津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■「旦夕覺書」--風・15

2014-10-26 06:54:11 | 史料

                一、御下国の刻大津御一泊之日内牧より雨降道あしく二重峠おり候時分就中すへり御駕にとり付随分念
                  を入かゝせ申候處にて御駕の者共も安堵仕候所にろく道の所にてふみすへり御駕の前はなれ申候 其
                  儘三尺手拭にてからけ可申と仕候へはいや見苦しく思召候 御召様か有るとて左右の御ひし懸に御
                  取付御ひき立られ御きゆくつに思召たるを見申其儘御駕の替りを大津に取に遣候故大津中さわきた
                  ると後に承候 扨御宿に御着被遊候故御玄関前に大半切に水入候前にて手水なとつかひ申候へは柏原
                  九八郎出被申傳右衛門御用有之候上り申候へと被申其儘九八郎は奥へ参られ候 同名文左衛門御番に
                  居被申の外気遣成様子何と々々と被申候處に朽木内匠殿出被申候様子を見申候へは笑ひ々々出被
                  申候故少拙者も安堵の心出申候 扨被申渡には道あしく度々なけ可申様に思召候へ共其方心をつけ申
                  故なけ不申候 ろく道に成候て安堵いたしふみすへりたると被思召候必々御駕の者ともしかり申間敷
                  候 又替の御駕其儘取に遣候事尤に思召候 併重ても有間敷事にてはなく候道中は不及申江戸にても可有
                  之と思召候間御小姓頭共に相談仕候はゝ歩の御使番をつけ遣可申候 亦熊本へ御着座にて其儘御駕つく
                  ろはせ申間敷候何かと可申候 暫く間を置候て可申付旨被申渡候 扨々難有仕合に奉存候 扨いつもは
                  今日の御供仕候者は非番にて明日は不罷出候へ共右の仕合に御座候得へはいや々々いつものことくめ
                  さるへく候 未た御腰物も御持なから九八郎・傳右衛門に残り候へと被仰付拙者を御呼傳右衛門か事の
                  外迷惑仕と被仰聞候 右御様子にては爰許へ御残候事必々無用に仕候へ 扨々思召事無餘儀候とて被
                  罷立候跡に其儘文左衛門被参候て皆共迄難有奉存候 其身御請の様子尤に承候 目出度々々々と被申候
                  扨しはらくの事ゆゑ村井も林兵助も気遣に存待宿所に出居申何と々々申候て宿へはいり右之通申
                  聞候へは神以両人ともに涙なかし扨々御慈悲なる儀両人共に道にて駕なけ候故人夫をたゝき能かき
                  おれとしかりたる事今少先の事に候 皆共式は誠に々々浅間敷仕合御駕なけ候てくつれ候とて大津中にも
                  安堵させ候へと申候故頓て罷歸申候
                一、其刻佐藤八郎右衛門と申は五百石にて御鉄炮三拾挺團之丞義父にて候 御知行差上候とて引籠居申 坪
                  井兼松屋敷にて候 見廻申候へは其儘被申候は拙者儀に候へは他人にては逢不申候 久々逢不申其上今

                  度大津にて御駕なけ御迷惑の旨承候へ其具に御咄承度と被申候故ケ様々々と咄申候へは扨も々々難
                  有思召事尤に候 妙解院様は御聞及可被成候 御若き時分は御短慮成儀多く御座候 或侍御駕なけ前へ
                  御もたれ被成御座候時の事にて御口中少御痛被遊候程の事にて津川は譯有人ゆゑ四郎右と御意被成
                  駕の者共なくべくとは思はぬとも腹かたつはの前かた両人せいはいさせ乗物奉行も迷惑させたと御
                  意兎角御暇被下候と覺申候 け様の儀拙者能存咄申候 随分々々能御勤候へ拙者事御咄を承候ても不及
                  是非仕合拙者願の趣定て御聞可被成候如此の 御主様にはなれ申様に成行申儀は心底察候へと其儘
                  なかれ候 尤成事と拙者も落涙仕候 八郎右衛門儀は同氏弾蔵母為に兄分かと覺申候 八郎右衛門は益田
                  彌一右衛門聟にて候                                 

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