡々と作業を進めている。
予定よりも速いペースなんじゃないかとおもって声をかけたら、どうやらその逆。
いつもよりも時間がかかってるんだって。マジックを上向きで使っているとインクが下がって出なくなるので、
たくさん用意しておいて順番に使ってるなど、独自のノウハウを聞く。

夜は妙蓮寺駅前の居酒屋に二人で行ってみた。地鶏や馬刺を頼んだ後、
彼はどっちかっていうと魚や野菜が好きであることが判明。今度は向かいの店に行ってみるか。


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高いところには脚立で。


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大量のマジック。ナンバリングしてある。壁に描いているとインクが下がって来て、すぐに描けなくなるんだとか。



1月8日


床下収納入口横の小さな壁にも描きたい、っていっていたので、
その面の塗装をしたり、最上階壁面のTVコンセント(いろいろあって使わなくなった)を
外して穴埋めして塗装したりしているうちに登場。
途中で声をかけにいったら、調子が出て来たようで、自然に描けるようになってきたと言っていた。

ぼくも、屋上で手すりをつけたり(ウリン材の手すり。余材を水に入れたら本当に沈んだ。当たり前か)、
側溝に入ってしまう土を土のう袋に詰めたり、順調に日曜大工。


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調子が出て来たところ。



1月9日


植栽の計画で相談に乗ってくれることになって、ランドスケープデザイナーの山崎誠子さんが来てくれた。
浅井さんを紹介しようと描いている部屋に案内すると、絵を見てさっそく
「マダガスカルの○○と△△を組み合わせたのと・・・」って、架空の植物の素性が勝手に解説される。

絵の方もレイアウトを変えたりしながら、どんどん増える。予想以上の密度。どうなるんだろうなあ。
植栽もたのしみ(こちらは移植ができる気候になる3月までおあづけ)。


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だんだんできてきた。「テープが追加されているところは?」って聞いたら、「動物を描くことになるのかなあ、枝かなあ」って。もう一人別の浅井さんに描かされているみたいなかんじなんだな。きっと。


ということで、絵はまだまだおわりません。何しろ、この予備室にはじまって、
玄関とか、居間とか、洗面室とか、屋上テラスとか上に続いているので。
最後に対象となっている面の展開図を載せておきます。


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展開図



*** お知らせ ***


『別冊みかんぐみ2』 (エクスナレッジ) というみかんぐみの作品集の発売にあたって、
みかんぐみメンバー全員でトークショーを行います。ご参加お待ちしています!


イベントタイトル: 『別冊みかんぐみ2』 刊行記念トークショー
加茂紀和子×曽我部昌史×竹内昌義×マニュエル・タルディッツ



■2007年1月26日(金) 19:00~21:00 (開場18:30~)
■会場: 青山ブックセンター本店内・A空間
■定員: 70名様
■入場料: 800円(税込)  電話予約の上、当日ご清算
■電話予約&お問い合わせ電話: 青山ブックセンター本店・03-5485-5511 (10:00~22:00)