ALL FLOWERS IN TIME(FM COCOLO) #4

2011年02月28日 | 佐野元春 Radio Days

■ALL FLOWERS IN TIME #4
2011年2月26日(土) FM COCOLO 19:00 - 20:00
http://www.cocolo.co.jp/contpgm2/w_main.php?oya_id=278
出演: 佐野元春

Play List
1 C'mon / 佐野元春
2 ガラスのジェネレーション / 佐野元春
3 約束の橋 / 佐野元春
4 ジャスミンガール / 佐野元春
5 君の魂 大事な魂 / 佐野元春
6 クエスチョンズ / 佐野元春
7 Tonight / 佐野元春
8 レインガール / 佐野元春
9 ダウンタウンボーイ / 佐野元春
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■内容の一部を抜粋
2010年春からFM802の支援を受けているFM COCOLOは"WHOLE EARTH STATION"をキャッチ・フレーズにして四十五歳以上の世代を対象にした大人のためのラジオ局として生まれ変わった。土曜日午後7時からのこの枠は月代わりでミュージシャンがDJを担当する。今月二月は佐野元春をフィーチャー。

全四回放送の最終回。今週のテーマは「30 YEARS」。

・C'mon
セルフ・カヴァー・アルバム『月と専制君主』から。

Q1 佐野さんにとってのロック感は、この三十年の中で何か変化がありましたか?
元春: 僕は、そうですね、多感な頃にラジオからロック音楽を聴いて、あっこれはいいなぁと思い、もし自分で詩や曲を作る才能があるんだったら、作ってみたいと思い、楽器を買い、そして演奏を身につけ、やがて例えばディランとかそうした欧米のソングライターたちのように、自分で詩や曲を書いてみたいなということで、ソングライティングをはじめました。それ以来音楽に向かい合う自分の姿勢というものは、たぶん変わってないんじゃないかなと思います。

Q2 ではこの三十年の中でターニングポイントだったなぁと感じるのはいつですか?
元春: 何をターニングポイントと考えるのか、それによって違うと思いますけれども、創作の場を東京から一気にニューヨークに変えたこと、その後、ロンドンにも長く住んで、ロンドンでもソングライティングを続けたことがあります。そのように海外でクリエイティブな作業をしたということが、ひとつのターニングポイントになったんじゃないかなと思います。

Q3 たくさんの作品を作り続ける佐野さんですが、感性のアンテナはどんなふうに張っているのですか?
元春: よく詩曲を書くんですかといわれるんですけれども、ソングライターである自分というのは、作家と同じですから常に歌の題材を探していますし、普段の日常の生活の中でも、いろんなことをしながらでも言葉を探したり、メロディを浮かべたりとかしてるんです。それが当たり前の生活になっています。それがやがて曲や詩にまとまっていくということですね。

・ガラスのジェネレーション
元春: 「ガラスのジェネレーション」という曲は僕のキャリアの中でもかなり初期の曲ですね。たしか「アンジェリーナ」に続くシングル・カット・ナンバーだったと思います。よく自分が子どもの頃思っていたのは、親とかね、教師とか、いわゆる大人たちから叱られたときに、子どもである僕は言葉を持っていませんでしたから、言われっ放しで悔しいなと、なにか大人たちをギャフンといわせるような、なにか気の効いた言葉、台詞というかね、そういう一発かましてやりたいなと常に思っていたんだけれども、この「ガラスのジェネレーション」という曲の中でね、曲の最後に"つまらない大人にはなりたくない"と嘆いてるんだけれども、こういう言葉が、こういうラインが大人たちに一撃を喰らわせるんじゃないかななんて、そんなことを思いながら書いた曲です。

Q4 佐野さんがデビューした1980年当時は歌謡曲全盛だった時代。佐野元春作品はどんなふうに育っていったと実感していますか?
元春: 自分がキャリアをスタートさせたのは1980年。当時自分の音楽はさておき、メインストリームの音楽はアイドル歌手の音楽であったり、あるいは古い演歌の曲であったり、それからフォークの曲であったり。僕にとっては馴染みが薄いというか、聴いてもピンとこない曲が、いわゆるヒット・チャートを埋めていたわけですね。ですので自分がキャリアをスタートしたときにいちばん不安になったのは、僕が作るような曲を誰が聴いてくれるんだろうかということですね。いつかこのチャートに僕の曲が上がってくるような日がくるんだろうか、そういう不安がいつもありましたね。ただ仲間たちを見てみると、やっぱり僕と同じような音楽を作ってる人たちが多かったですし、やがて時代は変わってゆくんだろうなと、そんなことを思ってましたね。それまでになかった新しい言葉、それまでになかった歌い方、それまでになかったメロディ、ビート。とにかく新しいことに好奇心を持ってクリエイティブな作業をしていましたから、たぶん'80年代の僕というのはそうしたことの連続だったし、周りの人たちもそういうアーティストなんだなと見てくれていたんだと思います。'80年代に起こったことで新しいことは、それまでは作詞家がいて、作曲家がいて、編曲家がいて、また、そこにシンガーがいて、そういう共同作業で作られていたものが、僕のように自分で詩も書き曲も書き、バンドを集めて編曲も自分でして、で自分でレコードも作っちゃうという、そういう流れのいちばん最初のあたりに僕がいたのかなぁと思いますね。で、やがて僕のようなスタイルをする人たちがたくさん出て来て、それがひとつらなりになった。それは大きな力になりましたよね。そして流れになりました。そういうことが'80年代に起こった顕著な出来事なんじゃないかなと思います。

・約束の橋
元春: 「約束の橋」は'80年代後半、僕がロンドンに半年間ぐらい住んで、アパート借りてそこに住みながら、レコーディング・スタジオに通い作ったアルバム『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』、このアルバムに収録した曲ですね。リビングルーム寝転びながら、この「約束の橋」の詩を書いていたのを思い出しますね。

Q5 '80年代後半からレコードはCDに、そしてレコーディングもアナログからデジタルに変化しはじめましたが、それらが佐野さんの作品に与えた影響はありますか?
元春: 確かに'80年代、それまでのアナログのレコーディングから、そろそろデジタルなレコーディングに変わっていこうという、そういう変化はありましたね。ただレコードを作るときにいちばん大事なことは、ミュージシャンたちのよい音を、きちんとよい音で録り、そして僕はソングライターとしていい詩を書き、いい曲を書き、楽しく歌う、その曲にぴったりと合った歌い方で歌う。で、聴いてくれる人にごきげんな気持ちになってもらう。これが基本の作業ですから、レコーディングのやり方は確かに、大きくこの三十年で変わってきましたけれども、レコーディングに対する姿勢みたいなものは何も変わってないと思います。

Q6 自分の作品がレコードからCDに変わってしまうことへの抵抗というのはありましたか?
元春: 僕はアナログ・レコードで育って来た世代なので、'80年代の中盤くらいに、自分の作ったレコードが、CDサイズに小さくなったときは、ちょっと残念だなぁと思いましたね。というのは僕は多感な頃、そこに収録されてる音楽の素晴らしさだけではなく、それを包んでるパッケージですね、アートと考えてましたから、レコードというのは総合的な表現である。音だけではなく、音とかアート、言葉、それらをまとめて見せてゆくトータル・アートだと考えていたんですね。CDですとグラフィックの表現エリアがかなり狭まりますから、音とアートの関連で表現できることがかなり狭められてしまう、その点でがっかりしました。

・ジャスミンガール
元春: 自分より先輩のシンガー・ソングライター大瀧詠一さん「バチェラー・ガール」作ってますよね。山下達郎さんも「高気圧ガール」を作ってた。僕も何とかガールで曲書きたいなぁと思って書いた曲がこの「ジャスミンガール」です。

Q7 この三十年のあいだには'80年代のテクノ・サウンドや、'90年代のオルタナティヴ・ロックなど、音楽にも様々な変化がありましたが、佐野さんにとって刺激的だったものはなんですか?
元春: それは刺激と言っていいのかわかりませんけれども、'80年代においてはテクノロジーが生んだ音楽ですよね、いわゆるコンピュータを使った音楽、あるいはテクノ・サウンド。それは今までのポップ・ロック・ヒストリーにはなかったトーン、マナーのサウンドでしたから、それは新鮮に感じました。しかし自分がやろうとは思いませんでした。'90年代は特に新しいものは感じなかったです。既に僕は最初からオルタナティヴですし、最初からミクスチュアですから、僕はそうしたミクスチュア・ロック、あるいはオルタナティヴ・ロックって聞いても、あまり新鮮さは感じなかったですね。

・君の魂 大事な魂
元春: 2004年、僕は新しいレーベルを作りました。DaisyMusicレーベル。そのDaisyMusicレーベルの第一弾アルバムが『THE SUN』ですね。この『THE SUN』アルバムのリーディング・シングルとなったのがこの「君の魂 大事な魂」。言ってみればロッカバーラード的な感じですけれども、朗々とした愛の歌を歌ってみたい、世の中世知辛いですからね。なにか朗々とした愛の歌、僕のレパートリーに一曲加えたいなと思って書いた曲がこの曲です。

Q8 先月セルフ・カヴァーのアルバム『月と専制君主』をリリースしましたが、三十年目にこのアルバムを作ろうと思ったのはなぜですか?
元春: 何といっても僕のアニバーサリーということよりも、三十年間僕の音楽を支持して来てくれたファンにとっての楽しいアニバーサリー・イヤーであってほしいな、そんな気持ちがあったんですね。ですので僕もベスト・アルバムを出したり、ライヴ・コンサートもいつもとは形態の違ったものをやったり、とにかくファンに喜んでもらおうという気持ちが強かったですね。その中の一環として考えついたのがこのセルフ・カヴァー・アルバムでした。

・クエスチョンズ
セルフ・カヴァー・アルバム『月と専制君主』から。

Q9 昨年から3つの違ったスタイルでのコンサート・ツアーを展開して来た佐野さん。佐野さんにとってこのツアーはどんなものでしたか?
元春: 僕はレコード制作も大事として捉えていますけれども、それよりももっと大事に捉えてるのがこのライヴ・パフォーマンスですね。やはりレコードを作っただけでは作品は完成しない。コンサートで、バンドで披露して、自分の身体を使って演奏し歌い、それをファンに届けて、それで初めて曲というのは完成するんじゃないかなと思ってるんですね。今回30周年アニバーサリーということで、僕のライヴ表現も多様になって来てるんですけれども、パート1、2、3と分けて、それぞれ3つの違うバンドと、3つの違うパフォーマンス、これが実現できたことは本当に楽しかったですし、うれしかったです。

Q10 次のライヴは来月3月6日、大阪城ホールでの30周年アニバーサリー・ツアー・ファイナルですが、大阪という街でのライヴ。佐野さんにとってどんな思い出がありますか?
元春: 大阪という街でのライヴ。デビュー以来幾度となくね、この街でライヴをしてきました。いちばん最初にこの街で演奏したのはバーボンハウスというライヴハウス。三日間連続て演奏しました。一日目、二日目ほとんどお客いませんでしたけれども、三日目満杯になってほっとしたというね、で、何だかこの大阪の人たちに受け入れられたような、そんな気持ちになって、その次に大阪の厚生年金とか、いくつか経験を踏み、やがて大阪フェスティバルホールでコンサートができるようになった。毎回多くのオーディエンスが集まってくれて、そして僕たちの音楽に熱狂してくれた。僕は東京生まれ、東京育ちなので、大阪のことは全然わかってないですけれども、文化の違う彼らにね、本当に熱狂的に受け入れられたということは、僕にとって本当にうれしいことでした。そういうこともあって、毎回大阪のコーサートは僕も楽しみにしてるんですけれども、キャリアの中で何回か大阪城ホールでのライヴありました。今回も30周年ということで、僕の曲を多感な頃に聴いてくれた方たちから、また最近になって僕の音楽に興味を持ってくれた新しい世代まで、みんな一堂に集まってもらって、僕も心を込めてこれまでみなさんが愛してくれた曲をガンガン演奏していく、そういうオールタイムヒッツ的なライヴになってるので、大阪城というハコを借りて、目一杯僕たち演奏を楽しみたいと思うのでね、集まってくれた広い世代のみなさんも目一杯楽しんでもらいたいなと、そんなふうに思ってます。

・「ALL FLOWERS IN TIME」ファイナル公演
3月6日(日)に大阪城ホールで行われる佐野元春30周年アニバーサリー・ツアー「ALL FLOWERS IN TIME」ファイナル公演。ゲストとして伊藤銀次、スガシカオ、杉真理、堂島孝平、山下久美子、LOVE PSYCHEDELICO、スカパラホーンズ(NARGO/北原雅彦/GAMO/谷中敦)、and more...が出演。

・堂島孝平からのコメント
小学校4年生のときに「Wild Hearts」を聴いたという堂島くん。
「僕にとって佐野さんは、初めて日本の音楽ってかっこいいなと思わせてくれた方で、初めてコンサートを見たミュージシャンも佐野さんです。日本のアイドル、ヒーローが佐野さん」と堂島くん。
最近、コヨーテバンドとのライヴを見たけれど、大阪城ホールではホーボーキングバンドと一緒にやれるのが楽しみだと話した。

・レインガール
セルフ・カヴァー・アルバム『月と専制君主』から。

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2 コメント

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大阪城ホール公演いよいよですね! (korokoro)
2011-03-01 02:16:11
どいさん、こんばんは。

1ヵ月に渡っての特集充実していましたね。

今回のテーマは「30YEARS」。

これまでの活動を振り返る選曲とインタビューで分かりやすい内容でした。

また、「僕は最初からオルタナティブですし、最初からミクスチュア」と発言されていたのが印象的でした。これからもオルタナティブ精神溢れる佐野さんを応援していきたいです。
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Unknown (どい)
2011-03-01 23:58:19
☆korokoroさん
いつもコメントありがとうございます。
いよいよですね、大阪城ホール。
「僕は最初からオルタナティヴ」というのはグッときましたね。
名言だと思います。
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