時をかける少女

2010年02月20日 | 

筒井康隆の「時をかける少女」が谷口正晃監督、仲里依紗主演でリメイクされて
3月13日に公開されるようですね。
http://tokikake.jp/indexp.html

「時をかける少女」は1983年に大林宣彦監督、原田知世主演で公開されて大ヒット。
内田有紀が主演したテレビ・ドラマもありました。筒井康隆が住職役で出演してました。
2006年には細田守監督が1983年版にインスパイアされたアニメ作品を発表。
この作品では仲里依紗が声優を務めてました。

僕は大林宣彦監督、原田知世主演の『時をかける少女』を劇場で観た世代です。
懐かしいなと思いつつ、何年か前の筒井康隆サイン会のことを思い出しました。
個人サイトに筒井康隆のサインとそのときのエピソードを書いたんですが、
当時のプロバイダのホームページの容量の都合上、削除しました。
今回ブログの記事として再エントリーします。


「筒井康隆のサイン」

2002年3月17日(日)、西武の支援を受けリニューアル・オープンした神戸そごうを訪れた。
リニューアルしてから最初の週末、たいへんな賑わいだ。
別館にはLOFTと紀伊國屋書店が入っている。

紀伊國屋書店では人気作家のサイン会がこの日ふたつ用意されていた。
そのひとり筒井康隆氏のサイン会に参加することを即決し、
時間まで神戸を散策することにした。メリケンパークを久し振りに歩いた。
さわやかな風が吹きぬけ、潮の香りが漂う。なんて気持ちのよい午後。

昔はよく筒井康隆氏の著作を読んだものだったが、断筆宣言以来、ご無沙汰といった状態。
最新作『愛のひだりがわ』も書店で何度か手に取っていたが、
購入をためらっていたのだった。

筒井康隆氏を目の前にして、一言何か声をかけてみたかったが、
何を言えばいいのかわからない。

「最近になって『時をかける少女』が素晴らしいと思えるようになりました」

そんなどうでもいいような言葉を投げかけた。
筒井康隆氏は筆ペンをゆっくりと滑らせていた。

「なんだよ。古いな。モー娘は観た?」

思いもかけない答えが返ってきた。

「モーニング娘。が正月にやったんだよ。よかったよ」

「そうなんですか。再放送があれば見てみます」
僕はモーニング娘。と筒井康隆の取り合わせが想像できなかった。
「ビデオで出るんじゃない」素っ気なく筒井康隆氏は言った。
どうでもいいというふうに。

僕は言葉に詰まってしまった。けれど、このまま会話を終わらせたくなかったので
「先生はお出になられたのですか?」と聞いてみた。
先生なんて呼ぶつもりはなかったのだけど、他になんていえばいいのかわからなかった。

「ふっふっ、モー娘とは出ないよ」

筒井康隆氏の顔がほころんだ。"筒井康隆"と名前が書き入れられた。
最後に感謝の言葉を伝えた。ジャズが、そこにあふれていた。
僕はそのように感じていた。
コメント (4)
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