2015年05月17日プレイリスト
「猫の歌で棚からひとつかみ(洋楽編)」
1. マイ・ガーディアン・エンジェル(TV SIZE)/ 山下達郎 "京都人情捜査ファイル" '15
2. THE CAT / JIMMY SMITH '64
3. WHAT'S NEW PUSSYCAT? / TOM JONES '65
4. NASHVILLE CATS / THE LOVIN' SPOONFUL '66
5. LOVE KITTEN / NOREEN CORCORAN '63
6. BLACK CAT MOAN / DON NIX & FRIENDS "GOING DOWN" '02
7. OLD BLACK CAT BLUES(JINX BLUES)/ KOKOMO ARNOLD '35
8. PUSSYCAT / SYLVIA "SWEET STUFF" '76
9. YEAR OF THE CAT / AL STEWART '76
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■内容の一部を抜粋
・近況
ここのところシュガーベイブの『SONGS -40th Anniversary Edition-』の企画をいろいろと練ってるという。最終決定までにはまだ時間がかかりそうだけど、かなり大きな変化があったとか。これまで1994年に一回と、2005年に大滝詠一さんが自分でリマスターした30th Anniversary Editionのリイシューがあるけれど、この2枚より大幅に内容を変えようということで話し合っており、それもとんでもないことになる可能性が出てきて、今週はまだ何も言えないが来週になると具体的な決定が出ることになりそう。「従いまして今(『SONGS -40th Anniversary Edition-』は)7月8日の発売を予定していましたが、ちょっと遅れる見込みです。まぁ別に新譜じゃありませんのでですね、40周年ですので、半分道楽みたいなものですから。少々遅れてもしっかりとしたものを出して、これが最終ヴァージョンになりますので、キチッと時の試練に耐える、将来に耐えるアイテムにしようかなと思って、鋭意やっておりまして。毎日毎日(笑)、リマスターのCDを聴いて耳がウニになっております」と達郎さん。
・猫の歌で棚からひとつかみ
ここのところNHK-FMでサーフィン・ホットロッドとか先週はワン・コード・ソングとか変なのばっかりやってるが、段々エスカレートして、そもそもは春先に未年にちなんで羊の歌の特集をやったところ、リスナーからの要望が増えて、それに乗って今週は猫の歌。未年、午年というのはあるけれど猫年はないので猫の歌。今週は猫の歌をいろいろと集めて「猫の歌で棚からひとつかみ」。
・マイ・ガーディアン・エンジェル(TV SIZE)
テレビ朝日系のドラマで木曜ミステリー『京都人情捜査ファイル』の主題歌「マイ・ガーディアン・エンジェル」。高橋克典さん主演で、京都を舞台に実際に実在する警察組織で犯罪被害者支援室、被害者のメンタリティをフォロー・アップする組織で奮闘する警察官の職員の姿を描いたドラマ。
まだフルサイズのミックスが終わってないので今週はテレビ・サイズをオンエア。「マイ・ガーディアン・エンジェル、ガーディアン・エンジェルは守護神という意味ですけれども。警察もののドラマなのでそのような雰囲気に合うような曲にしました。ちょっといつもの曲調と違いますが、'70年代のマイアミ・ソウルとかそういう感じで自分は作ったつもりでありますので(笑)、ギターもいつもと違うテイストでございます。ちょっと今回はTVサイズはシンプルに作りました。本チャンはもうちょっと音が厚くなる予定なんですが、TVサイズは歌をはっきりと聴かせたいので、バックを薄めに作ったTVサイズでございますので、TVサイズオンリーの楽器構成、ミックスになる予定でございます。CD化もちろんされる予定ですが、今のところシングル化の予定は未定でございます」と達郎さん。
・THE CAT
ジミー・スミスの「THE CAT」。達郎さんの世代で猫の歌といえばこれ。ジャズ・オルガニストといえば達郎さんの世代ではジミー・スミス。ジミー・スミスといえばこの曲「THE CAT」。1964年、ルネ・クレマン監督の『危険がいっぱい』という映画の主題歌として発表された。アメリカではビルボード67位というスマッシュ・ヒットだが日本ではかなりのヒットを記録した。バーブからのアルバムが黒猫のフォトでこの印象が強くて日本ではジャズのアルバムとしてもシングルとしてもかなりのヒットを記録した。アレンジとプロデュースはラロ・シフリン。
・WHAT'S NEW PUSSYCAT?
猫の歌といえば達郎さんの世代ではまずこれ「WHAT'S NEW PUSSYCAT?」。トム・ジョーンズがピーター・セラーズ主演、ウディ・アレン出演の映画『WHAT'S NEW PUSSYCAT?』(邦題『何かいいことないか子猫チャン』)の主題歌。シングル・カットされて1965年、全米3位。トム・ジョーンズの大ヒット作でハル・デイヴィッドとバート・バカラックの作品。とんでもない転調の曲で、中学生の終わり頃に初めて達郎さんは聴いて腰を抜かしたという。バカラックでないと作れない転調の曲。それだけにインパクトの強い一曲。
・NASHVILLE CATS
達郎さんの世代で猫の歌といえばこれ。ラヴィン・スプーンフルの1966年のビルボード8位で「NASHVILLE CATS」。ラヴィン・スプーンフルの最後のベストテン・ヒットになった。
・LOVE KITTEN
ガール・ポップものから。猫はキャット、キティ、キトゥンとかいろんな呼び方があるがそんな中から一曲。歌ってるノリーン・コウコランは十代の頃から女優をやっている、いわゆるティーンネイジ・ムービーによく出てた人。達郎さんの世代でいうとビーチボーイズがテーマ曲をやった映画『GIRL ON THE BEACH』に主演した。この人が数少ないけれどシングルを出していてそのうちの一曲。ニノ・テンポの作曲、プロデュースで「LOVE KITTEN」。シフォンズの「ONE FINE DAY」の焼き直しみたいな曲だが出来はとてもよくてガール・ポップ史に残っている。
・BLACK CAT MOAN
ドン・ニックスはメンフィス・マンの白人ミュージシャン、通好みの人。ベック・ボカード & アピスの「BLACK CAT MOAN」の作曲とプロデュースをしていて、自分でも1973年のアルバムで「BLACK CAT MOAN」をセルフ・カバーをしている。2002年のアルバム『GOING DOWN』でも「BLACK CAT MOAN」をレコーディングしていて、こちらのヴァージョンの出来がいちばんいい。"輝くお日様が丘の上に顔を出す 眩しく窓ガラス越しに それでも雨になるかもしれない 黒猫のうなり声が聞こえた 俺が家に帰りたがってるから"という望郷の歌。
・猫の歌で棚からひとつかみ(邦楽編)
「猫の歌で棚からひとつかみ」、洋楽100パーセントでは面白くないので来週は邦楽編。日本にも猫好きのミュージシャンがたくさんいるのでとのこと。でも「黒ネコのタンゴ」はかけないそうだ。
・SONGS -40th Anniversary Edition-
1975年4月25日にナイアガラ・レーベル第一弾アルバムとして発売されたシュガーベイブの『SONGS』が40周年を迎えるので『SONGS -40th Anniversary Edition-』が発売になる。番組の冒頭で言ったように現在プランを検討中。あっと驚く企画になるかもしれないとか。
・OLD BLACK CAT BLUES(JINX BLUES)
先ほどのドン・ニックスの「BLACK CAT MOAN」。黒猫というのはひじょうに縁起の悪い動物という感じで捉えられている。ブルースでもたくさんネタがある。代表的なものはココモ・アーノルド。戦前に活躍したブルース・シンガーでその後のロバート・ジョンソンとかエルモア・ジョーンズの作品に影響を与えた人。1935年の「OLD BLACK CAT BLUES(JINX BLUES)」は年老いた黒猫のブルースで、自分の運命がいかに虚しいかを延々と嘆いている歌。
・PUSSYCAT
猫のオスはトムキャット、メスはプッシーキャット。プッシーキャットにはちょっとエッチな意味があってそういう歌もたくさんある。いわゆるセクシー・ソングに猫はずいぶん使われていて、その中から達郎さんの好きなシルヴィア・ロビンソンがシルヴィア名義で出した1976年のアルバム『SWEET STUFF』(未CD化作品)から1975年の先行シングル「PUSSYCAT」。全然ヒットしなかった。
・YEAR OF THE CAT
「猫の歌ということではこの曲が最高峰だと思います」と達郎さん。スコットランド、グラスゴー出身のシンガー・ソングライター、アル・スチュアートの1976年のシングル「YEAR OF THE CAT」は全米8位。アルバム『YEAR OF THE CAT』は全米5位のプラチナ・アルバムになった。プロデュード・バイ・アラン・パーソンズ。
■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
2015年05月24日は、「猫の歌で棚からひとつかみ(邦楽編)」
http://www.tatsuro.co.jp