RYUICHI SAKAMOTO TRIO TOUR 2012(NHK大阪ホール)

2012年12月28日 | Live

坂本龍一が盟友ジャケス・モレレンバウムと
オーディションで発掘したヴァイオリニスト、ジュディ・カンのトリオで
昨年ヨーロッパ・ツアーを行った。
直後にポルトガルのポルト市でトリオのアルバムが録音された。
そのニュー・アルバム『THREE』を引っさげて
トリオ・ツアーを滋賀県野洲文化ホールからスタート。
12月2日の大阪公演を聴きに行った。

16年前のアルバム『1996』のツアーは今も記憶に残っている。
フェスティバルホールで開催された大阪公演は
確かファイナルだったはず。
教授は「無礼講だ」と言ってセットリストを逆にして
ラストの曲からはじめた。
曲によって照明や舞台の演出が変わるため、
急なセットリストの変更はスタッフを慌てさせた。

そのトリオ・ツアーは教授とジャケスによる最初のツアーで、
その後何度かジャケスとのツアーが行われた。

印象的だったのは2001年のMorelenbaum2/Sakamoto Tour
使用電力は風力発電から得られるエネルギーによってまかなわれていた。
自然エネルギー普及への試みはその頃から取り組みはじめた活動だ。
僕は11年ぶりにまた二人が一緒に演奏するライヴを観ることになった。

今回はステージ上のセットが照明以外何もなく、
舞台裏が丸見えの状態。
これほどまでにシンプルなセットは見たことがない。
開演前はユーストリームで生中継するために
スタッフがセッティングする様子が垣間見られた。

震災以降初めて観る教授のステージは
そうした質素な雰囲気の中ではじまった。
1曲目の「Kizunaworld 」は震災後に書いた曲だという。
教授の一音一音確かめるように弾くピアノの音が心の琴線に触れる。
張りつめた思いが弾かれるように
胸から熱いものがこみ上げて感極まりそうになった。

昨夜の野洲文化ホール終演後、
ジャケスが一人で地元のレストランに行ったという話があった。
日本人とどうやって会話したのかわからないが店主と話が弾み、
「桜木さん」と呼ばれるようになったのだという(笑)。

ライヴの中盤には映画音楽を続けて演奏した。
映画にまつわるエピソードがおもしろかった。

『ラストエンペラー』は最初、出演者としてオファーがあり、
クランクアップの後に音楽の依頼があったそうだ。
「一週間で作れ」と無理を言われて、それは無理だから
レコーディングを含めて二週間、なんとか時間をもらったという。
最初の一週間で曲を作り、ロンドンに渡ってレコーディングして、
映画の寸法に合わせて微調整してようやく完成。
不眠不休の仕事だったため、帰国後一時入院するはめになったという。

「Ichimei / Harakiri -death of a samurai-」は海老蔵が主演した映画の主題歌。
しかし彼自身のトラブルのために映画はひっそりと公開することになった。
おかげで映画も音楽も注目されなかった。
ただ教授は曲が気に入ってるのでライヴでは取り上げてるとか。

本編最後はアルバム『1996』から。
セルフカヴァーのアルバムではあったが
唯一の書き下ろしが「1919」。昔から大好きな曲だが
トリオのインタープレイがスリリングで素晴らしかった。

アンコールは来年の大河ドラマ『八重の桜』の主題歌を
ドラマに先駆けて初披露した。
教授が子どもの頃、大河の主題歌を武満徹が手掛けていて
そうした意味で思い入れの強い仕事だったという。
NHKからは頼まれていないのに主人公八重のテーマも作曲したが、
たぶん使われることがないと話してソロ演奏。
親しみやすいメロディで個人的には好きな曲だった。

ライヴ会場でニュー・アルバム(\3,500)か、
会場限定のブルーレイディスク付きのパンフ(\5,000)を購入すると
先着で握手券がもらえた。
ブルーレイは昨年のヨーロッパ・ツアー(101分)だったので
パンフを購入して握手券をゲットした。
終演後に教授の握手会が行われて、
ライヴの感想とまた大阪公演をやってほしいと要望し、握手した。
温かく大きな手だった。

■RYUICHI SAKAMOTO TRIO TOUR 2012 JAPAN & KOREA
2012年12月2日(日) NHK大阪ホール
1階C5列8番

坂本龍一(Piano)
Jaques Morelenbaum(Cello)
Judy Kang(Violin)

Set list
01 Kizunaworld
02 Happy End
03 Bibo no Aozora -instrumental-
04 A Flower is not a Flower
05 Seven Samurai
06 Tango -instrumental-
07 High Heels
08 Shizen no Koe
09 Mizu no Naka no Bagatelle
10 Still Life in A
11 Merry Christmas Mr.Lawrence
12 Ichimei / Harakiri -death of a samurai-
13 Last Emperor
14 1919
Encore
15 Yae no sakura
16 Theme for Yae
17 Parolibre

コメント (2)
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