一、同名(堀内)弾蔵御用人に御加増にて被仰付候 其刻熊本にて拙者へ祝儀を被申心には少過きたると被存たる
様子に見及候處即座に返答仕候は如御結構に被仰付候て私共迄難有奉存候 併被仰付間教平八にて御
座候 其子細は太守様は格別御老中方への御目利にても平八事においては何として拙者程御存知可有様
に無之候 平八事に候へは幼少より能存候 惣躰親も御懇比に被召仕御加増も被下候得とも親よりは益
たる處多く候 其上相役中も前々より能存候 團之進(宮村)なとは貮千石迄被下候 先祖もさのみ皆共に替り不
申候 併是は兒姓達と申御家の宇右衛門(沢村)殿も御兒姓達と申傳候 然は唯今の御用人にて貮千石迄被下候
共さのみ相役にはおとり申間敷と存候 御家老役に被仰付候ても宇右衛門殿例有之候へは一萬石迄被
下は餘り珍敷事と不存候 神以返答仕候事唯今存出し書付見せ申候 弾蔵に御見せ可有候 笑ひ可申候心
底には多分拙者返答心に叶可申候 當世は同名か一門近きは必々ひけの事のみ十人は九人にて候 上下
共に侍りたる者の思様に如斯の事にさへ傍輩中我より上に被召仕候人に尚以遠慮仕候心にては中々其
身を捨勤申事は成兼可申候 しかれば忠義の程も當世なみと存候
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