無事、帰ってきました。
取材の成果は原稿でお目にかかれ
るとして、帰りに掛け足で回った
ところを紹介したい。
小倉駅から徒歩10分という所に
ある森鴎外旧居である。
森鴎外は旧陸軍第12師団軍医部長
として小倉に赴任。
この家に明治32年6月から翌33年
12月まで住んだ。
わずか1年半ばかりであったけれども
ここでアンデルセンの『即興詩人』を
翻訳し、短編「鶏」の舞台ともなった
ところである。
書斎をはじめ、居間や台所など、明治
半ばの(恵まれた)生活風景がしのば
れる。
鷗外はここから馬に乗ってよく出かけ
たというが、厩舎は残っていない。
<鷗外>と<馬>で思いだすのは
樋口一葉である。
一葉の作品に敬意を表していた鷗外
は葬式の当日、陸軍軍医の制服に身
をつつみ、騎乗姿で葬列に従いたいと
申し出たが、樋口家から断わられた。
一葉の葬儀は身内をのぞけば、
ごく親しい人、数名だけという寂しい
ものであったから、(一葉の)妹の
邦子が丁寧にお断りしたのだろう。
明治29年のことである。
鷗外といい、一葉といい、明治期の
先達の作品を改めて読みたいと思う。
取材旅行と同じく、駆け足のブログ
となってしまいました。
※ (福岡県)小倉にある鷗外旧居