一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

七夕の願い

2011-07-02 17:40:28 | 雑記


     先日、故郷を離れて埼玉に避難している知
     人の共通の友人たちが集まってミニ激励会
     を都内某所でひらいた。

     身内や親戚など近しい人から聞くのとは違
     って、こちらに構えるところがないせいか、
     かえって切実で、真に迫るところがある。
     実をいうと、この人から前に手紙をもらっ
     たとき不意に涙が出て、自分でも驚いた
     という経緯がある。
     (震災で涙が出たのははじめて。いつもは
      ”泣いている場合じゃない”といった張
      り詰めたものがあって、涙すら出なかっ
      たのだ)

     このご夫婦が地震当日のことをつらつら語
     ったところによるとーー
     「鶏舎の揺れが激しくて何が何だか分から
      なかった」
     「驚いたことに鶏は喉が詰まったように鳴
      き声もあげないんだよ~」
     (実際はけたたましく鳴き叫んだと思うが
      こっちの神経がおかしくなって聞こえな
      かったのではないか)
     
     津波が来た瞬間の記憶は
     「(後で思えば)30~40分あったかな。
      津波は何の前触れもなく(地響きするわ
      けでもなく)、静かに目の前にやってきた」
     幸いにも自宅の100m先で止まったのだ
     った。

     余震がつづく中、ヘリコプターがさかんに
     旋廻し、ただちに高台に逃げるよう呼びか
     けていた。
     車で逃げた人や、家に戻った人は助からなか
     った。
     夫妻は何も持ち出さず、無我夢中で腰が抜け
     そうになりながら高台に走った。

     以上が断片的に聞いた話である。
     人間が極端に緊張した場合はこんなかもしれ
     ないと、こちらにもそれが伝わってくるよう
     だった。
     
     激励会は食べて飲んで、最後には「明日の一
     条の光を求めて」というくだりで笑いも飛び
     出した。
     果たして励ましになったかどうか分からない
     が、こうした機会を持って(話を聞くことで)
     当事者の心の解放につながればいいと思った。
     最後に、
     「家に帰りたいだろう。帰りたいよなあ」
     という話しかけに無言でうなずく知人夫妻。
     後はどういっていいか、こちらも言葉に詰ま
     るのだった。
     それは避難しているみんなの願いでもある。

     ※私の著書に関して寄せられたみなさまから
      の義援金は、先日ちょっとまとまった金額
      にして、故郷の図書館に送らせていただき
      ました。
      (窓口がたくさんある中、個人的に寄付す
      るのはどうなんだろうと思って直接尋ねた
      ところ、図書館側ではとても有難い、その
      方が使いやすいという返答があったので)
      みなさまにはこの場を借りて、ご報告と
      感謝の気持ちを述べさせていただきます。

     写真は出かけた折にみた「つるし雛の七夕」