一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

戒語

2016-05-07 07:35:51 | 読書


     最近、良寛に『戒語』九十ヵ条があるのを知った。


     一、 言葉の多き
           (口数の多い)
     一、 口の早き
           (早口である)
     一、 話しの長き
           (話が長い)
     一、 もの言いのくどき
           (物言いがくどい)
     一、 人のもの言いきらぬうちにもの言う
           (人が話しているのに遮ってものを言う)
     一、 よく心得ぬことを人に教える
           (よく分からないことを得意げに話す)


     良寛というと、江戸後期の禅僧にして歌人である。
     農民と親しくまじわり、子どもらとかくれんぼ
     したり毬つきをしたりする光景が目に浮かぶが、
     これほどに人間を洞察する力をお持ちだったとは!

     九十ヵ条すべて当てはまるのではないかと思われる
     が、上の5つ6つなど、まったく自分のことを云わ
     れているようで恥ずかしい。


     これでも私、口数の多いのも、早口なのも、何とか
     したいと思っているのである。
     人としゃべっていて、ああ、またやってしまったァ
     と自己嫌悪に陥ることもしばしば。

     かつては「寡黙の美学」なんぞとも云った。
     映画にでてくる高倉健のような。

     一方で、西洋とちがって日本人は自分の意見を云わ
     ない、きちっと自分の考えを主張すべきだ、
     という意見もある。
     日本人はシャイである、なんて外国では通じない。  
     それでは世界から置いてきぼりにされるよ、と。


  
     だが、良寛の云うのはそんなことではなく、
     人間の根源に関することであろう。
     知識もなくちゃらちゃらと自説を述べるのは
     はしたないこと、と自己を戒めるべきである。

     それが解って実行できれば……、
     もってめいすべし、である。