①小山ルミ
ベンチャーズ歌謡といえば何はさておき小山ルミの「さすらいのギター」だが、彼女はシングルだけでは飽き足らずにアルバム1枚丸ごとベンチャーズ・カヴァーという「小山ルミ / ベンチャーズ・ヒットを歌う!」をリリースしており、ベンチャーズ・クラシックスとカルト歌謡の邂逅が生み出すザ・ワン・アンド・オンリーな小山ルミ・ワールドが思う存分楽しめる。中でもこの「10番街の殺人」は吸引力抜群の彼女のヴォーカルが聴く者に強烈なインパクトを残し、一度聴いたら忘れられないヴァージョンに仕上がっていて言うことナシ(^.^) その完成度の高さは二匹目のドジョウを狙って全く同じタイトルでリリースされたアン・ルイス盤の比ではない。尚、この曲に日本語詞を付けたのは初期キャンディーズや山口百恵、麻丘めぐみらの一連のヒット曲の作詞を担当した千家和也で、歌謡ポップスとして違和感なしに聴ける内容になっている。
十番街の殺人
②Dr.K Project
日本におけるベンチャーズ系エレキ・インストの第一人者であるDr. Kこと、徳武弘文(海外のミュージシャンが “トクタケ” を “ドクターK” と呼んだことからこのニックネームがついたという...)が “日本のメル・テイラー” の異名を取る三浦晃嗣と組んで結成したのが Dr. K プロジェクトだ。この演奏はエレキ・インストの楽しさを後世に伝えようと積極的にライヴ活動を行っている彼らが1997年に開催した “ベンチャーズ・ナイト” の時のもので、まるでメル・テイラーが墓場から蘇えってきたかの如き入魂のプレイでバンドをガンガンプッシュする三浦さんのドラミングに胸が熱くなる。血湧き肉躍る演奏というのはこういうのを言うのだ。ノーキー・エドワーズというよりもむしろジェリー・マギーに近いスタイルで味のあるプレイを聴かせる徳武さんも素晴らしい。それにしてもモズライトの野太い音はいつ聴いてもタマランですなぁ... (≧▽≦)
Dr.K Project ♪♪ 十番街の殺人
③Shadows
アメリカのベンチャーズ、スウェーデンのスプートニクスと並ぶ世界3大エレキ・インスト・バンドの1つがイギリスのシャドウズだ。しかし圧倒的なグルーヴと天才的なアレンジ力で “エレキ・インスト” というジャンルを軽く超越してみせたベンチャーズ、他の誰にも真似の出来ない独特の北欧サウンドで唯一無比な世界を作り上げたスプートニクスに比べると、私にとってシャドウズというのはイマイチのめり込めないところがある。悪くはないのだけれど(←クリフ・リチャードのバックでやってるヤツなんかは結構好き...)、もひとつ地味というか、渋すぎるというか、少なくとも私の心にグッと迫ってはこない。どちらかというと、エレキ・インストの “音” そのものを追及しているような印象を受けるのだ。1969年に出たこの「10番街」も原曲に忠実なアレンジの演奏で、ベンチャーズ・ヴァージョンと比べると両者の違いは一聴瞭然。やっぱり私は骨の髄までベンチャーズ派だ。
The Shadows Slaughter on 10th Avenue
④Anita O'Day
「ウォーク・ドント・ラン」や「パラダイス・ア・ゴー・ゴー」がベンチャーズのオリジナルではないと知った時の驚きは前に書いたが、この「10番街の殺人」もコテコテのベンチャーズ・オリジナルだと信じて疑わなかったので、ジャズ・ヴォーカルのアニタ・オデイのアルバム「インコンパラブル」の中にこの曲を見つけた時に “何でアニタがベンチャーズやってんねん?” と不思議に思い、あわててベンチャーズCDの解説を読み返して初めて真相を知ったという恥ずかしい思い出がある。私は字を読むのが面倒くさくてライナーノーツを滅多に読まないので、まだまだ知らないことや勘違いがいっぱいありそうだ(笑) リチャード・ロジャース作品にしては取り上げるジャズ・ミュージシャンも少なく、他にはアート・ヴァン・ダムやジミー・スミスぐらいしか知らないが、私的に一番マシだったのが持ち前のスキャットを駆使してこの単調な曲に何とか変化を付けようと試みているこのアニタのヴァージョンだ。裏を返せばあのアニタ・オデイをもってしてもこの程度ということで、ベンチャーズのロック・アレンジがいかに画期的なものだったかを逆説的に物語っているように思う。
Anita O'Day - Slaughter On 10th Avenue
⑤Ventures
この「10番街の殺人」はアメリカの作曲家リチャード・ロジャースが1936年に「オン・ユア・トウズ」というブロードウェイ・ミュージカルのために書いたスローな劇中曲がオリジナルで、それにベンチャーズが見事なロックンロール・アレンジを施して彼らの最高傑作とまで言われるエキサイティングなエレキ・インスト・ナンバーにまで昇華させたのがこのヴァージョンだ。強烈なディミニッシュ・コードのスライド・ダウンから始まりドラムス→ベース→リズム・ギターと続くイントロ部分のカッコ良さを何と表現しよう? ベンチャーズ史上、いや、ロックンロール史上屈指の名イントロではないか! さらにAメロが始まってリード・ギターがメロディーをストレートに弾いているにもかかわらず、もはや原曲の面影はどこにもない。ブロードウェイ・ミュージカルの凡庸な劇中歌がたちまち永久不変のロックンロール・クラシックスへと変化したのだ。これこそがベンチャーズを聴く醍醐味であり、一過性音楽を持続性音楽へと変えてしまう曲の錬金術師集団としての彼らの本領が見事に発揮されたアレンジが痛快だ。又、後半1分30秒をすぎたあたりで聴けるフェイク気味の必殺フレーズもたまらんたまらん(≧▽≦) 以前BSの番組で Char がそのあたりの魅力を力説しているのを聞いて我が意を得たりと思ったが、ノーマークだった人は是非ともそこんところに注意して聴いてみて下さいな(^.^)
Ventures - Slaughter on Tenth Avenue - 45 rpm
Charが語るベンチャーズ
Vera Zorina in Slaughter on Tenth Avenue
ベンチャーズ歌謡といえば何はさておき小山ルミの「さすらいのギター」だが、彼女はシングルだけでは飽き足らずにアルバム1枚丸ごとベンチャーズ・カヴァーという「小山ルミ / ベンチャーズ・ヒットを歌う!」をリリースしており、ベンチャーズ・クラシックスとカルト歌謡の邂逅が生み出すザ・ワン・アンド・オンリーな小山ルミ・ワールドが思う存分楽しめる。中でもこの「10番街の殺人」は吸引力抜群の彼女のヴォーカルが聴く者に強烈なインパクトを残し、一度聴いたら忘れられないヴァージョンに仕上がっていて言うことナシ(^.^) その完成度の高さは二匹目のドジョウを狙って全く同じタイトルでリリースされたアン・ルイス盤の比ではない。尚、この曲に日本語詞を付けたのは初期キャンディーズや山口百恵、麻丘めぐみらの一連のヒット曲の作詞を担当した千家和也で、歌謡ポップスとして違和感なしに聴ける内容になっている。
十番街の殺人
②Dr.K Project
日本におけるベンチャーズ系エレキ・インストの第一人者であるDr. Kこと、徳武弘文(海外のミュージシャンが “トクタケ” を “ドクターK” と呼んだことからこのニックネームがついたという...)が “日本のメル・テイラー” の異名を取る三浦晃嗣と組んで結成したのが Dr. K プロジェクトだ。この演奏はエレキ・インストの楽しさを後世に伝えようと積極的にライヴ活動を行っている彼らが1997年に開催した “ベンチャーズ・ナイト” の時のもので、まるでメル・テイラーが墓場から蘇えってきたかの如き入魂のプレイでバンドをガンガンプッシュする三浦さんのドラミングに胸が熱くなる。血湧き肉躍る演奏というのはこういうのを言うのだ。ノーキー・エドワーズというよりもむしろジェリー・マギーに近いスタイルで味のあるプレイを聴かせる徳武さんも素晴らしい。それにしてもモズライトの野太い音はいつ聴いてもタマランですなぁ... (≧▽≦)
Dr.K Project ♪♪ 十番街の殺人
③Shadows
アメリカのベンチャーズ、スウェーデンのスプートニクスと並ぶ世界3大エレキ・インスト・バンドの1つがイギリスのシャドウズだ。しかし圧倒的なグルーヴと天才的なアレンジ力で “エレキ・インスト” というジャンルを軽く超越してみせたベンチャーズ、他の誰にも真似の出来ない独特の北欧サウンドで唯一無比な世界を作り上げたスプートニクスに比べると、私にとってシャドウズというのはイマイチのめり込めないところがある。悪くはないのだけれど(←クリフ・リチャードのバックでやってるヤツなんかは結構好き...)、もひとつ地味というか、渋すぎるというか、少なくとも私の心にグッと迫ってはこない。どちらかというと、エレキ・インストの “音” そのものを追及しているような印象を受けるのだ。1969年に出たこの「10番街」も原曲に忠実なアレンジの演奏で、ベンチャーズ・ヴァージョンと比べると両者の違いは一聴瞭然。やっぱり私は骨の髄までベンチャーズ派だ。
The Shadows Slaughter on 10th Avenue
④Anita O'Day
「ウォーク・ドント・ラン」や「パラダイス・ア・ゴー・ゴー」がベンチャーズのオリジナルではないと知った時の驚きは前に書いたが、この「10番街の殺人」もコテコテのベンチャーズ・オリジナルだと信じて疑わなかったので、ジャズ・ヴォーカルのアニタ・オデイのアルバム「インコンパラブル」の中にこの曲を見つけた時に “何でアニタがベンチャーズやってんねん?” と不思議に思い、あわててベンチャーズCDの解説を読み返して初めて真相を知ったという恥ずかしい思い出がある。私は字を読むのが面倒くさくてライナーノーツを滅多に読まないので、まだまだ知らないことや勘違いがいっぱいありそうだ(笑) リチャード・ロジャース作品にしては取り上げるジャズ・ミュージシャンも少なく、他にはアート・ヴァン・ダムやジミー・スミスぐらいしか知らないが、私的に一番マシだったのが持ち前のスキャットを駆使してこの単調な曲に何とか変化を付けようと試みているこのアニタのヴァージョンだ。裏を返せばあのアニタ・オデイをもってしてもこの程度ということで、ベンチャーズのロック・アレンジがいかに画期的なものだったかを逆説的に物語っているように思う。
Anita O'Day - Slaughter On 10th Avenue
⑤Ventures
この「10番街の殺人」はアメリカの作曲家リチャード・ロジャースが1936年に「オン・ユア・トウズ」というブロードウェイ・ミュージカルのために書いたスローな劇中曲がオリジナルで、それにベンチャーズが見事なロックンロール・アレンジを施して彼らの最高傑作とまで言われるエキサイティングなエレキ・インスト・ナンバーにまで昇華させたのがこのヴァージョンだ。強烈なディミニッシュ・コードのスライド・ダウンから始まりドラムス→ベース→リズム・ギターと続くイントロ部分のカッコ良さを何と表現しよう? ベンチャーズ史上、いや、ロックンロール史上屈指の名イントロではないか! さらにAメロが始まってリード・ギターがメロディーをストレートに弾いているにもかかわらず、もはや原曲の面影はどこにもない。ブロードウェイ・ミュージカルの凡庸な劇中歌がたちまち永久不変のロックンロール・クラシックスへと変化したのだ。これこそがベンチャーズを聴く醍醐味であり、一過性音楽を持続性音楽へと変えてしまう曲の錬金術師集団としての彼らの本領が見事に発揮されたアレンジが痛快だ。又、後半1分30秒をすぎたあたりで聴けるフェイク気味の必殺フレーズもたまらんたまらん(≧▽≦) 以前BSの番組で Char がそのあたりの魅力を力説しているのを聞いて我が意を得たりと思ったが、ノーマークだった人は是非ともそこんところに注意して聴いてみて下さいな(^.^)
Ventures - Slaughter on Tenth Avenue - 45 rpm
Charが語るベンチャーズ
Vera Zorina in Slaughter on Tenth Avenue
千家先生のこの歌詞って確かにヘヴィーですね。
「私ひとり死んでいくわ」とか「踏みにじられて」とか「愛は死の讃美歌」とか...
でも曲がノリの良いベンちゃんなのでスッと聴けてしまいます。。
これで暗い曲調やったらシャレになりません(笑)
「10番街」ネタ、メグミンやったんですか!
それにしても遥か昔のデビューシングルのB面曲がスッと頭に浮かぶなんて凄いです。
「トビラ」の方は全然気がつきませんでしたよ。
さすがは管理人さんですねー
千家和也先生のこの歌詞って凄くないですか「むごい別れの訳」って。
そうそう前に言った「10番街」のネタを言わなきゃね。
メグミンネタなんですがファーストシングル「ボーイハント」のカップリング曲に「許せないわ」と言う曲があります。
(CD化されていないですがamazonミュージックでたしか100円で購入出来ます。)
でこの「許せないわ」の間奏にどう聴いても「10番街」のフレーズが出て来るんですわ。
そして「トビラ - Everlasiting Love」の後半の短い間奏にも似たようなフレーズが出て来るので、中村Pにこれは偶然か意識してやったのかをお聞きしたんです。
中村Pのお答えは「許せないわ」の製作には関わっていないので真相は分からないが、どう聴いても「10番街」ですね、とのこと。
「トビラ」の方はスペクター、ナイアガラ系定番のフレーズをそのまま使用していて特に「10番街」を意識していない、とのことでした。
「許せないわ」と「トビラ」の関連性で中村Pに聞いたのは私だけでしょう(笑)。